悪役令嬢とは？

八 学園の中は陰口だらけ？

　――シャーレあなた何をしたの？

　今日もロイと学園に登校したが……
　薄情者の黒兎ロイは学園の門までくると『自分は用事があるので、ここから先はお一人でどうぞ』と、微笑んで消えていった。

　君のその笑顔、目の奥後笑ってない！　にしても学園の中は巡回する警備員がいて、安心だからとシャーレを放置ですか！

　まあ、君のその気持ちわからんでもないよ、
　あんなに周りの言葉が聞こえちゃ…………辛いわ。

　本日も着飾った令嬢たちは扇の影に隠れながら、

「シャーレさんがあの子を罵らず、大人しいわ」
「男爵の癖に、トリーヤ王子を探してはくっついていたのに……」
「ようやく格下はトリーヤ殿下に嫌われていることに、気付いたのかしら？」

　トリーヤ王子殿下？

「……あの、シャーレのツンとした目で睨まれて、罵られてぇ」

　おう、変態もいた！

　みんなの陰口からしてシャーレは、トーリヤ殿下という王子に言い寄っていたのか……
　王子といえば王族――シャーレは男爵令嬢で、貴族世界の中では爵位が一番下になる。

　一番下か……

　妹から聞いた話と、この乙女ゲームとはのっけから異なっている――ゲームの悪役令嬢は公爵令嬢が多かったし、王子の婚約者だと言っていたのだけど、シャーレは王子の婚約者でもなければ――男爵令嬢。

　私としては別に王子と婚約、爵位とかは気にしないけど、この乙女ゲームは一体どんな話？

（そうだ、ぶつかってきた……ピンクのあの子に聞けば何かわかる？）

　と、なも知らぬあの子を探してみたけど、見つからない。

　そうよね、見ず知らずの子を探すなんて、超能力者か何かよ！

　シャーレって耳はいいのだから、鼻もきく？

「……あら？　あちらにいるのシャーレさんじゃなくて」
「ほんと、なにをしているのかしら」
「きっと、トリーヤ殿下を探していらっしゃる？」

「「お嫌われているのに！」」

　またか！　――シャーレが動けば動くほどトーリヤ王子を探しているのとか、知らない殿下の話ばかりでうんざり。

　人を避け、学園の中を闇雲に動き、私は庭園にでたのだった。