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六 悪役令嬢?
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着いた学園はターコイズ色の屋根とオレンジ色のレンガ作り、
貴族達が通う学園らしく、お城の様な建物。
男性は正装し、女性は華やかなドレスを身にまとい校舎へと消えていく。
ーーあれ? みんなは制服を着ていない?
この場にいる私とロイしか制服を着ていなかった。
「ねえ、ロイ。他の人達、制服着ていないんだけど……」
「ええ、そうですね。ここは高貴な貴族しか通えない学園ですので、元々は制服はありません。今期になって男爵、平民から四名、この学園に通うことになり制服ができました」
男爵と平民?
「私と、ロイ、トキ……と、」
「あと一人、シャーレ様と同じ男爵令嬢がいます。その令嬢は魔力が高く、珍しい聖魔法が使えると聞いております」
「聖魔法? じゃー私は? 私も魔力が高く、その子のように選ばれたの?」
ロイは首を傾げて
「さあ? 僕は詳しく聞いていないので、わかりかねます」
「そう……」
ーー知らないんじゃ聞いてもわからないっか。あとで先生に聞けばわかるよね。
ロイと教室に向かっていると、誰かが横からぶつかってきた。
「ひっ!」
「どうされました?」
足元を見れば同じ制服姿の、ピンク色な髪の女の子が転んでいる。
大丈夫だと手を出すと、その手は弾かれて、
「いったぁ~い、シャーレさん何するんですかぁ~」
(ん?)
甘えた声をだして、涙目……のその子。
何? そっちから、ぶつかってきて私のせいにした?
訳がわからず、隣のロイを見ても微笑んでいるだけで何も言わない。
周りの貴族達は足を止めてチラチラ、私たちのことの行く末を見守っている。
この状況が読めなくて、この場にポツンと一人の私。
そうしているとヒソヒソと
『また、シャーレさんが何かやったわ』
『同じ男爵のあの子ばかりいじめて、恥ずかしくないのかしら?』
など、私を批判する言葉が聞こえた。
えっ、――本当なら聞こえないだろう、ヒソヒソ声までハッキリ聞こえた。
シャーレ、耳がいいわ。
「あの、罵ってくれないと進まないのだけど」
「ふぇ、罵る?」
……うっ、すっとんきょうな声がでた。
「何驚いているのよ。ほら、いつものように『あら、ごめんなさい。小さくて、目に入らなかったわ』って、言いなさいよ!」
「…………?」
(ちょっと、見ず知らずの子にそんなこと言えない)
前世、私はオタクで人を避けていたし――パソコンの前でしか喋れない陰キャで、人を罵るなんてした事がない…………うっ、頭がズキズキ痛みだし、
『お姉――悪役令嬢と言ってね……性格がツンツンしていて、言葉遣いが少しキツいの。でも、努力家で真面目……そこが良いんだけどね』
ーー妹は笑顔で、悪役令嬢を語っていなぁ。
ーーその妹の言っていた通り、この言葉が似合うのは悪役令嬢……
綺麗で、スタイルが良くて、猫目。
外見が私に似ている?
「シャーレさん? ……あなた、顔色が悪いわ」
「え? そう? …………わ、私って、悪役令嬢みたい……だね」
その言葉の後――激しい頭痛が襲い。
私の意識は遠のいた。
貴族達が通う学園らしく、お城の様な建物。
男性は正装し、女性は華やかなドレスを身にまとい校舎へと消えていく。
ーーあれ? みんなは制服を着ていない?
この場にいる私とロイしか制服を着ていなかった。
「ねえ、ロイ。他の人達、制服着ていないんだけど……」
「ええ、そうですね。ここは高貴な貴族しか通えない学園ですので、元々は制服はありません。今期になって男爵、平民から四名、この学園に通うことになり制服ができました」
男爵と平民?
「私と、ロイ、トキ……と、」
「あと一人、シャーレ様と同じ男爵令嬢がいます。その令嬢は魔力が高く、珍しい聖魔法が使えると聞いております」
「聖魔法? じゃー私は? 私も魔力が高く、その子のように選ばれたの?」
ロイは首を傾げて
「さあ? 僕は詳しく聞いていないので、わかりかねます」
「そう……」
ーー知らないんじゃ聞いてもわからないっか。あとで先生に聞けばわかるよね。
ロイと教室に向かっていると、誰かが横からぶつかってきた。
「ひっ!」
「どうされました?」
足元を見れば同じ制服姿の、ピンク色な髪の女の子が転んでいる。
大丈夫だと手を出すと、その手は弾かれて、
「いったぁ~い、シャーレさん何するんですかぁ~」
(ん?)
甘えた声をだして、涙目……のその子。
何? そっちから、ぶつかってきて私のせいにした?
訳がわからず、隣のロイを見ても微笑んでいるだけで何も言わない。
周りの貴族達は足を止めてチラチラ、私たちのことの行く末を見守っている。
この状況が読めなくて、この場にポツンと一人の私。
そうしているとヒソヒソと
『また、シャーレさんが何かやったわ』
『同じ男爵のあの子ばかりいじめて、恥ずかしくないのかしら?』
など、私を批判する言葉が聞こえた。
えっ、――本当なら聞こえないだろう、ヒソヒソ声までハッキリ聞こえた。
シャーレ、耳がいいわ。
「あの、罵ってくれないと進まないのだけど」
「ふぇ、罵る?」
……うっ、すっとんきょうな声がでた。
「何驚いているのよ。ほら、いつものように『あら、ごめんなさい。小さくて、目に入らなかったわ』って、言いなさいよ!」
「…………?」
(ちょっと、見ず知らずの子にそんなこと言えない)
前世、私はオタクで人を避けていたし――パソコンの前でしか喋れない陰キャで、人を罵るなんてした事がない…………うっ、頭がズキズキ痛みだし、
『お姉――悪役令嬢と言ってね……性格がツンツンしていて、言葉遣いが少しキツいの。でも、努力家で真面目……そこが良いんだけどね』
ーー妹は笑顔で、悪役令嬢を語っていなぁ。
ーーその妹の言っていた通り、この言葉が似合うのは悪役令嬢……
綺麗で、スタイルが良くて、猫目。
外見が私に似ている?
「シャーレさん? ……あなた、顔色が悪いわ」
「え? そう? …………わ、私って、悪役令嬢みたい……だね」
その言葉の後――激しい頭痛が襲い。
私の意識は遠のいた。
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