毒、毒、毒⁉︎ 毒で死んでループする令嬢は見知らぬうちに、魔法使いに溺愛されていた。

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22 (カーサリアル)

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 ルルーナを見送ったカーサリアルは魔法を解き、何故こんなことをしたのかメイドに話を聞いた。そのメイドが話した話に、カーサリアルは底知れぬ怒りを感じた。
 
「君の、病気の弟が人質ねぇ」
「はい。たった1人の家族なんです」

 涙ながらに話すメイドに、ため息しか出ない。

(犯人は考えるまでもなく王妃と兄上だ……まったく、俺の魔力が無ければこの国を支えられないくせに。何度も、何度も殺そうとするとはな……暇なのか?)

 暇なら、もっと頭を使って考えてみろ。

 国王は俺の魔力が使えるから誉めているだけあって、1番は王妃と兄上だ。目先の小さな事ばかり見ずに、しっかり周りを見ろよ。周りは兄上を支持する者ばかりじゃないか。

 それに俺は国王になんて、なる気もねぇ。
 

 
 俺は部屋で犯人の浅はかな企みに、ため息を漏らしていた。しばらくして、手元の通信用の魔石が光り。

「あー、あー聞こえますか? カーサリアル殿下の指示通り、城の使われなくなった医務室で、男の子を見つけました」

 側近ササの声が、魔石から聞こえた。
 どうやら、メイドの弟が見つかったらしい。

「そうか、見つかったか。……よかった」
 
 このササからの通信を聞き、弟が無事と知り泣きじゃくるメイド。このメイドを次にどうするだよな。俺の暗殺に失敗したし、王妃と兄上に見つかったら、2人が雇った殺し屋に確実に殺されるな。

 あの人達は国王と自分達以外の人間を、虫ケラ以下だと思っている。俺の前でまだ泣きじゃくるメイドに、

「なぁ、助かりたかったら俺の案に乗るか?」
  
 と問う。
 メイドも、自分の命が危ない事に気付いているのか。

「は、はい、助けるなら、なんでもします」

 返事は、はやかった。

「そうかそうか。ならまず、この変化の指輪をつけ容姿を変える。次に名前も変えたほうがいい。これまでの退職金を払うから、この国を出るか、何処か遠い村に家を買って弟と住むといい」

「え?」

 メイドは俺がけったいなことでも、させるとでも思ったのだろう、この話に瞳を丸くした。だが変化の指輪は一度付けたら、俺の魔力なしでは外せない。

 ここを出たら、俺とは2度と会うことは出来ないだろう。そうなると、このメイドと弟はこれから一生、今の名前を告げる事も、元の姿にも戻れず、別人のまま過ごすことになる。

 なにせ、俺を殺す計画に失敗した王妃と兄上は、失敗したメイドと弟を見つけしだい躊躇なく殺すだろう。俺も愛するルルーナを傷付けられて、今すぐにでも殺したいがな。

 ……まあ、メイドが教えてくれたベッコウ飴を食べたルルーナが可愛かったし、あの飴を気に入ったみたいだから、許すけどな。
 

 
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