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 私、ルルーナの青い唇を見て、気絶したメイドのシャロンをソファに寝かせ、ルルーナは焦った。いままで誰にも気付かれなかった、夜の訓練を見られるなんて……

(これがお父様とお母様にバレたら、いま建設中の、私専用の温室を取り上げられてしまうわ)

 それは絶対に嫌。

 あの温室で花の他に、こっそり毒草と解毒草を育てようと思っていた。その計画がなしになってしまう。ここは目を覚ましたシャロンに本当の事を話さず、嘘をつくしかない。

 そうよ。

 シャロンに全て夢だったのよ。
 あなたは、夢を見たと言えばいい。

「私は毒なんて飲んでいない、あれは夢だったのよ。この私が毒なんて飲むはずかがないじゃい。――本当は飲んだのだけど。フフ」

「あ、あの、ルルーナお嬢様……全て、声に出ております」

「え?」

 いつの間にか気絶から目を覚ました、シャロンがソファに座っていた。――あらら、計画が全て口から出ていたみたいで、ルルーナは誤魔化す様に笑ったが、後の祭り。

 シャロンは冷ややかな瞳で、ルルーナを見ていた。

「それで、お嬢様はどうして毒を口にしたのかを、話してもらえますか?」

 シャロン、的確な質問ね。

 これはルルーナだけの問題だと言っても、シャロンは納得しないかしら。それに、もっと毒のことを詳しく知るには、協力者が欲しいとも思っていた。

(シャロンにお手伝いしてもらいましょう)

「いいわ、見られてしまったし。聞かれたのなら話すけど――他言無用でお願いします」

 しかし、ルルーナは呪われていて毒で死ぬとか、運良く生きても18歳で死んで、7歳まで巻き戻るとかシャロンに言えない。

「えーっと、私……毒で死んでしまう夢をなん度も見たの……その夢があまりにも現実的で、怖くて、毒に慣れようと思ったの」

「夢? ですか……それで、毒に慣れようだなんて無茶しすぎです」

 シャロンの言うことはわかるけど、ルルーナはもう9回も毒で死んで巻き戻っている。その原因が呪いでカサロではないなら、生きる為に毒に慣れようと考えた。

 そんな考えは安直すぎると、ルルーナもわかっている。

(安易に呪いを解くことなんて、たぶん出来ない。死にたくない私には、これしか思いつかなかった)

「無茶でも、夢の中でも、毒で死ぬのが怖かったの」

「そうですか……だからお嬢様は屋敷の書庫、図書館でも植物、毒の本ばかり読んでいたのですね。数年前に屋敷で花の植え間違いをされた、花の影響だとばかり思っていました」

「ええ、それもあるわ。私は誰しも間違いはあると思うの。あのときは間違いだと気付いたけど……同じ様な事が起こったとき、早く発見できて、対応できるになりたいと思ったわ」

 スノーフレとスワーロンの花。
 二つの花は似ていて、花以外の違いが分かりにくい。

 もちろん自分の為、でもあるけど、
 調べていくうちに、楽しくなってきた。

 効果が違う毒の種類。
 ほんとうに効くか、効かないかわからない解毒草。まだ解明されていない毒。

(たくさんの書物を読んできたけど、けっこう間違って伝わっていたわ)

 調べぬいて見つけてのが、パイナの草だった。
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