9 / 36
7
しおりを挟む
ルルーナ10歳。本日は月に何度かの婚約者とのお茶会の日。
婚約者のカサロがルルーナに会いに屋敷へと来るとき、毎回、付き合っている男爵家のリボンにメイド服を着せて、連れてきていることにルルーナは気付き驚いた。
(彼女はメガネをかけて変装しているけど、あの顔は男爵家のリボンだわ。前までの私って、まったく気付いていなかった)
それもそう。1回目のルルーナはカサロを溺愛して、誰にも渡したくなくてドレス、お化粧と自分を着飾ることに夢中で周りが見えていなかった。
次からは「どうやって、彼から逃げるか」としか考えていなかった。
ルルーナは一つのことに集中すると暴走して、周りが見えなくなってしまう。いま紅茶を飲み反対側に座る婚約者のカサロを見ると、彼らはルルーナがいるのにも関わらず、仲良くしていた。
(2人が好き合っている……こんなにもわかりやすいのに、私は気付かなかった)
だけど、そんな2人の姿を見てもルルーナの心は、ちっとも心はざわつかなかった。いまのルルーナは自分にかかる「毒で死んでしまう」呪いと、もっと毒に詳しくなりたいが頭の中をしめている。
(新しく、お父様に買ってもらった植物図鑑が面白過ぎて、ずっと読んでいたいわ)
それに婚約者の彼も、義務でお茶会へ参加しているからか。私から話しかけないと、一言も話さない。
――前は。
彼が好きで、大好きで。彼のことを知りたくて、ルルーナから話題を振っていたが。いまのルルーナはから会話することなく、メイドがいれてくれたお茶を飲み、コックが作ったケーキをつつき、会話なく時間だけが過ぎていく。
(でも変ね。会話をしていないけど、2人は何か楽しそうにしている。だけど、こちらは退屈。これなら庭師のおじじと庭園にいるか、部屋で植物図鑑を読みたいわ)
「……」
――ええ、そうさせていただきましょう。
「すみません、カサロ様。――私、気分がすぐれないので部屋に戻りますわ」
「え? 大丈夫?」
カサロが席を立ち、こちらへと来ようとした手を、メイド姿のリボンが掴んだ。焦るカサロの姿が見えてが、ルルーナは見ないふりをして微笑んだ。
「ええ、大丈夫ですわ。あ、そうでした――私、王都都立の学園へ入学するまで家庭教師を雇いましたの。しばらく、このお茶会は無しにいたしましょう。……カサロ様、ごきげんよう」
ルルーナはテラス席から立ったとき。カサロの胸元のネクタイピンの、緑色の石が少し気になったが。メイドを連れて部屋へと戻り、部屋着へと着替えて、ソファで植物図鑑を開いた。
(これよ、これ!)
いまのルルーナにとって、この時間が楽しいひとときとなっている。
(はやく、カサロと婚約破棄したいのだけど。2人が密かに付き合っている、という。証拠を集めないといけないわね)
前の私はどうやったかしら?
婚約者のカサロがルルーナに会いに屋敷へと来るとき、毎回、付き合っている男爵家のリボンにメイド服を着せて、連れてきていることにルルーナは気付き驚いた。
(彼女はメガネをかけて変装しているけど、あの顔は男爵家のリボンだわ。前までの私って、まったく気付いていなかった)
それもそう。1回目のルルーナはカサロを溺愛して、誰にも渡したくなくてドレス、お化粧と自分を着飾ることに夢中で周りが見えていなかった。
次からは「どうやって、彼から逃げるか」としか考えていなかった。
ルルーナは一つのことに集中すると暴走して、周りが見えなくなってしまう。いま紅茶を飲み反対側に座る婚約者のカサロを見ると、彼らはルルーナがいるのにも関わらず、仲良くしていた。
(2人が好き合っている……こんなにもわかりやすいのに、私は気付かなかった)
だけど、そんな2人の姿を見てもルルーナの心は、ちっとも心はざわつかなかった。いまのルルーナは自分にかかる「毒で死んでしまう」呪いと、もっと毒に詳しくなりたいが頭の中をしめている。
(新しく、お父様に買ってもらった植物図鑑が面白過ぎて、ずっと読んでいたいわ)
それに婚約者の彼も、義務でお茶会へ参加しているからか。私から話しかけないと、一言も話さない。
――前は。
彼が好きで、大好きで。彼のことを知りたくて、ルルーナから話題を振っていたが。いまのルルーナはから会話することなく、メイドがいれてくれたお茶を飲み、コックが作ったケーキをつつき、会話なく時間だけが過ぎていく。
(でも変ね。会話をしていないけど、2人は何か楽しそうにしている。だけど、こちらは退屈。これなら庭師のおじじと庭園にいるか、部屋で植物図鑑を読みたいわ)
「……」
――ええ、そうさせていただきましょう。
「すみません、カサロ様。――私、気分がすぐれないので部屋に戻りますわ」
「え? 大丈夫?」
カサロが席を立ち、こちらへと来ようとした手を、メイド姿のリボンが掴んだ。焦るカサロの姿が見えてが、ルルーナは見ないふりをして微笑んだ。
「ええ、大丈夫ですわ。あ、そうでした――私、王都都立の学園へ入学するまで家庭教師を雇いましたの。しばらく、このお茶会は無しにいたしましょう。……カサロ様、ごきげんよう」
ルルーナはテラス席から立ったとき。カサロの胸元のネクタイピンの、緑色の石が少し気になったが。メイドを連れて部屋へと戻り、部屋着へと着替えて、ソファで植物図鑑を開いた。
(これよ、これ!)
いまのルルーナにとって、この時間が楽しいひとときとなっている。
(はやく、カサロと婚約破棄したいのだけど。2人が密かに付き合っている、という。証拠を集めないといけないわね)
前の私はどうやったかしら?
58
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
毒はお好きですか? 浸毒の令嬢と公爵様の結婚まで
屋月 トム伽
恋愛
産まれる前から、ライアス・ノルディス公爵との結婚が決まっていたローズ・ベラルド男爵令嬢。
結婚式には、いつも死んでしまい、何度も繰り返されるループを終わらせたくて、薬作りに没頭していた今回のループ。
それなのに、いつもと違いライアス様が毎日森の薬屋に通ってくる。その上、自分が婚約者だと知らないはずなのに、何故かデートに誘ってくる始末。
いつもと違うループに、戸惑いながらも、結婚式は近づいていき……。
※あらすじは書き直すことがあります。
※小説家になろう様にも投稿してます。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ
トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!?
自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。
果たして雅は独りで生きていけるのか!?
実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる