95 / 108
第二章 ストレーガ国までの帰路
25
しおりを挟む
「ククッ」
「シエルさん?」
弟のラエルさんと談笑していた、彼は私を見て笑った。どうやら彼に私の考えていて事がわかったみたいだ。
「ルーは俺達が落ち着いていて、慌てない事に驚いているな。まぁ辺境伯に寄ったのは、隣国の動きを知るためだな。幸い、目立った動きはしていないようだ」
「それは良かったけど……でも、今、王都は結界に覆われているでしょう?」
それなのに、みんなはそんなに落ち着いていられるの。
子犬ちゃんだってそう。一口お饅頭が美味しいのは分かるけど……呑気にお饅頭ばかり食べていて全然慌てていない。
ストレーガ国の王子だと聞いたけど、両親が国民が心配じゃないのかしら。
「むくれるなって、なんていうか――王都内の国民、貴族、陛下と王妃は平気だな……なにせ、この国には国王陛下がいるからな」
――国王陛下?
「今思えば……オレが王都から逃げた後。ナタリーがあとを追って来れなかったのは。もしかすると……父上に、逆に眠らさてたのかもな」
「ありうるな」
「ありうるね」
私には子犬ちゃんが話したナタリーさんの事も、シエルさん、ラエルさん、子犬ちゃん達がしている話は分からない。ちょっと疎外感……を感じた。
また、それを読んだのか。
シエルさんが近付き、私の頭を撫でた。
「俺がどうしてアンサンテ国に行ったとか、子犬の事、この事が終わったら全て、ルーに話すよ。……話す前に両親に会ってもらわないとな」
「シエルさんの両親?」
「ルーは俺の婚約者だろう? ちょっと、その前に問題事が起こるかもしれないけど……俺はルーを手放すことはない」
シエルさんの赤い瞳が私を見つめた、彼は嘘は言わないだろう。今の問題が終わったら、全て話してもらえるとわかっただけで、嬉しい。
「分かった……でも、問題事って何?」
「んー言いたくない! ルーの魔力量の多さにも関わっているからな……あの人に合わせたくないが、こればかりは断る事ができないだろうな」
「私の魔力量? あの人? 断れない?」
訳がわからなく、首を傾げた私と。
「「あっ!!」」と、ラエルさんと子犬ちゃんが声を上げ、二人は顔を見合わせた。
「すっかり、忘れていたぁ」
「そうだった……その目的のために僕と兄貴は、アンサンテ国に行ったんだった……忘れてた」
「ククッ、そうだとも思ったよ。あの人は美人で可愛い、ルーを見たら絶対に気に入る……そして子犬の……クソッ――もし、そうなったら俺はこの国を出る! ルーを連れて、どこか遠くの地で結婚する!」
いつになく声を上げて、焦るシエルさんに驚くしかなかった。
「シエルさん?」
弟のラエルさんと談笑していた、彼は私を見て笑った。どうやら彼に私の考えていて事がわかったみたいだ。
「ルーは俺達が落ち着いていて、慌てない事に驚いているな。まぁ辺境伯に寄ったのは、隣国の動きを知るためだな。幸い、目立った動きはしていないようだ」
「それは良かったけど……でも、今、王都は結界に覆われているでしょう?」
それなのに、みんなはそんなに落ち着いていられるの。
子犬ちゃんだってそう。一口お饅頭が美味しいのは分かるけど……呑気にお饅頭ばかり食べていて全然慌てていない。
ストレーガ国の王子だと聞いたけど、両親が国民が心配じゃないのかしら。
「むくれるなって、なんていうか――王都内の国民、貴族、陛下と王妃は平気だな……なにせ、この国には国王陛下がいるからな」
――国王陛下?
「今思えば……オレが王都から逃げた後。ナタリーがあとを追って来れなかったのは。もしかすると……父上に、逆に眠らさてたのかもな」
「ありうるな」
「ありうるね」
私には子犬ちゃんが話したナタリーさんの事も、シエルさん、ラエルさん、子犬ちゃん達がしている話は分からない。ちょっと疎外感……を感じた。
また、それを読んだのか。
シエルさんが近付き、私の頭を撫でた。
「俺がどうしてアンサンテ国に行ったとか、子犬の事、この事が終わったら全て、ルーに話すよ。……話す前に両親に会ってもらわないとな」
「シエルさんの両親?」
「ルーは俺の婚約者だろう? ちょっと、その前に問題事が起こるかもしれないけど……俺はルーを手放すことはない」
シエルさんの赤い瞳が私を見つめた、彼は嘘は言わないだろう。今の問題が終わったら、全て話してもらえるとわかっただけで、嬉しい。
「分かった……でも、問題事って何?」
「んー言いたくない! ルーの魔力量の多さにも関わっているからな……あの人に合わせたくないが、こればかりは断る事ができないだろうな」
「私の魔力量? あの人? 断れない?」
訳がわからなく、首を傾げた私と。
「「あっ!!」」と、ラエルさんと子犬ちゃんが声を上げ、二人は顔を見合わせた。
「すっかり、忘れていたぁ」
「そうだった……その目的のために僕と兄貴は、アンサンテ国に行ったんだった……忘れてた」
「ククッ、そうだとも思ったよ。あの人は美人で可愛い、ルーを見たら絶対に気に入る……そして子犬の……クソッ――もし、そうなったら俺はこの国を出る! ルーを連れて、どこか遠くの地で結婚する!」
いつになく声を上げて、焦るシエルさんに驚くしかなかった。
11
お気に入りに追加
3,023
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
【完結】あなただけが特別ではない
仲村 嘉高
恋愛
お飾りの王妃が自室の窓から飛び降りた。
目覚めたら、死を選んだ原因の王子と初めて会ったお茶会の日だった。
王子との婚約を回避しようと頑張るが、なぜか周りの様子が前回と違い……?
【完結】本当の悪役令嬢とは
仲村 嘉高
恋愛
転生者である『ヒロイン』は知らなかった。
甘やかされて育った第二王子は気付かなかった。
『ヒロイン』である男爵令嬢のとりまきで、第二王子の側近でもある騎士団長子息も、魔法師協会会長の孫も、大商会の跡取りも、伯爵令息も
公爵家の本気というものを。
※HOT最高1位!ありがとうございます!
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる