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第二章 ストレーガ国までの帰路

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 シエルさんと辺境伯領近くの街で買ったのは、蒸し器で蒸された真っ白で可愛い一口饅頭。みんなのお土産用の一口饅頭50個入りを3つと、戻りながら食べる用を10個買った。

「ルー、まんじゅうを食べてみて」
「いただきます……ん? んんっ」
 
 饅頭のアンコはこし餡で、優しい甘さでパクパク、いくつでも食べれる美味しさだった。

「優しい甘さで、美味しい」
「そうだろう! クク、美味いな」

 仲良く2人で食べながら街のお菓子屋にも寄って、福ちゃん達のお菓子を買って戻ると。シエルさんはみんなに辺境伯であった事を話した。すると子犬ちゃんはカラカラ笑い、ラエルさんは体を震わせた。

「ハハハッ、辺境伯も娘さんも全く変わってないなぁ、懐かしい! 娘さんの名前はセレンス嬢だったかな? 舞踏会でボクとシエル、ラエルを婿にと狙っていたよな……でも魔力がちょっと足りなくて、魔力酔いを起こして大変だった」

「そうだ、魔力酔いを起こすくせに。まだ、あの子は諦めずにまだ狙ってるぞ! 辺境伯は幼馴染の婚約者がいると言っていたが」
 
「へぇ、セレンス嬢はまだ僕達を諦めてないんだ。兄貴、大変だったね……」

 彼女が苦手なのか、苦笑いのラエルさん。
 それにシエルさんは。

「そうでもないぞ、ラエル。――今、部隊を率いて王都に出向いているノースにあった。王都はいま結界に覆われているらしい」

「え、王都に結界?」
「マジか」

「貴族同士で部隊を組んでいるらしいが、まだ結界は壊せてないみたいだ。まぁどんな結界かはこの目で見ないとわからないがな。貴族の事だ……紅茶を飲みながら、のんびりやっているのだろう」

「あり得るね」
「あり得るな」

「クク、さて俺たちも行くか! ウルラ、よろしく!」

 私達は福ちゃんの背に乗って、辺境伯領を飛び立った。

 

 王都に向かう途中、福ちゃんの背中で子犬ちゃんはパクパクと一口のお饅頭に食いつく。50個を1人で食べてしまいそうな勢いだ。

「ん~うまい! ボクはこれを待っていたぁ~もう、何個でも食べれるぅ~!」
 
「おい子犬、食べ過ぎだ……そんなに一度に食べると、喉を詰まらせるぞ!」

「ほんと、気をつけるんだよ」

「シエルとラエルは心配性だな、大丈夫だって! ルーチェちゃんも一緒に饅頭食べよう」

 子犬ちゃんに勧められて、一緒に一口饅頭を食べる。
 あんこの優しい甘さと、美味しさにほっこりする。

「美味しい、このお饅頭は何個でも食べれちゃうね」
 
「だろう、美味いよな」

 食いしん坊の私と子犬ちゃんの、2人はパクパク一口饅頭を食べていた。その側では、シエルさんとラエルさんが並び、遠くを見つめて兄弟で楽しそうに談話している。

 ガット君とクレ君は飛び立つ前に、福ちゃんとたらふくお菓子を食べたので、私の側で二匹とも眠っている。

(う~ん)

 私は一口饅頭を食べながら……どうして、みんなは王都が結界に覆われていると知っても、ちっとも慌てずマイペースなのだろうと不思議に思っていた。
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