94 / 108
第二章 ストレーガ国までの帰路
24
しおりを挟む
シエルさんと辺境伯領近くの街で買ったのは、蒸し器で蒸された真っ白で可愛い一口饅頭。みんなのお土産用の一口饅頭50個入りを3つと、戻りながら食べる用を10個買った。
「ルー、まんじゅうを食べてみて」
「いただきます……ん? んんっ」
饅頭のアンコはこし餡で、優しい甘さでパクパク、いくつでも食べれる美味しさだった。
「優しい甘さで、美味しい」
「そうだろう! クク、美味いな」
仲良く2人で食べながら街のお菓子屋にも寄って、福ちゃん達のお菓子を買って戻ると。シエルさんはみんなに辺境伯であった事を話した。すると子犬ちゃんはカラカラ笑い、ラエルさんは体を震わせた。
「ハハハッ、辺境伯も娘さんも全く変わってないなぁ、懐かしい! 娘さんの名前はセレンス嬢だったかな? 舞踏会でボクとシエル、ラエルを婿にと狙っていたよな……でも魔力がちょっと足りなくて、魔力酔いを起こして大変だった」
「そうだ、魔力酔いを起こすくせに。まだ、あの子は諦めずにまだ狙ってるぞ! 辺境伯は幼馴染の婚約者がいると言っていたが」
「へぇ、セレンス嬢はまだ僕達を諦めてないんだ。兄貴、大変だったね……」
彼女が苦手なのか、苦笑いのラエルさん。
それにシエルさんは。
「そうでもないぞ、ラエル。――今、部隊を率いて王都に出向いているノースにあった。王都はいま結界に覆われているらしい」
「え、王都に結界?」
「マジか」
「貴族同士で部隊を組んでいるらしいが、まだ結界は壊せてないみたいだ。まぁどんな結界かはこの目で見ないとわからないがな。貴族の事だ……紅茶を飲みながら、のんびりやっているのだろう」
「あり得るね」
「あり得るな」
「クク、さて俺たちも行くか! ウルラ、よろしく!」
私達は福ちゃんの背に乗って、辺境伯領を飛び立った。
王都に向かう途中、福ちゃんの背中で子犬ちゃんはパクパクと一口のお饅頭に食いつく。50個を1人で食べてしまいそうな勢いだ。
「ん~うまい! ボクはこれを待っていたぁ~もう、何個でも食べれるぅ~!」
「おい子犬、食べ過ぎだ……そんなに一度に食べると、喉を詰まらせるぞ!」
「ほんと、気をつけるんだよ」
「シエルとラエルは心配性だな、大丈夫だって! ルーチェちゃんも一緒に饅頭食べよう」
子犬ちゃんに勧められて、一緒に一口饅頭を食べる。
あんこの優しい甘さと、美味しさにほっこりする。
「美味しい、このお饅頭は何個でも食べれちゃうね」
「だろう、美味いよな」
食いしん坊の私と子犬ちゃんの、2人はパクパク一口饅頭を食べていた。その側では、シエルさんとラエルさんが並び、遠くを見つめて兄弟で楽しそうに談話している。
ガット君とクレ君は飛び立つ前に、福ちゃんとたらふくお菓子を食べたので、私の側で二匹とも眠っている。
(う~ん)
私は一口饅頭を食べながら……どうして、みんなは王都が結界に覆われていると知っても、ちっとも慌てずマイペースなのだろうと不思議に思っていた。
「ルー、まんじゅうを食べてみて」
「いただきます……ん? んんっ」
饅頭のアンコはこし餡で、優しい甘さでパクパク、いくつでも食べれる美味しさだった。
「優しい甘さで、美味しい」
「そうだろう! クク、美味いな」
仲良く2人で食べながら街のお菓子屋にも寄って、福ちゃん達のお菓子を買って戻ると。シエルさんはみんなに辺境伯であった事を話した。すると子犬ちゃんはカラカラ笑い、ラエルさんは体を震わせた。
「ハハハッ、辺境伯も娘さんも全く変わってないなぁ、懐かしい! 娘さんの名前はセレンス嬢だったかな? 舞踏会でボクとシエル、ラエルを婿にと狙っていたよな……でも魔力がちょっと足りなくて、魔力酔いを起こして大変だった」
「そうだ、魔力酔いを起こすくせに。まだ、あの子は諦めずにまだ狙ってるぞ! 辺境伯は幼馴染の婚約者がいると言っていたが」
「へぇ、セレンス嬢はまだ僕達を諦めてないんだ。兄貴、大変だったね……」
彼女が苦手なのか、苦笑いのラエルさん。
それにシエルさんは。
「そうでもないぞ、ラエル。――今、部隊を率いて王都に出向いているノースにあった。王都はいま結界に覆われているらしい」
「え、王都に結界?」
「マジか」
「貴族同士で部隊を組んでいるらしいが、まだ結界は壊せてないみたいだ。まぁどんな結界かはこの目で見ないとわからないがな。貴族の事だ……紅茶を飲みながら、のんびりやっているのだろう」
「あり得るね」
「あり得るな」
「クク、さて俺たちも行くか! ウルラ、よろしく!」
私達は福ちゃんの背に乗って、辺境伯領を飛び立った。
王都に向かう途中、福ちゃんの背中で子犬ちゃんはパクパクと一口のお饅頭に食いつく。50個を1人で食べてしまいそうな勢いだ。
「ん~うまい! ボクはこれを待っていたぁ~もう、何個でも食べれるぅ~!」
「おい子犬、食べ過ぎだ……そんなに一度に食べると、喉を詰まらせるぞ!」
「ほんと、気をつけるんだよ」
「シエルとラエルは心配性だな、大丈夫だって! ルーチェちゃんも一緒に饅頭食べよう」
子犬ちゃんに勧められて、一緒に一口饅頭を食べる。
あんこの優しい甘さと、美味しさにほっこりする。
「美味しい、このお饅頭は何個でも食べれちゃうね」
「だろう、美味いよな」
食いしん坊の私と子犬ちゃんの、2人はパクパク一口饅頭を食べていた。その側では、シエルさんとラエルさんが並び、遠くを見つめて兄弟で楽しそうに談話している。
ガット君とクレ君は飛び立つ前に、福ちゃんとたらふくお菓子を食べたので、私の側で二匹とも眠っている。
(う~ん)
私は一口饅頭を食べながら……どうして、みんなは王都が結界に覆われていると知っても、ちっとも慌てずマイペースなのだろうと不思議に思っていた。
11
お気に入りに追加
3,023
あなたにおすすめの小説
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】本当の悪役令嬢とは
仲村 嘉高
恋愛
転生者である『ヒロイン』は知らなかった。
甘やかされて育った第二王子は気付かなかった。
『ヒロイン』である男爵令嬢のとりまきで、第二王子の側近でもある騎士団長子息も、魔法師協会会長の孫も、大商会の跡取りも、伯爵令息も
公爵家の本気というものを。
※HOT最高1位!ありがとうございます!
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる