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第二章 ストレーガ国までの帰路

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 何処からか声が聞こえる……

「ルー、大丈夫か?」
「……ん、シエルさん?」

 目を覚ますと、私はコテージのベッドで寝かされていた。訳がわからず……起きあがろうとして、吐き気と頭痛がおそう。

「……うっ」

「ルー、まだ寝ていた方がいい……転移魔法、酔いだ」
「転移魔法、酔い?」

「初めての転移魔法のとき、誰でも起こる症状だ。こればかりは慣れていかないと、また起こる」

 シエルさんが言うには空間を捻じ曲げ、遠い場所と繋げる。シエルさん、ラエルさん、子犬ちゃん、福ちゃん、ガット君は何度も経験しているから、耐性がついているが。

 初めての私とクレは体が対応しきれず――転移魔法、酔いになって気絶した言った。クレはラエルさんのコテージで横になっていると教えてくれた。

「俺も初めての時はぶっ倒れたから、心配するな」
「シエルさんでも?」

「ああ、胸がムカムカするし、頭痛が酷かった……しばらく寝ていれば治るから、ゆっくり寝るといいよ」

 外でパン粥を作ってくると出て行った。



 私はベッドに横になりながら、思った事を口にする。

「くやしい」

 転移魔法の酔いだなんて……シエルさんとラエルさん、子犬ちゃが見せた綺麗な魔法陣。その中を通ったすぐに気絶してしまったから……せっかくの魔法体験を私は全然覚えていない。

「もったいない」

 つい叫んでしまい、パン粥を持ってきたシエルさんに聞かれ、笑われた。
 
「……ルー、そうだと思った。転移魔法に慣れればいつでも体験できるぞ」

「それは、そうだけど……」

 1回目と、2回目じゃ感動が少なくなる。
 初めての時の、感動が味わいたかった。

 シエルさんがパン粥を持って、ベッドの恥に腰をかける。

 そして私を見て。

「俺としてはそれで良かったと思ったよ。ルーは人並み以上の魔力を持っているから……転移魔法に触れて、まだ修行も初めていないルーが興奮して、魔力が暴走させたかもしれない」

「え、魔力が暴走?」

「小さい頃のベルーガがそうだったんだ――アイツも魔力量が多い、ルーも見ただろう国の紋様。アイツはそれを持っているから転移魔法の酔いがなかったんだ……今日通った所じゃないところでな、転移魔法の途中で魔力暴走させて、ベルーガだけが転移途中で消えた」

「子犬ちゃんが消えたの? それで、どうなったの?」

「ベルーガは数キロ先の他の出口にいたよ――もう、ワンワン泣いてさぁ……自分じゃ分からなかったけど、次元の中に吸い込まれたんだってさ。本当は心配していた……だから、ルーを抱きしめた」

 そうだったんだ……転移魔法が発動したとき、シエルさんはすぐ横に来て、私をキツく抱きしめてくれたんだ。
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