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教会のシエルとラエル

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 黒魔女はルーの存在に気付いたか……フフ、ルーに指の一本も触れさせない。俺はコツンと杖を床に当てて、魔法を発動させた。

「黒魔女、お前を捕まえさせてもらう【束縛のいばら】」

〈あら? それは魔法私が作った魔法よ。効くわけ……ギャァァーー! なんで?〉

 クク、自分が作った魔法にやられる感想は? 【新束縛のいばら】俺が定めた目標物に触ると、いばらにスイッチが入り、雷魔法も同時に発動する仕様を変えておいた。

 これも。ベルガーの父――国王陛下に黒魔女の魔導書を、散々、読んでおいた方がいい言われて、読んだことが功を得た。しかし、俺達は黒魔女の旧式魔法など使いたくないので、全ての魔法は術式を変えたよ。

 

 俺達は教会で黒魔女と対峙していた。ステンドグラスがガタガタ音と光り、とてつもない落雷の音と威力。いまのは誰が魔法をだしたんだ……まさか、俺が作った雷魔法の杖では、あの威力は出ないはずなんだが。

 クク、ルー、規格外すぎる。

「兄貴、いまの落雷はなに?」
 
「いまのか? 多分、多分だが……ルーに渡した雷魔法の杖を使ったんだろうな」

「え、あれって子供も使える。子供のおもちゃでしょう?」

「そうだが、使ったものの魔力が強かったんだな……ハァ」

[ちょっとあなた達、私を無視しないでぇ! 【霧毒蛇】]


「うるさい、いま兄貴と話している邪魔をしないで【霧毒蛇】」
 

 黒魔女がだした蛇が魔法で俺は消して、ラエルがだした蛇は黒魔女の右腕に噛み付く。致死量寸前の毒がまわる、ラエルは身長、体重、あらゆるものを計算して毒を使い、苦しめるが気絶をさせない。さっきの鑑定で奴の隅々までみたからだな。

〈いやぁああ! こんな非道なお前らなど相手していられない……さっき、感じたもう一つの力を探さなくてわ〉

「行かせるかよ!」
「行かせないよ」

 逃げようとした黒魔女を追おうとしたとき。
 
 

 "バタン"と床が開く音と。

「うわぁ、蜘蛛の巣……ペッペ……ここも蜘蛛の巣が酷いね。さて、ここはどこかな?」
 
「お嬢、教会です、着いたようですね」
「姉さん、抱っこ」
「キュンキュン」

 ――近くにウルラ達もいるのか。
 
 祭壇から頭にウルラを乗せ、ガットと子犬を抱っこした、すすけたルーがひょっこり現れた。
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