4 / 11
運命的な出会い
しおりを挟む
今日はミリア亭のお休みの日。リーヤは中央区の人気のパン屋に向かっていた。前に食べたソーセージがプリップリの、ホットサンドが食べたくなったのだ。
みんながいる訓練所の前を通り抜けようとして足が止まる、いつもはいない亜人隊のフェンスの前に若い女性が二人いた。
(あの子達、誰を見ているの?)
私はそう思い彼女達の視線を追って驚く。
彼女達はナサ、私の旦那をみているようだ。
(ナサがカッコよくて、優しいからモテるとは思っていたけど、こうやって見ちゃうと……ううん、ナサのことは信頼しているもの)
でも気になってしまい、チラチラ見ていた。
「リーヤ、来たのか?」
訓練が終わったのか、ナサが私に気付いてフェンス前まで来てくれた。
(今日も私の旦那様は素敵だわ!)
「……その格好はどっか行くのか?」
「うん。中央区のパン屋にホットドッグを、買いに行ってくるわ」
「中央区? 俺行けねぇ。リーヤ、訓練がいま終わったから、一緒にリキのパン屋に行こうぜ」
ナサの訓練が終わった!
一緒にナサと過ごせる。
「そうする。じゃ、宿舎の出口で待っているわ」
「おう、サッと汗を流してくるな!」
と、ナサは宿舎に入っていった。……ナサとわたしの会話中、二人の女性はわたし達をジッとみていた。
「あ、あの」
二人のうちの、おさげの女の子が話しかけてきた。
「はい、なんですか?」
「あなたは亜人隊の方達と仲がいいの?」
「はい、今話していた、ナサの妻です」
「え、妻? ……あなたはあの獣人の方と、ご結婚されているの?」
女性二人は驚いて様子。おさげの女の子は何か話そうとして、真っ赤になり、
「私、好きな人がいるんです」
と、言った。
話を聞くとこの子は東区に住む商家の子で、大のパン好き。噂で北区の鬼人のパン屋が美味しいと聞き向かい、パン屋で働く若い鬼人に一目惚れをしたと言った。
もう一人の子はこの子の付き添いで、亜人隊の人に聞けばわかるかと思って、声をかけようとしていたらしい、
(え、若い鬼人って言ったら……リキさんの息子、アオさんの事かな?)
ナサに騎士学園を卒業して、来年になったら亜人隊に入隊するって言っていたわ。
「リーヤ、入り口にいないから焦ったぞ」
「ごめん、この子達に話を聞いていたの」
汗を流して着替えたナサが寄ってくる、彼女達は体の大きなナサに、ビクッと体を揺らした。ナサは気にせずわたしの隣に来て、おさげの子を見た途端に笑った。
「ナサ、失礼よ」
「ごめん、ごめん、ちょっと思い出して。……シッシシ、少し前にリキのパン屋に行ったら、店を手伝っていたアオに会ってさ。アオがオレに可愛いおさげの子がパン屋に来たって言ったあと『どうしたら、その子と仲良くなれる?』って聞いてきたんだ……あれはぜったいに一目惚れだな」
ナサの話におさげの子は真っ赤っかに頬を染めた。
隣の子も、その子の肩を叩いて喜んでいる。
(運命の出逢い? すでに、二人は両思いだわ)
「と、いう話だから、怖がらず、北区のパン屋に行ってやってくれ」
「は、はい、また行きます。ありがとう!」
「ああ、気を付けて帰れよ」
二人と手を振って別れた。
ナサと並んでリキさんのパン屋に向かう途中、わたしは鼻息荒く『運命の出逢い!』とナサに言うと。
「それは、オレ達もだろ」
「え?」
「生まれも、育った国も違うオレ達がこのガレーンで出会ったんだ、運命的な出逢いだろ?」
「ほんとだわ! ナサとわたしは『運命的な出逢い!』ウフフ、そうなんだ、わたし幸せ」
「オレも、幸せだ」
ピタッと肩をくっつけて、大好きなナサの手を握り、わたしたちは仲良く、リキさんのパン屋に向かったのだった。
みんながいる訓練所の前を通り抜けようとして足が止まる、いつもはいない亜人隊のフェンスの前に若い女性が二人いた。
(あの子達、誰を見ているの?)
私はそう思い彼女達の視線を追って驚く。
彼女達はナサ、私の旦那をみているようだ。
(ナサがカッコよくて、優しいからモテるとは思っていたけど、こうやって見ちゃうと……ううん、ナサのことは信頼しているもの)
でも気になってしまい、チラチラ見ていた。
「リーヤ、来たのか?」
訓練が終わったのか、ナサが私に気付いてフェンス前まで来てくれた。
(今日も私の旦那様は素敵だわ!)
「……その格好はどっか行くのか?」
「うん。中央区のパン屋にホットドッグを、買いに行ってくるわ」
「中央区? 俺行けねぇ。リーヤ、訓練がいま終わったから、一緒にリキのパン屋に行こうぜ」
ナサの訓練が終わった!
一緒にナサと過ごせる。
「そうする。じゃ、宿舎の出口で待っているわ」
「おう、サッと汗を流してくるな!」
と、ナサは宿舎に入っていった。……ナサとわたしの会話中、二人の女性はわたし達をジッとみていた。
「あ、あの」
二人のうちの、おさげの女の子が話しかけてきた。
「はい、なんですか?」
「あなたは亜人隊の方達と仲がいいの?」
「はい、今話していた、ナサの妻です」
「え、妻? ……あなたはあの獣人の方と、ご結婚されているの?」
女性二人は驚いて様子。おさげの女の子は何か話そうとして、真っ赤になり、
「私、好きな人がいるんです」
と、言った。
話を聞くとこの子は東区に住む商家の子で、大のパン好き。噂で北区の鬼人のパン屋が美味しいと聞き向かい、パン屋で働く若い鬼人に一目惚れをしたと言った。
もう一人の子はこの子の付き添いで、亜人隊の人に聞けばわかるかと思って、声をかけようとしていたらしい、
(え、若い鬼人って言ったら……リキさんの息子、アオさんの事かな?)
ナサに騎士学園を卒業して、来年になったら亜人隊に入隊するって言っていたわ。
「リーヤ、入り口にいないから焦ったぞ」
「ごめん、この子達に話を聞いていたの」
汗を流して着替えたナサが寄ってくる、彼女達は体の大きなナサに、ビクッと体を揺らした。ナサは気にせずわたしの隣に来て、おさげの子を見た途端に笑った。
「ナサ、失礼よ」
「ごめん、ごめん、ちょっと思い出して。……シッシシ、少し前にリキのパン屋に行ったら、店を手伝っていたアオに会ってさ。アオがオレに可愛いおさげの子がパン屋に来たって言ったあと『どうしたら、その子と仲良くなれる?』って聞いてきたんだ……あれはぜったいに一目惚れだな」
ナサの話におさげの子は真っ赤っかに頬を染めた。
隣の子も、その子の肩を叩いて喜んでいる。
(運命の出逢い? すでに、二人は両思いだわ)
「と、いう話だから、怖がらず、北区のパン屋に行ってやってくれ」
「は、はい、また行きます。ありがとう!」
「ああ、気を付けて帰れよ」
二人と手を振って別れた。
ナサと並んでリキさんのパン屋に向かう途中、わたしは鼻息荒く『運命の出逢い!』とナサに言うと。
「それは、オレ達もだろ」
「え?」
「生まれも、育った国も違うオレ達がこのガレーンで出会ったんだ、運命的な出逢いだろ?」
「ほんとだわ! ナサとわたしは『運命的な出逢い!』ウフフ、そうなんだ、わたし幸せ」
「オレも、幸せだ」
ピタッと肩をくっつけて、大好きなナサの手を握り、わたしたちは仲良く、リキさんのパン屋に向かったのだった。
9
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
好きな人ができたなら仕方ない、お別れしましょう
四季
恋愛
フルエリーゼとハインツは婚約者同士。
親同士は知り合いで、年が近いということもあってそこそこ親しくしていた。最初のうちは良かったのだ。
しかし、ハインツが段々、心ここに在らずのような目をするようになって……。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する
真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる