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 フォルテ達が通う学園。その一階の奥にフォルテの執務室はあった。オレはフォルテとロッシお嬢の後について行くと、途中で壁、窓などの見た目が豪華なモノに変わり。鎧を身につけた騎士が数人立っていた。

 ――ここから先にフォルテの部屋があるから、厳重に警備されている。

 重厚な扉の前で、前を歩いていたフォルテかの足が止まる。

「ロッサ嬢、ここで話をしようか」

 フォルテが合図すると鍵を開け、扉の前に立つ騎士が扉を開けた。この部屋は応接間なのだろうか、向かい合った革製のソファーと中央にテーブル。そのテーブルの上には数枚の書類が置かれていた。

(うわぁ……こういう部屋って、何故だか緊張する)

 それに。いまからフォルテとロッサお嬢は重要な話をする。その中にメイドに扮した、オレが入ってもいいのだろうか。

「ほらタヤも、足を止めないで部屋に入って……」

「ん、ああ……」

 オレとロッサお嬢が応接間に入るのを見て、フォルテは遮音の魔法をかけた。
 
 ――だが、オレは知っている。
 
 外で警備する騎士達に話す声は聞こえなくなったけど……フォルテを守る、あの黒猫達には聞こえているんだろうな。

 もう、色々と黒猫達に聞かれているし、危ないところを助けてもらった、と言っても慣れるものでもない。ソワソワするオレにフォルテは喉奥でククッと笑い、服の首をくつろげソファに腰掛けた。

「まさか2人が学園に来て早々、フォックスに絡まれるとはな。ロッサ嬢が気になったのか、タヤの女装が可愛すぎたのか?」

「なっ?」

 ロッサお嬢もソファに座り。

「フォックス殿下は私とタヤを引き離そうとなさったから……狙っていたのかも? タヤったら、話す声まで……フフ、可愛らしいのですもの」

 ――オレの話す声が可愛い? 

「うんうん、あの声は可愛かった。あの場で堪らなくなって、抱きしめて隠したくなったよ」

 2人はソファに座らす、立っているオレを見つめる。
 その瞳はどこか楽しげに見えた。

「ちょっと、2人でオレをからかうなよ。……でも、ルテが来てくれて助かった。フォックスに触られると背中がゾワっとして……苦手なんだよな」

「あら? 前にもそんなこと言っていたわね。でも、変ね。フォルテ殿下とフォックス殿下は同じアルファなのに、大好きと苦手とか? もしかして、嫌よ、嫌よも好きのうちとか?」

 なんだ、それ!

「ロッサお嬢、それって口では嫌だと言っていても、本当は好意があるってやつだろう? 違う、違う、フォックスには触られたくないんだ。でも、怖いのが……ヒートの時だと分からない事かな?」

 いくら、オレがフォックスを苦手だと言っていても。
 
 ヒートの時……オレはフォルテ以外のアルファに会ったことがない。そのとき近くにフォルテがおらず、フォックスが居たら……アルファのアイツを、オレは求めてしまうかもしれない。

 ――それが怖い。

「大丈夫、そんな事はない――私が奴には触らせない!」

 フォルテはオレの手を引き、膝の上に座らせた。
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