48 / 59
45
しおりを挟む
フォルテ、カッコいい。普段の姿も素敵だけど、貴族姿のフォルテにドキンと胸が高鳴った。
(このトキメキはマズイ……顔に出てしまうし、ルテに抱きつきたくなる。――いや、いや、いまロッサお嬢のメイドだ)
――でも、その姿とても良い。
「ククッ。ロッサお嬢と"お付きの君"も行こうか。フォックス王子、失礼します」
「フォックス殿下、失礼いたしますわ」
助かった。と、オレも手を離してもらい、2人の後をついて行こうとした。――だけど、フォックスはオレの手を離さず。ロッサお嬢をエスコートして行こうとした、フォルテの背に話しかけた。その時のフォックスの細い瞳は、何かを探っているかの様にも感じた。
「大切な話は2人でどうぞ、僕はロッサ嬢のメイドちゃん借りるね」
(ええ?)
その言葉に足を止めて振り向いた、フォルテの視線の先は、おれの手をいつまでも離さないフォックス。フォルテはしばらくジッと見て、呆れた表情を浮かべた。
「まったく、あなたという人は……少々、未栄がないのではないのかな? ……こちらに向かっている途中に聞こえたが、ロッサ嬢の了解も得ず、メイドを連れて行こうとしていたね」
呆れた表情から、冷ややかな瞳を向けたフォルテに対して。
フォックスは捉えどころのない笑みを浮かべ。
「それが何か? 僕は2人の話の間だけ、可愛い兎のこの子とお茶がしたかっただけだけど? ここは学園だ、別に取って食いやしないし。この子だって2人を待つ間、僕とお茶したいんじゃないかな?」
と、何故か食い下がった。
学園の廊下。フォルテとフォックスの間に沈黙が流れる。フォックスに手を握られるオレと、フォルテにエスコートされるロッサお嬢は『この場を離れた方がいいのでは?』と。思っていた。
それは周りの学生達が足を止め、ことの成り行きを楽しげに見つめている。――そう、王子2人の登場に傍観する人が増えて目立っている。
また、要らぬ噂が立つ。
それはフォルテも思ったらしく。
「失礼、メイドの君はどうなの?」
「わ、私ですか? こ、困ります……」
いきなり、フォルテに話を振られて……オレは焦りながらも、出来る範囲で声を変えて話したとたん。ロッサお嬢が扇でサッと顔を隠して、フォルテは表情を変えなかったものの……ものすごい勢いで尻尾が揺れている。
そして、手を握っていた、フォックスの手の力が抜けた。オレはその隙にフォックスの側を離れ、ロッサお嬢の所まで移動した。
「あなた、平気?」
「……はい」
「すまないが、あまり時間がないので失礼するよ、フォックス王子」
「……あ、ああ」
(何この雰囲気? オレの声色(こわいろ)が気持ち悪かったのか?)
(このトキメキはマズイ……顔に出てしまうし、ルテに抱きつきたくなる。――いや、いや、いまロッサお嬢のメイドだ)
――でも、その姿とても良い。
「ククッ。ロッサお嬢と"お付きの君"も行こうか。フォックス王子、失礼します」
「フォックス殿下、失礼いたしますわ」
助かった。と、オレも手を離してもらい、2人の後をついて行こうとした。――だけど、フォックスはオレの手を離さず。ロッサお嬢をエスコートして行こうとした、フォルテの背に話しかけた。その時のフォックスの細い瞳は、何かを探っているかの様にも感じた。
「大切な話は2人でどうぞ、僕はロッサ嬢のメイドちゃん借りるね」
(ええ?)
その言葉に足を止めて振り向いた、フォルテの視線の先は、おれの手をいつまでも離さないフォックス。フォルテはしばらくジッと見て、呆れた表情を浮かべた。
「まったく、あなたという人は……少々、未栄がないのではないのかな? ……こちらに向かっている途中に聞こえたが、ロッサ嬢の了解も得ず、メイドを連れて行こうとしていたね」
呆れた表情から、冷ややかな瞳を向けたフォルテに対して。
フォックスは捉えどころのない笑みを浮かべ。
「それが何か? 僕は2人の話の間だけ、可愛い兎のこの子とお茶がしたかっただけだけど? ここは学園だ、別に取って食いやしないし。この子だって2人を待つ間、僕とお茶したいんじゃないかな?」
と、何故か食い下がった。
学園の廊下。フォルテとフォックスの間に沈黙が流れる。フォックスに手を握られるオレと、フォルテにエスコートされるロッサお嬢は『この場を離れた方がいいのでは?』と。思っていた。
それは周りの学生達が足を止め、ことの成り行きを楽しげに見つめている。――そう、王子2人の登場に傍観する人が増えて目立っている。
また、要らぬ噂が立つ。
それはフォルテも思ったらしく。
「失礼、メイドの君はどうなの?」
「わ、私ですか? こ、困ります……」
いきなり、フォルテに話を振られて……オレは焦りながらも、出来る範囲で声を変えて話したとたん。ロッサお嬢が扇でサッと顔を隠して、フォルテは表情を変えなかったものの……ものすごい勢いで尻尾が揺れている。
そして、手を握っていた、フォックスの手の力が抜けた。オレはその隙にフォックスの側を離れ、ロッサお嬢の所まで移動した。
「あなた、平気?」
「……はい」
「すまないが、あまり時間がないので失礼するよ、フォックス王子」
「……あ、ああ」
(何この雰囲気? オレの声色(こわいろ)が気持ち悪かったのか?)
0
お気に入りに追加
440
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
本日のディナーは勇者さんです。
木樫
BL
〈12/8 完結〉
純情ツンデレ溺愛魔王✕素直な鈍感天然勇者で、魔王に負けたら飼われた話。
【あらすじ】
異世界に強制召喚され酷使される日々に辟易していた社畜勇者の勝流は、魔王を殺ってこいと城を追い出され、単身、魔王城へ乗り込んだ……が、あっさり敗北。
死を覚悟した勝流が目を覚ますと、鉄の檻に閉じ込められ、やたら豪奢なベッドに檻ごとのせられていた。
「なにも怪我人檻に入れるこたねぇだろ!? うっかり最終形態になっちまった俺が悪いんだ……ッ!」
「いけません魔王様! 勇者というのは魔物をサーチアンドデストロイするデンジャラスバーサーカーなんです! 噛みつかれたらどうするのですか!」
「か、噛むのか!?」
※ただいまレイアウト修正中!
途中からレイアウトが変わっていて読みにくいかもしれません。申し訳ねぇ。
みなしご白虎が獣人異世界でしあわせになるまで
キザキ ケイ
BL
親を亡くしたアルビノの小さなトラは、異世界へ渡った────……
気がつくと知らない場所にいた真っ白な子トラのタビトは、子ライオンのレグルスと出会い、彼が「獣人」であることを知る。
獣人はケモノとヒト両方の姿を持っていて、でも獣人は恐ろしい人間とは違うらしい。
故郷に帰りたいけれど、方法が分からず途方に暮れるタビトは、レグルスとふれあい、傷ついた心を癒やされながら共に成長していく。
しかし、珍しい見た目のタビトを狙うものが現れて────?
オメガな王子は孕みたい。
紫藤なゆ
BL
産む性オメガであるクリス王子は王家の一員として期待されず、離宮で明るく愉快に暮らしている。
ほとんど同居の獣人ヴィーは護衛と言いつついい仲で、今日も寝起きから一緒である。
王子らしからぬ彼の仕事は町の案内。今回も満足して帰ってもらえるよう全力を尽くすクリス王子だが、急なヒートを妻帯者のアルファに気づかれてしまった。まあそれはそれでしょうがないので抑制剤を飲み、ヴィーには気づかれないよう仕事を続けるクリス王子である。
宰相閣下の絢爛たる日常
猫宮乾
BL
クロックストーン王国の若き宰相フェルは、眉目秀麗で卓越した頭脳を持っている――と評判だったが、それは全て努力の結果だった! 完璧主義である僕は、魔術の腕も超一流。ということでそれなりに平穏だったはずが、王道勇者が召喚されたことで、大変な事態に……というファンタジーで、宰相総受け方向です。
華から生まれ落ちた少年は獅子の温もりに溺れる
帆田 久
BL
天気予報で豪雪注意報が発令される中
都内のマンションのベランダで、一つの小さな命が、その弱々しい灯火を消した
「…母さん…父さ、ん……」
どうか 生まれてきてしまった僕を 許して
死ぬ寸前に小さくそう呟いたその少年は、
見も知らぬ泉のほとりに咲く一輪の大華より再びの生を受けた。
これは、不遇の死を遂げた不幸で孤独な少年が、
転生した世界で1人の獅子獣人に救われ、囲われ、溺愛される物語ー
【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行
うずみどり
BL
異世界に転移しちゃってこっちの世界は甘いものなんて全然ないしもう絶望的だ……と嘆いていた甘党男子大学生の柚木一哉(ゆのきいちや)は、自分の身体から甘い匂いがすることに気付いた。
(あれ? これは俺が大好きなみよしの豆大福の匂いでは!?)
なんと一哉は気分次第で食べたことのあるスイーツの味がする身体になっていた。
甘いものなんてろくにない世界で狙われる一哉と、甘いものが嫌いなのに一哉の護衛をする黒豹獣人のロク。
二人は一哉が狙われる理由を無くす為に甘味を探す旅に出るが……。
《人物紹介》
柚木一哉(愛称チヤ、大学生19才)甘党だけど肉も好き。一人暮らしをしていたので簡単な料理は出来る。自分で作れるお菓子はクレープだけ。
女性に「ツルツルなのはちょっと引くわね。男はやっぱりモサモサしてないと」と言われてこちらの女性が苦手になった。
ベルモント・ロクサーン侯爵(通称ロク)黒豹の獣人。甘いものが嫌い。なので一哉の護衛に抜擢される。真っ黒い毛並みに見事なプルシアン・ブルーの瞳。
顔は黒豹そのものだが身体は二足歩行で、全身が天鵞絨のような毛に覆われている。爪と牙が鋭い。
※)こちらはムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
※)Rが含まれる話はタイトルに記載されています。
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる