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数分後。
〈彼の行き先が、いま神より了解されました。〉
と、どこからか声が聞こえた。
それを聞いて、女神はニッコリ笑い。
『田山様の転生先が決まりましたわ』
『ハァ? え、オレの転生先?』
『前世で頑張った、あなたへのご褒美と言ってもいいかしら? その場所はあなたも……それなりに、たぶん、知っている世界よ。まあ、楽しんでちょうだい』
『えっ? ご褒美? それなりに知った世界? ……いや、いや、俺はまず死んでないって! ま、まてぇ! オレの話を聞けってぇ――!』
全く噛み合わない会話のまま。説明をされないまま。
オレの足元に大きな穴がポッカリ開き、オレは真下に落とされた。
『ヒィィイイ、うわぁああぁぁあ――――しぬぅ! 本当に死ぬって!』
穴に落とされた……ものの数秒。女神は神様からの通信を受け取った。
『はーい、神様どうなされました? ……え、ええ? それはほんとうなのですか? ……ええ、あの方は手違い、田山様は現世に返す人? ……す、すみません、いましがた……異世界に落としてしまいました。はい、はい、すみません……』
落ちるオレの目に、女神は頭を何度も下げて、大量の汗を拭く姿が見える。
『か、神様のおっしゃる通りにいてします。……田山様を完璧にフォローいたします。……大変、すみませんでした』
空いた穴から女神はオレに「ごめんなさいね」と、謝罪が聞こえ。
『田山様、大変申し訳ありません。あなたの体は消滅してしまったので、もとの世界へと戻すこともできません……新しい場所で、新しい姿で第二の人生をお送りください――すみませんでしたわ』
『ハァ! え、謝罪はそれだけ? だからオレの話を聞けって、最初っから言っていただろう! クソッ、女神! 間違えてんじゃねぇ~よ!』
次の瞬間、景色が変わり地面に尻を強打した。
『ウオッ⁉︎ イッ、イテッ! 尻が四つに割れるわ! 女神のバカァ…………って、森? どこの森?』
オレは見知らぬ森の中にいた。女神は転生って言っていたけど……赤ちゃんに生まれ変わる事もなく、違う人物に生まれ変わる転生じゃない? バイト帰りの服装のままだし、なにも変わっていない? これって、どうみても転移だ。
『色々間違われて……な、何も知らない土地に転移した?』
まじかよ――女神は乙女ゲームの世界だと言っていた。しかしここは森の中……転移先も間違えたのか? それも考えられる。
グウッ~腹減ったな。
『そうだ、帰りにコンビニで……って、リュックもメシもない!』
何も持たせず、異世界に落としやがったな。ここがファンタジーだったらチートを貰っているはずだが。女神が言っていた乙女ゲームって言ったことがない。オレは何をするんだ?
『女神! オレを元の世界に返せぇ!』
ムシャクシャして足元に落ちていた小石を蹴り、近くを歩いていた小猪の額にクリーンヒットした。オレは必死に「ごめん」と小猪に謝ったが、言葉の通じない小猪は"ブヒィーー!"と鳴き、前足で土をかき激おこのようだ。
『こ、怖えモンスターだ! 誰かぁ~可愛い獣人の女の子か? 美人なエルフのお姉さん助けにきてぇ~』
オレがいくら叫んでも誰も来てくれない。
突進してきた小猪から反対側に走って逃げた。当然、小猪も追ってくるが、小猪との距離は縮まることなく、逆にドンドン離れていった。――あれ? オレって、足が早くない?
なんとか、オレは小猪を振り切り逃げきった。
『……もう追ってこないな? ふうっ、ハァ……ハァ、怖かった』
走り回って、あがった息を整えていると、近くに水が流れる音が聞こえた。その水音の方角に足を進めると、オレは森に中を流れる小川を見つけた。
『やった、水だ! ちょうど喉が乾いてたんだよな』
小川で喉を潤して、水の表面に映る自分の姿見て驚きの声をあげた。
〈彼の行き先が、いま神より了解されました。〉
と、どこからか声が聞こえた。
それを聞いて、女神はニッコリ笑い。
『田山様の転生先が決まりましたわ』
『ハァ? え、オレの転生先?』
『前世で頑張った、あなたへのご褒美と言ってもいいかしら? その場所はあなたも……それなりに、たぶん、知っている世界よ。まあ、楽しんでちょうだい』
『えっ? ご褒美? それなりに知った世界? ……いや、いや、俺はまず死んでないって! ま、まてぇ! オレの話を聞けってぇ――!』
全く噛み合わない会話のまま。説明をされないまま。
オレの足元に大きな穴がポッカリ開き、オレは真下に落とされた。
『ヒィィイイ、うわぁああぁぁあ――――しぬぅ! 本当に死ぬって!』
穴に落とされた……ものの数秒。女神は神様からの通信を受け取った。
『はーい、神様どうなされました? ……え、ええ? それはほんとうなのですか? ……ええ、あの方は手違い、田山様は現世に返す人? ……す、すみません、いましがた……異世界に落としてしまいました。はい、はい、すみません……』
落ちるオレの目に、女神は頭を何度も下げて、大量の汗を拭く姿が見える。
『か、神様のおっしゃる通りにいてします。……田山様を完璧にフォローいたします。……大変、すみませんでした』
空いた穴から女神はオレに「ごめんなさいね」と、謝罪が聞こえ。
『田山様、大変申し訳ありません。あなたの体は消滅してしまったので、もとの世界へと戻すこともできません……新しい場所で、新しい姿で第二の人生をお送りください――すみませんでしたわ』
『ハァ! え、謝罪はそれだけ? だからオレの話を聞けって、最初っから言っていただろう! クソッ、女神! 間違えてんじゃねぇ~よ!』
次の瞬間、景色が変わり地面に尻を強打した。
『ウオッ⁉︎ イッ、イテッ! 尻が四つに割れるわ! 女神のバカァ…………って、森? どこの森?』
オレは見知らぬ森の中にいた。女神は転生って言っていたけど……赤ちゃんに生まれ変わる事もなく、違う人物に生まれ変わる転生じゃない? バイト帰りの服装のままだし、なにも変わっていない? これって、どうみても転移だ。
『色々間違われて……な、何も知らない土地に転移した?』
まじかよ――女神は乙女ゲームの世界だと言っていた。しかしここは森の中……転移先も間違えたのか? それも考えられる。
グウッ~腹減ったな。
『そうだ、帰りにコンビニで……って、リュックもメシもない!』
何も持たせず、異世界に落としやがったな。ここがファンタジーだったらチートを貰っているはずだが。女神が言っていた乙女ゲームって言ったことがない。オレは何をするんだ?
『女神! オレを元の世界に返せぇ!』
ムシャクシャして足元に落ちていた小石を蹴り、近くを歩いていた小猪の額にクリーンヒットした。オレは必死に「ごめん」と小猪に謝ったが、言葉の通じない小猪は"ブヒィーー!"と鳴き、前足で土をかき激おこのようだ。
『こ、怖えモンスターだ! 誰かぁ~可愛い獣人の女の子か? 美人なエルフのお姉さん助けにきてぇ~』
オレがいくら叫んでも誰も来てくれない。
突進してきた小猪から反対側に走って逃げた。当然、小猪も追ってくるが、小猪との距離は縮まることなく、逆にドンドン離れていった。――あれ? オレって、足が早くない?
なんとか、オレは小猪を振り切り逃げきった。
『……もう追ってこないな? ふうっ、ハァ……ハァ、怖かった』
走り回って、あがった息を整えていると、近くに水が流れる音が聞こえた。その水音の方角に足を進めると、オレは森に中を流れる小川を見つけた。
『やった、水だ! ちょうど喉が乾いてたんだよな』
小川で喉を潤して、水の表面に映る自分の姿見て驚きの声をあげた。
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