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ルールリア王太子殿下は私の話を聞かず、側妃にせず、ロローナさんを選んだ。私は彼に必要とされていない、ただ己を犠牲にして、執務、視察と働くだけの存在。
――私の幸せは何処にあるの?
(浮気もその理由だけと。優しくそれたかった、幸せになりたかった……だから、私は離縁の道を選んだ)
カサロの森でシシと出会い。シシに愛され、優しくされ、私は必要とされた。愛する息子のチェルも生まれてから5年もたった。いま私はシシとチェル、離れているけど両親がいて、すごく幸せなの。
それに、向こうは見た目が変わったし、興味もない私のことなど気付かないだろう。
〈シシ、彼らが来たら、すぐに私たちは森をでましょう〉
〈ああ、そうした方がいいね〉
「パパ、ママ……ボク、おねむ」
〈眠そうだ。アーシャ、チェルをよろしく〉
そろそろお昼寝の時間だからか、チェルはシシの上であくびをして、いまにも眠ってしまいそうだ。私はシシの背中から、チェルを受け取り抱っこした。
「チェル、眠っていいからね」
「うん、ママ」
チェルは私の腕の中で、よほど眠かったのか、すぐにスースー寝息をあげた。シシが眠ったチェルに頬ずりをして、私にもする。
シシに頬ずりを返す、私の姿を見ていた、ロローナさんはフフッと笑う。
「あなたとその犬、なんだか夫婦みたい……あなた、犬と結婚しているの?」
犬⁉︎ その言い方は失礼すぎて、ムッとした。
シシもこの言い方に、尻尾をブンブンと振っている。
「なら、なんなのですか? ――それに、彼は犬じゃないわ、私の大切なパートナーよ!」
「パートナー? ヘェ~あなた、物好きね」
ロローナさんにシシのいいところを伝えたかったが、複数の足音が近付く音が聞こえた。どうやらルールリア王太子殿下の一行がこの場へと来たみたい。
馬に乗る騎士の後に続き、馬車に乗る王太子殿下は中からロローナさんを見つけると「ロローナ、迎えに来たよ」と声をかけた。
「ルル、迎えに来てくれたのね、ありがとう」
彼の瞳が、彼女の側にいる私たちをとらえた。
その途端、彼が薬指に付けている指輪が淡く光る。その光がなんなのかはわからないけど、すぐに、この場から離れて方がいいと感じた。
ロローナさんが騎士に、馬車までエスコートされる。
〈シシ、ロローナさんはルールリア王太子殿下と出会うことができたわ。チェルも眠ってしまったから、私たちは行きましょう〉
〈アイツが……そうか。アーシャわかった、行こう〉
シシと念話を交わして、私たちはこの場を去ろうとしたが、ルールリア王太子殿下が「待て、アーシャ嬢」と私の名前を呼んだ。
「……君は、見た目が変わったけど、アーシャ嬢だろ? こんなところにいたのか……その身なり、そうとう生活に困っているだろう? 城へ、その子と一緒に帰っておいで」
私がそうとう生活に困っている? 今、私が身に付けている、動きやすい服を見て言っているみたい。――それと、その子? チェルのことを言っているの?
「アーシャ嬢、帰っておいで」
嫌な事だし。
無理な話しだ。
「えっと……殿下にバレているのなら、ハッキリ言います。私たちは離縁しています。それに私はいま幸せで、生活もすこしも困っていません」
チェルを胸に抱っこしたまま頭を下げて、シシと離れようとした――その私に。
「その子は僕との子供だろう? 王家に伝わる魔導具の指輪が示している、その子は王家の血を引く子供だ。アーシャ嬢をこのまま返すわけにはいかない。お前ら、アーシャ嬢を止めろ」
ルールリア王太子殿下の命令で近衛騎士、騎士団が私達を囲んだ。
――私の幸せは何処にあるの?
(浮気もその理由だけと。優しくそれたかった、幸せになりたかった……だから、私は離縁の道を選んだ)
カサロの森でシシと出会い。シシに愛され、優しくされ、私は必要とされた。愛する息子のチェルも生まれてから5年もたった。いま私はシシとチェル、離れているけど両親がいて、すごく幸せなの。
それに、向こうは見た目が変わったし、興味もない私のことなど気付かないだろう。
〈シシ、彼らが来たら、すぐに私たちは森をでましょう〉
〈ああ、そうした方がいいね〉
「パパ、ママ……ボク、おねむ」
〈眠そうだ。アーシャ、チェルをよろしく〉
そろそろお昼寝の時間だからか、チェルはシシの上であくびをして、いまにも眠ってしまいそうだ。私はシシの背中から、チェルを受け取り抱っこした。
「チェル、眠っていいからね」
「うん、ママ」
チェルは私の腕の中で、よほど眠かったのか、すぐにスースー寝息をあげた。シシが眠ったチェルに頬ずりをして、私にもする。
シシに頬ずりを返す、私の姿を見ていた、ロローナさんはフフッと笑う。
「あなたとその犬、なんだか夫婦みたい……あなた、犬と結婚しているの?」
犬⁉︎ その言い方は失礼すぎて、ムッとした。
シシもこの言い方に、尻尾をブンブンと振っている。
「なら、なんなのですか? ――それに、彼は犬じゃないわ、私の大切なパートナーよ!」
「パートナー? ヘェ~あなた、物好きね」
ロローナさんにシシのいいところを伝えたかったが、複数の足音が近付く音が聞こえた。どうやらルールリア王太子殿下の一行がこの場へと来たみたい。
馬に乗る騎士の後に続き、馬車に乗る王太子殿下は中からロローナさんを見つけると「ロローナ、迎えに来たよ」と声をかけた。
「ルル、迎えに来てくれたのね、ありがとう」
彼の瞳が、彼女の側にいる私たちをとらえた。
その途端、彼が薬指に付けている指輪が淡く光る。その光がなんなのかはわからないけど、すぐに、この場から離れて方がいいと感じた。
ロローナさんが騎士に、馬車までエスコートされる。
〈シシ、ロローナさんはルールリア王太子殿下と出会うことができたわ。チェルも眠ってしまったから、私たちは行きましょう〉
〈アイツが……そうか。アーシャわかった、行こう〉
シシと念話を交わして、私たちはこの場を去ろうとしたが、ルールリア王太子殿下が「待て、アーシャ嬢」と私の名前を呼んだ。
「……君は、見た目が変わったけど、アーシャ嬢だろ? こんなところにいたのか……その身なり、そうとう生活に困っているだろう? 城へ、その子と一緒に帰っておいで」
私がそうとう生活に困っている? 今、私が身に付けている、動きやすい服を見て言っているみたい。――それと、その子? チェルのことを言っているの?
「アーシャ嬢、帰っておいで」
嫌な事だし。
無理な話しだ。
「えっと……殿下にバレているのなら、ハッキリ言います。私たちは離縁しています。それに私はいま幸せで、生活もすこしも困っていません」
チェルを胸に抱っこしたまま頭を下げて、シシと離れようとした――その私に。
「その子は僕との子供だろう? 王家に伝わる魔導具の指輪が示している、その子は王家の血を引く子供だ。アーシャ嬢をこのまま返すわけにはいかない。お前ら、アーシャ嬢を止めろ」
ルールリア王太子殿下の命令で近衛騎士、騎士団が私達を囲んだ。
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