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 マキロの森の手前でシシはチェルを抱っこしながら、私の手を取り幻影魔法を使用した。私の前に幻影魔法で作られた、自分が現れるが、少し見た目が私と違っていた。

(なんだか……私と髪の長さとか、体型が少し違わない?)

 シシを見つめると、フンと彼は「当たり前だ、僕のアーシャはアイツに見せたくない!」とやっぱり機嫌が悪い。私も、その人の考えは苦手だけど。その人はもしかするとまだ、人を愛したことがないのかな? とも考えた。

(そう考えたけど。"お金で解決は"前世のあの人と一緒なので許せないわ)

 プンプンと怒る私とシシを、チェルはジッと見つめ。

「ボクもプンプン!」

 可愛く、頬をふくらました。
 そのぷっくり膨らんだ頬の、可愛いチェルの姿に毒気が抜け、ホッコリする。シシに抱っこされるチェルに。

「ママもプンプンね」
「ハハハ、パパもプンプンだな」

 一緒に頬をふくらました。


 
「さてと、森へ行こうか。魔法で作った、幻影のアーシャには同じ場所を歩かせてみる」

「わかったわ」

「そのまえに」と。シシは森に入る前、チェルといっしょにフェンリルの姿へと戻る。――そして、いま森の中にルールリア王太子殿下とロローナさん、近衛騎士、騎士団がいるからか、姿を消す魔法を私たちにかけた。

「つねにヤツらの気配を探れば、いる場所がわかるけど。ソイツらにもアーシャを見せたくないのと、少々面倒だな」

 と、まだ、まだスネスネのシシ。
 その横で私は杖を取り出して、マキロの森の鑑定をした。

 私の前に前の森の地図の記憶と、今の地図が重ね合う。

(ほかの森もだったけど、5年前と森はさほど変わっていないわね。――あ、ルールリア王太子殿下の団体はここから……東側で止まっているわ。そこから近く、西側、滝の近く、奥に瘴気を感じるわ)

「シシ、王太子殿下がいる東、西側、滝の滝の近く、奥に瘴気が発生しているわ、気を引き締めましょう」

「ああ、わかってた。チェル、ママにしっかりつかまってね」

「うん」

 森の鑑定の後。目の前でしゃがんだシシの背中に乗り、マキロの森の中へと進んだ。


 ――その私達が森にはいってすぐ。

「アーシャ、チェル! ジャンプするから、僕にしっかりつかまって!」シシの焦る声と。シシの魔法で姿を消している私達の元へ、何者かが猛スピードで突っ込んできた。
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