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 ご飯だよ。と起こす前に美味しい匂いを嗅ぎ、チェルが目を覚ます。浄化に魔力を使い、私もチェルも腹ペコだ。食事をいただく前にドワーフ達の状況を聞くと、シシは目覚めたドワーフ、まだ眠るドワーフがいると教えてくれた。

 それは濃い瘴気を浴びてしまった、洞窟内のドワーフ達だろう。彼らは浄化が終わったとしても、普段の体調に戻るまで時間はかかる。

「だけど洞窟の中と住処の浄化は終わっているから、じきに目を覚ますと思うわ。体調が良くなる回復薬をシシに渡すから、それを体調がすぐれない、ドワーフ達が飲めば良くなると思う」

 浄化の旅に出る前にマルスル草とローラル草で作った、回復薬がある。数を多めに作ってきたから、渡しても大丈夫だろう。

「ありがとう、アーシャ。食事が終わったら、ドワーフの長に回復薬を渡してくるよ」

「ええ、お願いするわ」

 アイテムボックスからお皿と器を取り出して、チェルようにステーキを食べやすい大きさに切り、パンとスープを取り分けた。

「ママ、ありがとう。いただきます」
「いただきます。チェルたくさん食べなさい、デザートに苺のケーキもあるわよ」
 
「やった! 苺のケーキ!」

 苺のケーキの横に魔力回復する薬草を練り込んだ、クッキーも添えた。

 

 ドワーフ達はまだ本調子ではなく、この食事はシシが近くの街まで行き買ってきたようだ。

「ありがとう、シシ。ごちそうさま」
「パパ、美味しかった。ごちそうさま」

「なかなか、美味かったな」

 シシ、チェルとの食事が終わり、私は洞窟をもう一度みたいとシシに伝えた。それは今回、瘴気がもれた原因となる、ドワーフ達が掘った穴を確認したかった。ここの浄化が終われば、私たちは北の浄化へと向かう。
 
 私たちが北に向かった後で、また洞窟から瘴気が発生してしまったら、すぐここへと戻れないかもしれない。今のうちに、穴の状態を確かめたいと話すと、この話にシシも賛成らしく頷いてくれた。

「わかった。この回復薬を渡すときに、ドワーフの長に許可を貰ってくるよ」

「シシ、ありがとう。チェル、歯磨きしましょう」

 旅先で簡単に済ませれるようにと作った、塩とセージ、ミントをとかした液状の歯磨き。私はこの家の洗面所を借りて、チェルと一緒に歯を磨いた。

 ――さてと。シシが許可をもらって戻るまで、チェルはナナちゃんへお手紙を書くといったので。私はアイテムボックスを開き、薬などの荷物のチェックをはじめた。

(えーっと、ポーションと魔法回復のポーションはまだありそうね。出る前にたくさん作っておいてよかった。それに、ここまでに大きなケガ、病気もなくてよかったわ)

 

 部屋で薬と、食料品の荷物をチェックをしていた。
 コンコンコンと扉を叩き「アーシャ、チェル」と、シシが部屋に入ってきて、

「ドワーフの長から許可を貰ったから、洞窟に行こうと思うけど、準備はいい?」

 と伝えた。
 
「ええ、準備が終わっているわ。チェルもお手紙いい?」
「うん、書けたよ」

 いまから洞窟へ向かうため、少しでも瘴気耐性が高くなる、 子フェルリルになったチェルを抱っこして、シシと一緒に外へ出ると――そこに。

「よっ、シシ嫁とチェル、また会ったな」
「アギさん⁉︎」

 外で、手に枝を持ったエルフの長アギがいた。
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