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 私は喜びを隠せずシシとチェルが待っている、場所へと戻る。その喜びがわかったのか、シシがどうしたのかと聞いた。

「アーシャ、ご機嫌だね。何かいい事があった?」

「ママのお口、喜んでる」

「これを見て、欲しいの」

「うん? 見てるよ、アーシャはすごくお腹が空いていたんだね」

「え? お腹? あ、これは……そうだけど」

 シシが呆れるのもわかる。私は号外の他に、イカカ焼きを10皿と、エビン焼きのソース全種類を持っていたのだ。

「お腹は空いているよ。それよりも、この号外を見て欲しいの」

「号外? このクシャクシャの紙を?」

「そそ、そこの街で拾ったのだけど。ここに書いてある記事を、シシに見てもらいたいわ」

 すぐにでも、シシに号外を読んでもらおうと思ったが、ここは海沿い近くの街で人通りも多い。シシとチェルが人に戻り、ゆっくりお昼ご飯が食べられる場所を探すことにした。


 シシの背中に乗って移動中。シシがいい場所を見つけたのか、足を止めた。

「アーシャ、ここなんてどう?」

「まあ、いいわね。ここなら誰も来ないかしら」

 数分走って見つけた、リポ森の近くの小川のほとり。2人は人に戻り着替え中で、私はアイテムボックスから、さっき買ったイカカ焼きとエビン焼きを取り出した途端。香ばしい、イカカ焼きの香りがしたのだろう。
 
 2人が着替えの途中で、こっちにやってくる。

「香ばしい、いい匂い。そのイカカ焼き、うまそう」

「パパ、うまそう」

「シシ、チェル! ちゃんと着替えてから来なさい、風邪をひくわ」

「「はーい」」

 2人が着替えているあいだ、私は敷物とテーブルを用意して、お湯を沸かして薬草茶を入れた。

「「いただきます」」

 と、お昼ご飯がはじまる。私は香ばしい、かおりがするイカカ焼きをとりかじる。柔らかく甘辛いタレが染み込んだ、イカカ焼きは美味しい。

「美味しい、これは何本でも食べれるわ」

「タルタルかけの、エビン焼きも美味い」

「パパの美味しい」

「ママのも食べる?」

 食べると言ったチェルにイカカ焼きを小さくして、お皿に乗せた。美味しい、美味しいとタルタルとタレのエビン焼きに手が止まらない。お腹が空いていたのもあり、私たちはあっという間に、イカカ焼き10皿とエビン焼きを食べてしまった。

「「ごちそうさま」」

 チェルはナナちゃんへ、イカカ焼きとエビン焼きの絵を描くとウトウトと眠ってしまった。私はチェルを寝かせて、薬草茶を飲むシシにさっきの号外を見せた。

 シシは号外を受け取り、記事に目を通して頷く。

「ようやく聖女が生まれたのか。これで、アーシャが浄化しなくてもよくなるね」

「そうなの。シシとチェルで、いろんな国を旅できるわ」

「家族旅行か、いいな。遠くに住む友にアーシャとチェルを紹介したい」

「シシの友達? それは会うのが楽しみね」

 私とシシは聖女誕生を喜んだ。
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