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「魔力を使うと腹が減るのは分かるが……クククッ、それにしてもすごい腹の音だな」

 アギはトマを抱えながら笑った。
 
「まあな。一応、入れないように結界は張ったが、荷物の後片付けもあるから戻ってもいいか?」

「そうね。片付けないと、炊いたご飯と焼き鳥が冷えて固くなってしまうわ」
 
 私たちがお腹が空くのは当たり前。お昼の時間はとうにすぎ、もうすぐ夕方になる。しまったと、私を連れてきたエルフは、長のアギに耳打ちした。その後、彼に頬っぺたを引っ張られた。

「おまえ説明なしに、シシの嫁さんをここへ連れてきたのか! ――すまん、シシたちは昼食中だったんだな。緊急を要したが、迷惑をかけた。それで、浄化のお礼にいまから宴を開きたいが、あいにく肉がない。――お前ら、シシの嫁さんに毒の捌き方を習ったんだよな! いまからピヨピヨ鳥を撮りに行くぞ!」

「「おう!」」

 瘴気を浄化して動けるようになったばかりなのに、止める間もなく、狩に出ていくアギと男のエルフたち。シシか、トマが「行くな」と止めるのかと思ったが、2人は何も言わずに彼らを見送った。

「ねぇシシ、彼らを狩へ行かせちゃって、いいの?」
 
「ああ……ボクはアギの性格は嫌っていうほど知ってる。止めるだけ無駄になる」
 
「ワタシもシシ様に同意見です。アギを、止めるだけ無駄ですわ」

 彼を知っている2人が言うなら。私たちはオールの森で、出しっぱなしの食器類を片付けに向かおうと、連れさらわれた木まで戻ってきた。やはり時間が経ってしまって、炊いたコメは冷えて固まり、焼き鳥もかたくなってしまっていた。

(こうなってしまったら、焼き鳥を入れた雑炊にしちゃった方がいいわね)

「アーシャ。食器類の片付けが終わった」
「ママ、かたずけ終わったよ」

「ありがとう、シシ、チェル。それじゃ、エルフの村へ戻りましょう」

 私たちが戻ると同じくらいに、アギとエルフたちが2頭のピヨピヨ鳥を狩って戻ってきた。彼らは自分たちが必要、食べる分だけ狩りをしてきたようだ。

 アギは手を振りシシを呼んで、毒のありかを聞きながら、ピヨピヨ鳥を解体しはじめた。私とチェルは火を使える借りて、大きな鍋で固くなってしまった、焼き鳥とコメで雑炊を作っている。

(エルフも、私たちと同じ必要なだけの狩りだわ。でも貴族たちの狩りは……食事を調達する狩りではなく。優雅に馬を操り、狩猟技を見せる貴族の嗜み……狩っても食さない貴族が多かった)

 いくら伝えても聞かないから。私はアイテムボックスに集め、さばいて、調理をするか。生肉を教会、養護施設へと寄付していた。
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