31 / 110
30
しおりを挟む
シシカバの広場で、昨夜作った2人が好きなハンバーグとコーンスープ。今朝作ったおにぎりと目玉焼きを詰めた、お弁当をアイテムボックスから取りだした。
チェルはワクワクしたからお弁当箱の蓋を開き、大好きなハンバーグをみて、満面な笑みを浮かべた。
「あ、ボクの好きな、ママのハンバーグだ」
「ボクも、アーシャのハンバーグ好きだ」
「フフ、2人とも好きだものね。待って、いま……私はできないわね、シシ温めてくれる」
「いいよ、まかせて」
シシはうれしそうに魔法でハンバーグを温めて、他に温めるご飯は? と聞いてきた。いつもは私が温めていたけど……。
(すごく嬉しそう、シシも頼られたかったのかな? だったら甘えちゃおう)
「ありがとう、シシ。コーンスープもお願いできる?」
「おう、いくらでも頼って」
ニシシッと可愛く笑い。温めた料理を並べて、チェルと私の料理を先に取り分けてくれる。「さぁ食べよう」とみんなで「いただきます」をして食事をはじめた。
チェルはお子様用の木製のフォークで、シシは大人用で、2人ともハンバーグを口いっぱいに頬張った。
「ハンバーグ、美味しい!」
「うまいな。コーンスープもいい」
「ほんと美味しい……やっぱり、みんなで食べるご飯は美味しいわ」
昨日。1人で食事をとっていたとき、昔をふと思い出した。婚約者、王太子妃の頃から、公の場以外での陛下と王妃との食事はなく。
殿下は執務、視察だと一緒に食事を摂ることが、段々と少なくなっていった。1人の食堂、1人の部屋での食事は、段々と味がしなくなっていったし。前世もそうだったと思い出した。
殿下と離縁をして。カサロの森でシシと出会い、食事の楽しさを思いだせた。たくさん食べるシシ、好き嫌いなく食べてくれるチェルと、食べる食事は楽しくておいしい。
食事を終えてた私たちは広場でまったりしていた。広場の中央に建つ、時計台の時計がボーンと鳴った。時刻は2時半、そろそろ冒険者ギルドに行く時間だ。
「シシ、チェル、冒険者ギルドに行ってくるわ。2人はここにいる? それともローレルのケーキ屋で待ってる?」
「んー、ボクお腹いっぱいだから。パパと、ここでママを待ってる」
「ボクもお腹いっぱいだ。チェルとこの広場で待っているよ」
「わかった、ギルドでポーションと無限ボックスを渡して、ギルドマスターと話が終わったら、すぐに戻ってくるわ」
シシとチェルに広場で持ってもらい、私は冒険者ギルドへ向かった。
アーシャを見送り、ボクは広場でチェルと遊具で遊んでいた。とつじょ、シシカバの街入り口から……なにか、変な感じがした。
それをチェルも感じたのか、遊んでいた遊具から降りてボクに引っ付いた。
「パパ! パパ、変だよ」
「そうだね。でも、パパがいるから大丈夫だよ」
(この嫌な感じは……何者かが、魔道具を使用している?)
ボクは怯えるチェルを、抱っこした。
チェルはワクワクしたからお弁当箱の蓋を開き、大好きなハンバーグをみて、満面な笑みを浮かべた。
「あ、ボクの好きな、ママのハンバーグだ」
「ボクも、アーシャのハンバーグ好きだ」
「フフ、2人とも好きだものね。待って、いま……私はできないわね、シシ温めてくれる」
「いいよ、まかせて」
シシはうれしそうに魔法でハンバーグを温めて、他に温めるご飯は? と聞いてきた。いつもは私が温めていたけど……。
(すごく嬉しそう、シシも頼られたかったのかな? だったら甘えちゃおう)
「ありがとう、シシ。コーンスープもお願いできる?」
「おう、いくらでも頼って」
ニシシッと可愛く笑い。温めた料理を並べて、チェルと私の料理を先に取り分けてくれる。「さぁ食べよう」とみんなで「いただきます」をして食事をはじめた。
チェルはお子様用の木製のフォークで、シシは大人用で、2人ともハンバーグを口いっぱいに頬張った。
「ハンバーグ、美味しい!」
「うまいな。コーンスープもいい」
「ほんと美味しい……やっぱり、みんなで食べるご飯は美味しいわ」
昨日。1人で食事をとっていたとき、昔をふと思い出した。婚約者、王太子妃の頃から、公の場以外での陛下と王妃との食事はなく。
殿下は執務、視察だと一緒に食事を摂ることが、段々と少なくなっていった。1人の食堂、1人の部屋での食事は、段々と味がしなくなっていったし。前世もそうだったと思い出した。
殿下と離縁をして。カサロの森でシシと出会い、食事の楽しさを思いだせた。たくさん食べるシシ、好き嫌いなく食べてくれるチェルと、食べる食事は楽しくておいしい。
食事を終えてた私たちは広場でまったりしていた。広場の中央に建つ、時計台の時計がボーンと鳴った。時刻は2時半、そろそろ冒険者ギルドに行く時間だ。
「シシ、チェル、冒険者ギルドに行ってくるわ。2人はここにいる? それともローレルのケーキ屋で待ってる?」
「んー、ボクお腹いっぱいだから。パパと、ここでママを待ってる」
「ボクもお腹いっぱいだ。チェルとこの広場で待っているよ」
「わかった、ギルドでポーションと無限ボックスを渡して、ギルドマスターと話が終わったら、すぐに戻ってくるわ」
シシとチェルに広場で持ってもらい、私は冒険者ギルドへ向かった。
アーシャを見送り、ボクは広場でチェルと遊具で遊んでいた。とつじょ、シシカバの街入り口から……なにか、変な感じがした。
それをチェルも感じたのか、遊んでいた遊具から降りてボクに引っ付いた。
「パパ! パパ、変だよ」
「そうだね。でも、パパがいるから大丈夫だよ」
(この嫌な感じは……何者かが、魔道具を使用している?)
ボクは怯えるチェルを、抱っこした。
67
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
【完結】もうやめましょう。あなたが愛しているのはその人です
堀 和三盆
恋愛
「それじゃあ、ちょっと番に会いに行ってくるから。ええと帰りは……7日後、かな…」
申し訳なさそうに眉を下げながら。
でも、どこかいそいそと浮足立った様子でそう言ってくる夫に対し、
「行ってらっしゃい、気を付けて。番さんによろしくね!」
別にどうってことがないような顔をして。そんな夫を元気に送り出すアナリーズ。
獣人であるアナリーズの夫――ジョイが魂の伴侶とも言える番に出会ってしまった以上、この先もアナリーズと夫婦関係を続けるためには、彼がある程度の時間を番の女性と共に過ごす必要があるのだ。
『別に性的な接触は必要ないし、獣人としての本能を抑えるために、番と二人で一定時間楽しく過ごすだけ』
『だから浮気とは違うし、この先も夫婦としてやっていくためにはどうしても必要なこと』
――そんな説明を受けてからもうずいぶんと経つ。
だから夫のジョイは一カ月に一度、仕事ついでに番の女性と会うために出かけるのだ……妻であるアナリーズをこの家に残して。
夫であるジョイを愛しているから。
必ず自分の元へと帰ってきて欲しいから。
アナリーズはそれを受け入れて、今日も番の元へと向かう夫を送り出す。
顔には飛び切りの笑顔を張り付けて。
夫の背中を見送る度に、自分の内側がズタズタに引き裂かれていく痛みには気付かぬふりをして――――――。
旦那様は私に隠れて他の人と子供を育てていました
榎夜
恋愛
旦那様が怪しいんです。
私と旦那様は結婚して4年目になります。
可愛い2人の子供にも恵まれて、幸せな日々送っていました。
でも旦那様は.........
【完結】私が貴方の元を去ったわけ
なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」
国の英雄であるレイクス。
彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。
離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。
妻であった彼女が突然去っていった理由を……
レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。
◇◇◇
プロローグ、エピローグを入れて全13話
完結まで執筆済みです。
久しぶりのショートショート。
懺悔をテーマに書いた作品です。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
【完結】政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる