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ピッカリン鉱石⑥

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 奴らはどこからか情報を仕入れ、ボクが採掘した特殊鉱石を狙っている――そんな気がしてならない。
 前の特殊鉱石の採掘のときも、奴らはいいタイミングで現れた。

(ボクの知り合いの中に、その盗賊ギルドと繋がる人が居るようだ)

 ボクは素早くカバンに片付け、シャルに声をかける。

「シャル! すぐに、このダンジョンから出よう。奴らに、絡まれると厄介だ!」
 
「う、うん……そうだね、チロ、行こう」
「どうしたの、シャル?」
「いや、なんでもない」
「出口まで手を繋いでいこう、スライムが出たら守ってくれ」

 最近変な、シャルだ――まあ、君の事情は知っているよ。君が家族の事で盗賊ギルドに脅されている事も。ボクは他の人――アイツから聞くんじゃなくて「助けて」と一言、君の口から聞きたい。

 ボク、シャルが思うほど……そんなに弱くないんだよ。
 まあ、実際に獣人のシャルには負けるだろうけど。人間相手ならなんとかなる。

 ボクはシャルに気付かれないよう、ピッカリン鉱石を採掘した行き止まりの穴に。小さな、小さなピッカリン鉱石のカケラをばら撒いた。

 シャルがボクに気付かれないよう、穴の入り口に印をしたから。奴らはあの穴の中に入り、僕がいま蒔いたピッカリン鉱石のかけらを踏むだろう。

 ピッカリン鉱石の原石は魔法などで、特殊な加工しないと、少しの衝撃で目をつぶすほどの光を放つ。だから、採掘するときに特殊なピッケルとゴーグルを付け、特殊なケースにしまわなくてはならない。

(今回の採掘で取れた大きなピッカリン鉱石。あれだけなサイズは珍しい、アイツはさぞかし喜ぶだろうな)

 ボクとシャルは奴らが来る前に、ダンジョンを抜け出し、家まで戻ると依頼主宛にピッカリン鉱石を送る。送り方は――おばちゃんの研究室にある魔法陣の上に品物を置き、あとは魔力を込めて魔法陣を発動させればいい。

 そうすれば。

 送り主――おばちゃんの弟子、王弟殿下の研究所に届く。
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