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空森島にやってきたモフモフ黒い鳥。

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 日が暮れた空森島にライトの灯りを灯して、テイムしたスライム達も仲間に入りして、デザートのアイスを食べている。

 準備した、ほとんどの食料は食べ尽くして。
 オッサンとサン先生は野菜をつまみに、鬼人産の酒を飲んでいる。

「黒はちっさいくせに俺より食うなぁ、ガハハハッ!」
 
「その小さい体のどこに、あれだけの料理が入ったのでしょうか?」

「余は腹いっぱいじゃ」

 酔っ払いのオッサン達の横にころがる腹をパンパンにした黒。
 魔女先生とヌヌは王都で流行るコスメの話。
 俺とエン、スライム達とまったりじゃれていた。

「エン、しっかり食べたか?」

「ああ、しっかり食べたよ。お好み焼きと冷やしうどんが美味かった――ローリスに元気をもらったから、遠征に行ってもひと暴れできそうだ!」

「「キュ」」

「おい、おい、そんなこと言って怪我するなよ。俺もだけど、スライムたちも心配してる」

「ククッ、ありがとう」

 夜空を見上げ、空森島から見えるまんてんな星空を眺めていた。
 腹いっぱいの黒がとつじょ立ちあがり、俺たちを見まわした。

「黒、どうした?」

「みんなにいつと言ってあったろ? 余がどこから来たのかを。ローリス、ヌヌ、みんな、余は大昔――魔王と呼ばれておった」

「「魔王?」」

 大昔に勇者に倒されて、いまもなお王都を怨念攻撃する魔王?

 オッサンは拳を構え、サン先生は杖を取りだした。
 魔女先生はヌヌを背に隠して、エンと俺、スライム達も息をのむ。

 その姿に魔王はあわてる。

「ま、まってくれ。余は魔王じゃが……勇者に倒されてから眠り、ようやく目を覚ましたのじゃ。いまは力なき名ばかりの魔王じゃ」

「じゃ、なんでこの王都を攻撃する!」

 ――俺の言葉に魔王は。

「それなんじゃが――余は玉座にある水晶に魔力を封じ込めた……いつか訪れる勇者に、この身を滅びしてもらうために」

「はあ? 倒されるために?」

 小さい体で黒は大きく頷いた。

「余の名は魔王ルルシア・ボーディス。最後の魔王だ……魔族たちのあいだに病魔が流行りみんな眠りについた……余しか残らなかった、国には余一人しかいなかったのだ」

「病魔――三百年前でしたか? ありましたね。私と魔女で特効薬を作り、なんなき終えましたが……」

「ええ、そうね」

 ――サン先生と魔女先生は三百歳以上!

「そうか――しかし、人間はその病魔を余たち魔族のせいにした。余はみんなを助けたくて人間の世界に特効薬をもらいにいき、魔族だからと追い出されたのじゃ」

 悲しそうな黒。

「……黒」
「黒ちゃん」

「余は倒れていく仲間を見送り、かくなる余も病魔に襲われたのじゃ。しかし余の魔力は歴代魔王よりも多く、余は病魔に襲われていても勇者よりも強かった……だから、水晶に魔力を閉じ込めたのじゃ」
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