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空森島にやってきたモフモフ黒い鳥。
三
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日が暮れた空森島にライトの灯りを灯して、テイムしたスライム達も仲間に入りして、デザートのアイスを食べている。
準備した、ほとんどの食料は食べ尽くして。
オッサンとサン先生は野菜をつまみに、鬼人産の酒を飲んでいる。
「黒はちっさいくせに俺より食うなぁ、ガハハハッ!」
「その小さい体のどこに、あれだけの料理が入ったのでしょうか?」
「余は腹いっぱいじゃ」
酔っ払いのオッサン達の横にころがる腹をパンパンにした黒。
魔女先生とヌヌは王都で流行るコスメの話。
俺とエン、スライム達とまったりじゃれていた。
「エン、しっかり食べたか?」
「ああ、しっかり食べたよ。お好み焼きと冷やしうどんが美味かった――ローリスに元気をもらったから、遠征に行ってもひと暴れできそうだ!」
「「キュ」」
「おい、おい、そんなこと言って怪我するなよ。俺もだけど、スライムたちも心配してる」
「ククッ、ありがとう」
夜空を見上げ、空森島から見えるまんてんな星空を眺めていた。
腹いっぱいの黒がとつじょ立ちあがり、俺たちを見まわした。
「黒、どうした?」
「みんなにいつと言ってあったろ? 余がどこから来たのかを。ローリス、ヌヌ、みんな、余は大昔――魔王と呼ばれておった」
「「魔王?」」
大昔に勇者に倒されて、いまもなお王都を怨念攻撃する魔王?
オッサンは拳を構え、サン先生は杖を取りだした。
魔女先生はヌヌを背に隠して、エンと俺、スライム達も息をのむ。
その姿に魔王はあわてる。
「ま、まってくれ。余は魔王じゃが……勇者に倒されてから眠り、ようやく目を覚ましたのじゃ。いまは力なき名ばかりの魔王じゃ」
「じゃ、なんでこの王都を攻撃する!」
――俺の言葉に魔王は。
「それなんじゃが――余は玉座にある水晶に魔力を封じ込めた……いつか訪れる勇者に、この身を滅びしてもらうために」
「はあ? 倒されるために?」
小さい体で黒は大きく頷いた。
「余の名は魔王ルルシア・ボーディス。最後の魔王だ……魔族たちのあいだに病魔が流行りみんな眠りについた……余しか残らなかった、国には余一人しかいなかったのだ」
「病魔――三百年前でしたか? ありましたね。私と魔女で特効薬を作り、なんなき終えましたが……」
「ええ、そうね」
――サン先生と魔女先生は三百歳以上!
「そうか――しかし、人間はその病魔を余たち魔族のせいにした。余はみんなを助けたくて人間の世界に特効薬をもらいにいき、魔族だからと追い出されたのじゃ」
悲しそうな黒。
「……黒」
「黒ちゃん」
「余は倒れていく仲間を見送り、かくなる余も病魔に襲われたのじゃ。しかし余の魔力は歴代魔王よりも多く、余は病魔に襲われていても勇者よりも強かった……だから、水晶に魔力を閉じ込めたのじゃ」
準備した、ほとんどの食料は食べ尽くして。
オッサンとサン先生は野菜をつまみに、鬼人産の酒を飲んでいる。
「黒はちっさいくせに俺より食うなぁ、ガハハハッ!」
「その小さい体のどこに、あれだけの料理が入ったのでしょうか?」
「余は腹いっぱいじゃ」
酔っ払いのオッサン達の横にころがる腹をパンパンにした黒。
魔女先生とヌヌは王都で流行るコスメの話。
俺とエン、スライム達とまったりじゃれていた。
「エン、しっかり食べたか?」
「ああ、しっかり食べたよ。お好み焼きと冷やしうどんが美味かった――ローリスに元気をもらったから、遠征に行ってもひと暴れできそうだ!」
「「キュ」」
「おい、おい、そんなこと言って怪我するなよ。俺もだけど、スライムたちも心配してる」
「ククッ、ありがとう」
夜空を見上げ、空森島から見えるまんてんな星空を眺めていた。
腹いっぱいの黒がとつじょ立ちあがり、俺たちを見まわした。
「黒、どうした?」
「みんなにいつと言ってあったろ? 余がどこから来たのかを。ローリス、ヌヌ、みんな、余は大昔――魔王と呼ばれておった」
「「魔王?」」
大昔に勇者に倒されて、いまもなお王都を怨念攻撃する魔王?
オッサンは拳を構え、サン先生は杖を取りだした。
魔女先生はヌヌを背に隠して、エンと俺、スライム達も息をのむ。
その姿に魔王はあわてる。
「ま、まってくれ。余は魔王じゃが……勇者に倒されてから眠り、ようやく目を覚ましたのじゃ。いまは力なき名ばかりの魔王じゃ」
「じゃ、なんでこの王都を攻撃する!」
――俺の言葉に魔王は。
「それなんじゃが――余は玉座にある水晶に魔力を封じ込めた……いつか訪れる勇者に、この身を滅びしてもらうために」
「はあ? 倒されるために?」
小さい体で黒は大きく頷いた。
「余の名は魔王ルルシア・ボーディス。最後の魔王だ……魔族たちのあいだに病魔が流行りみんな眠りについた……余しか残らなかった、国には余一人しかいなかったのだ」
「病魔――三百年前でしたか? ありましたね。私と魔女で特効薬を作り、なんなき終えましたが……」
「ええ、そうね」
――サン先生と魔女先生は三百歳以上!
「そうか――しかし、人間はその病魔を余たち魔族のせいにした。余はみんなを助けたくて人間の世界に特効薬をもらいにいき、魔族だからと追い出されたのじゃ」
悲しそうな黒。
「……黒」
「黒ちゃん」
「余は倒れていく仲間を見送り、かくなる余も病魔に襲われたのじゃ。しかし余の魔力は歴代魔王よりも多く、余は病魔に襲われていても勇者よりも強かった……だから、水晶に魔力を閉じ込めたのじゃ」
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