13 / 47
十三
しおりを挟む
魔法省から準備ができたと連絡が入り。華やかな王の間を離れて、俺達は魔法省の塔へと、オッサンと副団長の案内でバラが咲く庭園を通り移動している。女子たちは綺麗なバラの花に見惚れて、瞳を輝かせ、頬を染め、周りをキョロキョロみまわす。
「ケッ! 食えねぇのに花なんか見て、何が楽しんだぁ?」
獣人のチャ、他の男どもも花よりも団子のようで、それに反発する女子群。
「わかってないわね、綺麗な花を見れば心が癒されるの!」
「バラの香りを楽しみなさい!」
「こんなに綺麗なのに楽しめないなんて、かわいそう」
「癒されねぇーよ!」
バラ一つでワチャワチャしだす。しかし、エンは相変わらずで、他の奴になぁ「そうだろ?」と聞かれても「そうか?」と興味なく答えていた。
そのなか――俺はと言うと綺麗なバラに浮かれていた。
(スゲェ、バラって赤だけじゃなく、ピンク、白、黄色があるのか……綺麗だ。こんなバラに囲まれて昼寝したいなぁ)
香りにつられてフラッとする。
「ローリス君、どこに行くのですか?」
ちょっと近くのバラを見ようとしただけで、オッサンではなく、隣にいたサン先生に手を握られる。それを見た女子が反応した。あぁ、またか……どこの世界でも女性は男同士がくっつくと(迷子防止に手を繋いだけ)気になり、好きなようだ。
いかついオッサンと副団長に時は普通だったのに。
まあ俺はイケメンで、サン先生も負けずイケメンだからかな?
ーーしかし、まー、なんていうか……その視線やめて。
俺知ってる腐女子と言うんだろ? 普通にイケメンの友達と買い物、食事、旅行、部署が近くてコーヒーを飲みながらの立ち話。他の連中より少しばかり仲が良かっただけで……色々と訳のわからんことを聞かれたな……あれにはビビッたよ。
ニヤニヤした瞳というか――にやけ顔?
『二人は付き合っているの?』
突き合う? ……付き合う?
『……はぁ? やめてくれ……俺とアイツはふつうの男友達だ!』
昔、その子らが言うにはモブ顔? だからか。よく、その手の女子によく話しかけられたーーその子いわく、イケメンとモブがいいのだと。
ーーそんなこと、どうでもいい。
庭園を後にして、さっきよりは飾りっ気のない質素な廊下を歩き。城の端、石垣造りの塔に着いた。オッサンは魔法省プレートが貼られたの木製の扉で足を止め、扉をノックして開けた。
――ウッ!
鼻のいい獣人達が顔をしかめる。その後――俺達も部屋の中から香る、独特な香りに鼻を押さえた。魔法省の中は調合室のようで。右側の本棚から本というか魔導書が溢れて床にも散らかり、木の棚には青、赤、紫の液体が並ぶ。中央のテーブルには調合具が所狭しと置いてあった。
(魔法省って薬の開発もしているのか……隣に住んでいたばっちゃんが体にいいと作っていた、薬草スムージーの香りに似てる)
「ここが魔法省だ」
オッサンの説明をするが。部屋の強烈なニオイに――フルーティーでスパイシーなバラの香りは消えて。庭園でバラの花を楽しんだ女子も、花より団子の男子も――みんな、この香りにゲンナリした。
「ケッ! 食えねぇのに花なんか見て、何が楽しんだぁ?」
獣人のチャ、他の男どもも花よりも団子のようで、それに反発する女子群。
「わかってないわね、綺麗な花を見れば心が癒されるの!」
「バラの香りを楽しみなさい!」
「こんなに綺麗なのに楽しめないなんて、かわいそう」
「癒されねぇーよ!」
バラ一つでワチャワチャしだす。しかし、エンは相変わらずで、他の奴になぁ「そうだろ?」と聞かれても「そうか?」と興味なく答えていた。
そのなか――俺はと言うと綺麗なバラに浮かれていた。
(スゲェ、バラって赤だけじゃなく、ピンク、白、黄色があるのか……綺麗だ。こんなバラに囲まれて昼寝したいなぁ)
香りにつられてフラッとする。
「ローリス君、どこに行くのですか?」
ちょっと近くのバラを見ようとしただけで、オッサンではなく、隣にいたサン先生に手を握られる。それを見た女子が反応した。あぁ、またか……どこの世界でも女性は男同士がくっつくと(迷子防止に手を繋いだけ)気になり、好きなようだ。
いかついオッサンと副団長に時は普通だったのに。
まあ俺はイケメンで、サン先生も負けずイケメンだからかな?
ーーしかし、まー、なんていうか……その視線やめて。
俺知ってる腐女子と言うんだろ? 普通にイケメンの友達と買い物、食事、旅行、部署が近くてコーヒーを飲みながらの立ち話。他の連中より少しばかり仲が良かっただけで……色々と訳のわからんことを聞かれたな……あれにはビビッたよ。
ニヤニヤした瞳というか――にやけ顔?
『二人は付き合っているの?』
突き合う? ……付き合う?
『……はぁ? やめてくれ……俺とアイツはふつうの男友達だ!』
昔、その子らが言うにはモブ顔? だからか。よく、その手の女子によく話しかけられたーーその子いわく、イケメンとモブがいいのだと。
ーーそんなこと、どうでもいい。
庭園を後にして、さっきよりは飾りっ気のない質素な廊下を歩き。城の端、石垣造りの塔に着いた。オッサンは魔法省プレートが貼られたの木製の扉で足を止め、扉をノックして開けた。
――ウッ!
鼻のいい獣人達が顔をしかめる。その後――俺達も部屋の中から香る、独特な香りに鼻を押さえた。魔法省の中は調合室のようで。右側の本棚から本というか魔導書が溢れて床にも散らかり、木の棚には青、赤、紫の液体が並ぶ。中央のテーブルには調合具が所狭しと置いてあった。
(魔法省って薬の開発もしているのか……隣に住んでいたばっちゃんが体にいいと作っていた、薬草スムージーの香りに似てる)
「ここが魔法省だ」
オッサンの説明をするが。部屋の強烈なニオイに――フルーティーでスパイシーなバラの香りは消えて。庭園でバラの花を楽しんだ女子も、花より団子の男子も――みんな、この香りにゲンナリした。
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります
樹結理(きゆり)
恋愛
突然異世界に召還された平々凡々な女子大生。
勇者になれと言われましたが、嫌なので引きこもらせていただきます。
平凡な女子大生で毎日無気力に過ごしていたけど、バイトの帰り道に突然異世界に召還されちゃった!召還された世界は魔法にドラゴンに、漫画やアニメの世界じゃあるまいし!
影のあるイケメンに助けられ、もふもふ銀狼は超絶イケメンで甘々だし、イケメン王子たちにはからかわれるし。
色んなイケメンに囲まれながら頑張って魔法覚えて戦う、無気力女子大生の成長記録。守りたい大事な人たちが出来るまでのお話。
前半恋愛面少なめです。後半糖度高めになっていきます。
※この作品は小説家になろうで完結済みです
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
【第1章完】セブンでイレブン‼~現代に転移した魔王、サッカーで世界制覇を目指す~
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
ジパングリーグ加盟を目指して創設されたサッカークラブ、『アウゲンブリック船橋』。
しかし、様々な不祥事に見舞われ、早々とクラブ解散の危機に追い込まれてしまう。そんな現状に新人広報七瀬ななみはただただ、途方に暮れていた。
そんな時、クラブハウスに雷が落ちる。慌てて建物の中に向かったななみが出会ったのは、『魔王』だった⁉
ドタバタサッカーコメデイー、ここにキックオフ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる