上 下
8 / 47

しおりを挟む
 翌日、俺たちは王城に王と魔法検査に向かっている。相変わらず周りの人は俺たちを見てあーだ、こーだと言っている。(俺には聞こえるが)みんなには前日おぼえた魔法耳栓(人語だけを遮断)をつけてもらっているから、何を言われても安心だが……

 ――騎士団長のオッサンさん、あんた何考えたんだぁ! 

 いくら迷子防止の為とはいえ、団長と副団長(両方いかつい男)に両手を繋がれるなんて、どうせ繋ぐなら、綺麗なお姉さんがよかった。


 190センチあるであろう、長身の二人と低い俺ではどう見ても、昔テレビで見た"宇宙人捕獲"王都民に笑われて仲間にも笑われ、サン先生なんか「よかったですね」じゃないだろう!


 ーー拗ねるぞ! 


 ご丁寧に迷子札も人が読めないからと、亜人語からこっちの言葉に変わっているし……………ん? 俺たちが徒歩で王都に向かう途中、何処からか邪悪な魔力を感じた……俺は青空を見上げて辺りを見回した。


 その俺の行動に、

「どうした、小僧……」
「どうしたのですか?」


 手を繋ぐ二人が聞く。


「オッサンと副団長――何か得体の知れない魔力を感じた……エン、お前は何か感じたか?」

 オッサンの隣を歩くエンに聞いた。

「何も感じないけど?」

 首を傾げるエンの奥、サン先生にも聞くが首を振り、わざとらしく俺から視線を外して「何も感じないです」と言った。

 あきらかに何か勘付いているサン先生の行動……いつもより変だな。あ、もしかして。連れてこられた日に説明を受けた、勇者によって倒された魔王の怨念攻撃なのか?

(漆黒の闇……禍々しくて、魔力の違いに気持ち悪く……巨大な魔力が)

 ――来る!

 俺は魔力を感じた方角の空を見上げた。そんな俺の瞳に見えたのは、この王城の真上に浮かぶ空森島。その空森島にかがやく魔法陣が浮かんだかと思うと、王都と全体を覆う結界が張られた。

「皆さん、頭を抱えて伏せて!」

 サン先生の声にみんなは頭を抱えしゃがんだ、周りの王都民は何事かと、いぶがしげに俺たちみ見ていたが……ドゴーーン!! と、ぶつかる衝撃音と地震のように足元がグラグラ揺れたのを感じて、王都民達も頭を守り物陰に隠れた。  

「早く物陰に隠れろ!」
「コッチだ、みんな非難しろ!」

「避難場所はここだ!」

 避難場所を見ると魔法結界が張ってあった……王都民は声を掛け合い慌てることなく、王都内にある魔法結界の場所に避難していく。走れないお年寄り、子供達は大人たちが手分けしてが守っていた。

(……王都民はコレに慣れている?)

 あまりの手際の良さにそう感じた。しかし――誰一人、騎士団長と副団長に隠れろと言う者はいたが……サン先生を含む、俺たちに声をかけるものはいなかった。

 ――クソッ、差別しすぎだろう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)
恋愛
突然異世界に召還された平々凡々な女子大生。 勇者になれと言われましたが、嫌なので引きこもらせていただきます。 平凡な女子大生で毎日無気力に過ごしていたけど、バイトの帰り道に突然異世界に召還されちゃった!召還された世界は魔法にドラゴンに、漫画やアニメの世界じゃあるまいし! 影のあるイケメンに助けられ、もふもふ銀狼は超絶イケメンで甘々だし、イケメン王子たちにはからかわれるし。 色んなイケメンに囲まれながら頑張って魔法覚えて戦う、無気力女子大生の成長記録。守りたい大事な人たちが出来るまでのお話。 前半恋愛面少なめです。後半糖度高めになっていきます。 ※この作品は小説家になろうで完結済みです

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...