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 王都の施設にきて早一週間。
 俺達のウチの誰かに国を守らせるためか、みんなは優しくしてくれる。

 早朝 六時起床して朝食をとりに食堂に行くも、建物の外に出た俺は門番の騎士に「その首の札は……もしかして、君がローリス君かい」と、みんなが集まる食堂に向かっている。今回の門番は初めてだってらしく、優しい目を向けられた。

 ――いたたまれない。

「他の騎士に話は聞いていたよ」
「すみません」

 いやいやと、騎士と手を繋ぎ食堂に現れた俺を見て、エルフのカンとヤヤ、獣人のチャとラム、ナエ、竜人のエン――同じ歳のみんなは笑う。

「ローリス、またか!」
「おはよう、ローリス君」

「おはよう、みんな」

「ローリスのバーカ!」
「ダメね」
「フフ」

 獣人は茶化して、竜人のエンは真面目に考えて、まじめに答える。

「明日から、私がトイレの時もズッと、手を繋ごう」
「エン、それだけは、やめてくれ」


 初日に国の説明をしてくれた、サンは俺たちの魔法の先生で、歳もかなり上だそうだ。あの空森島にもいたらしい、いまは教えた生徒が二人――空森島にいて国を守っていると言った。

「フフ、困りましたね――ローリス君の方向音痴はかなりのもの……ここはみんなで助け合い、交代してローリス君のそばにいましょう」

「「はい!」」

「…………おねがい、やめて」

 弱い十歳の俺、またしても迷子扱いかぁ!
 こうなったら、転移魔法を覚えてやると決めた。







 施設の中に古い書物などが置いてある書庫がある、が、俺一人じゃ到達できない。それで考えたのが昼休みエンは書庫に行くのを知っている、その後をコッソリ着いていけば、俺も迷うことなく書庫にいけるんじゃないかと、思った。

 ――だがしかし。

「ローリス、何をしてる?」

 廊下の曲がり角で待っていたエンに、呆気なくエンに見つかった。竜人は勘が鋭いのか……知らなかたよ。

「こんにちは、エン。いまから、書庫に行こうと思ってな」

「そう? ローリス、私は講義室に来たんだけど……」

(ゲッ、エンにやられた……)

「エン、書庫まで連れて行ってくれる?」
「わかった、返す本を持って行くから待ってて」

 そんなエンと並んで、書庫に移動した。

 書庫の中は古い紙の匂い、数々の擦り切れた魔法の本――俺たちと同じ亜人達も、ここで本を読んだのだろう。

 ――まず、初めに建物全体をサーチして、自分が行くところに空間魔法の魔法陣を書き『空間移動』すればいい。

 もう迷子だと言わせねぇぞ!
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