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 二人で水晶球を覗くと彼女の心の中が読めた。どうやら彼女の婚約者が浮気をしているようだ。――その内容にあせる僕と表情が変わらないセレ。それに安心つつも心はしずんだ。

 ――セレの記憶はもどらない。

「クロ、彼女があの魔導書を使い、どうなるか未来を見る」

「え、セレ?」

 サッサとセレは魔法を唱えた、水晶球に映る映像を変えてしまった。つぎに見えたのはこの屋敷のテラス――向かい合って座るのは男性と悲しみにくれる彼女。

 男が口を開き彼女に伝える。

「すまない。アメリアが君との二人きりの時間を嫌がるんだ。この月一の茶会もやめようキャロライン嬢」

「また、アメリアさんですか? ……わかりました、このお茶会は今日で終わりにいたしましょう。……最後に紅茶を新しいものをいれますね」

「すまない、ありがとう」

 彼女は男が飲む器に毒を入れてわたした、それを知らずに男はカップに口をつけて飲む。苦しむ男は大量の血を吐き絶命する。

 彼女は冷めた瞳で、あなたが悪いんだから……


 ――ウッ、こういう結末か。ギリリッと心が痛む。


「不味いな……しかし、どうやって毒草を手に入れた?」


 ドグドグ草は出回っていない魔女だけが使用する草。


「あ、もしかして。セレ、昔と今では名前が違う、薬草、毒草はありませんか?」
 
「ん! いまと昔で、名前が違う薬草?」

 セレはすぐにマジックバッグをあさり、薬草全集を取り出した。それをパラパラめくり、毒草の種類が載るページで手を止めた。

「みつけた。クロの言う通り、いまは名前を変えて、野山に普通に咲いてるようだ」


 ――手に入らない、毒草が普通に咲く?


「それって」

「考えられることは一つ。毒草類の魔導書を持つものが、育てたということだな。その本の反応はないから――いまは目の前のを回収する」

 セレは魔導書の表紙に似た本を取り出し、サラサラっと何か書いた。つぎにセレは青石が付いた杖をだして『時止め』の魔法を唱え。彼女の時を止める。
 
 彼女がいま読んでいる魔導書と、セレが書いた本を交換すれば完了。

「魔導書回収。クロ……もう安心」

「……はい」

 すぐ、セレは回収した魔導書を封印して、呼び笛で梟を呼び本を魔女まで送った。
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