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二
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ハッと、目を覚ましたような感覚――目の前に広がるのは王の間で開催されている舞踏会。多くの貴族はワイン片手に談話して、意中の人とダンスを踊る。
――ここは、ボクがセレーサに婚約破棄をした舞踏会なのか?
あの、吹き飛んでだ王城は?
王都は? 国土は?
どこも壊れていない、まるで何もなかったかのようにみんなは過ごしている。……不思議に思い、辺りを見回すボクに誰かが抱きついた、誰だと見ればセレーサの妹ーーソフィアだった。
こんな所をセレーサに見られてはと、突き放そうとしたボクに、ソフィアは頬を染めてこう言った。
「テール様、この日を迎えれてソフィアは幸せです」
「ソフィア嬢、この日とはなんのことだ?」
わからないと言うと、彼女は瞳を大きくした。
「まあ、ご冗談はおやめください。テール様と私の婚約発表の日ですわ」
ーーソフィアとの婚約発表の日?
「ち、違う。ボクが婚約するのは君ではなくセレーサだ。君の姉――セレーサは何処にいる?」
「セレーサさん? 私の姉? それは誰の事ですか?」
彼女は不思議そうにボクを見上げた、その瞳から――本当にセレーサが誰なのか、わからないようす。
「忘れてしまったのか? セレーサは君の姉ではないか!」
「え、私の姉? ……私に姉などおりませんわ。テール様ったら、ほんとうにご冗談がお上手ね……あっ、待って、テール様?」
ーーどういうことだ?
他の貴族に聞いても、誰もセレーサを知らない。
初めから、彼女はいなかったかのような言い方だ。
いいや、彼女――セレーサはいた……ボクは覚えている。
ボクを呼ぶ、優しげな声。
微笑んだ顔。
澄んだ瞳……
最後の日に悲しみに満ちた瞳をーーボクはすべて覚えている。……い、嫌だ、君のいない世界なんて……寂しい。君はボクに罪を償わせてもくれないんだね。
君はまだ、吹き飛んだ世界にいるの?
――だったら、会いに行かなくちゃ。
「セレーサ、ボクが君を探すよ……そこで、待っていて」
狂っていると言われれば、ボクは狂っているだろう。周りが必死に止めるなか、ボクは腰の剣を抜き、自らの胸元にさした。
ただ、セレーサに会いたくて。
――ここは、ボクがセレーサに婚約破棄をした舞踏会なのか?
あの、吹き飛んでだ王城は?
王都は? 国土は?
どこも壊れていない、まるで何もなかったかのようにみんなは過ごしている。……不思議に思い、辺りを見回すボクに誰かが抱きついた、誰だと見ればセレーサの妹ーーソフィアだった。
こんな所をセレーサに見られてはと、突き放そうとしたボクに、ソフィアは頬を染めてこう言った。
「テール様、この日を迎えれてソフィアは幸せです」
「ソフィア嬢、この日とはなんのことだ?」
わからないと言うと、彼女は瞳を大きくした。
「まあ、ご冗談はおやめください。テール様と私の婚約発表の日ですわ」
ーーソフィアとの婚約発表の日?
「ち、違う。ボクが婚約するのは君ではなくセレーサだ。君の姉――セレーサは何処にいる?」
「セレーサさん? 私の姉? それは誰の事ですか?」
彼女は不思議そうにボクを見上げた、その瞳から――本当にセレーサが誰なのか、わからないようす。
「忘れてしまったのか? セレーサは君の姉ではないか!」
「え、私の姉? ……私に姉などおりませんわ。テール様ったら、ほんとうにご冗談がお上手ね……あっ、待って、テール様?」
ーーどういうことだ?
他の貴族に聞いても、誰もセレーサを知らない。
初めから、彼女はいなかったかのような言い方だ。
いいや、彼女――セレーサはいた……ボクは覚えている。
ボクを呼ぶ、優しげな声。
微笑んだ顔。
澄んだ瞳……
最後の日に悲しみに満ちた瞳をーーボクはすべて覚えている。……い、嫌だ、君のいない世界なんて……寂しい。君はボクに罪を償わせてもくれないんだね。
君はまだ、吹き飛んだ世界にいるの?
――だったら、会いに行かなくちゃ。
「セレーサ、ボクが君を探すよ……そこで、待っていて」
狂っていると言われれば、ボクは狂っているだろう。周りが必死に止めるなか、ボクは腰の剣を抜き、自らの胸元にさした。
ただ、セレーサに会いたくて。
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