心が温まる。お狐様と私のあったかご飯。

にのまえ

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13話

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 小皿とお椀によそったレタスチャーハンと油揚げと豆腐の味噌汁、キュウリの塩昆布和えをお盆に乗せて、庭にある屋敷様に「お食べください」備えた。

「さてと、私もお昼食べようっと」

 屋敷様の鳥居の前から立ち上がると、何処からかまんまるなトラ柄の猫が塀を軽々飛び越えて、庭へと入ってきた。

 その猫はフフフンと鼻歌と慣れた足で庭を歩き、いまお供えした屋敷様のお供えの、レタスチャーハンにかぶりついた。

「あ、食べちゃダメだよ!」

「うるさい、オレは腹が減ってるんだ! お供え終わったのだろう、食べていいはずだ」

(ええ、なにその言い分は)

 止めても猫はパクパクと食べてしまう。私はあまりの食べっぷりに忘ていた、猫には食べてはダメな食べ物がある事を。

「待って、猫ちゃんにカリカリ買ってくるから」

「オレはカリカリなんてモノは食べん!」

 ダメだってとお盆を持っても、目を光らせ、ジャンプして襲ってくる。その猫から逃げ回る私。

「ダメだって!」
「食わせろぉ~」

 騒いで、うるさかったのだろう。
 春が庭へとやってきた。

「サツキ、何やってんだ? ん、んん? おまえ、盗み食いの猫神様じゃないか、また飯を食いにきたのか」

「ハァ? なぜオレの名を知っている? 誰だおまえ?」

 猫が春に気を取られている間に、私はほとんど食べられてしまった、お盆を持って家へと逃げ込む。

 それをみて。

「あー! オレの1週間ぶりのメシが逃げたぁ~!」

 春に猫神様と呼ばれた、まんまる猫は泣き出した。
 
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