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3話
しおりを挟む見覚えのない組紐のブレスレットを、誰がつけてのだろうか。でも、この朱色は私の好きな色で見入っていた、部屋の襖がガラガラと開き。モフモフの耳付きの見知らぬ、朱色の甚兵衛姿の若い男性と男の子が顔を出した。
彼らは私を知っているらしくて、普通に部屋に入ってくる。
「おはよう、サツキ起きたのか?」
「おはようございます、サツキさん」
(モフモフの耳と尻尾? 昨日のことは夢じゃないの? でもこの人たちは誰?)
私は布団の上で困惑している。
返事もなく、眉をひそめた私に気付いたのか。
「どうした、サツキ?」
若い男性が私の顔を覗き込む。
私は驚き後ろに下がり、声を上げた。
「ひ、人の家に勝手に入ってきて、あなた達は誰ですか?」
と、声を上げた。
「ああ、俺は春でこっちが小春だ。これからここに住むから、よろしくなサツキ」
「ええ? 住む?」
「春にぃ、違いますよ」
「え、そうか? そうだな、違うか。俺たちは前から、ここに住んでいたが正しいかな?」
ケタケタ笑い、頭をかく男性と男の子の腕に、私とは色違いの藍色の組紐がついていた。
「小春。サツキに話しちまったほうが早いか」
「そうですね、話してほうがいいと思います」
2人で顔を見合わせてウンウン頷く。
どうやら、彼らは私に話があるようだ。その話を待っていた私のお腹がグウッとなる。
「なんだ、腹が減ったのか? じゃ、話は朝食の時に話すか。美味いもんを食わせてやる、着替えて居間に来い!」
「朝食が出来ております。着替えてきてください」
「は、はい」
春と小春の違うものの言いに面を食らうも、部屋を出ていく、彼らの背中を襖が閉まるまで見つめていた。
(話と、おいしい朝食?)
私は朝食に釣られて、スーツから部屋着のパーカーとニットのズボンを履き、彼らが待つ居間へと向かったのだった。
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