77 / 106
72話
しおりを挟む
王都に行って3日後。朝の日課のジョギングと、今日の授業あとテラスでまったり読書している。カカナお母様とジロウは魔術師達を連れて、王国中の森の調査に出ていると言っていた。
「ウチの国でも1年に一回兄上が騎士団、魔術師を連れて森の調査は行っているよ。その森に危険な魔物がいないのか、植物がないかを調べて、いた場合はギルドに依頼を頼むんだ」
「ギルドにですか? 私、冒険者ギルドに登録したかったけど――成人していないと、ギルドに登録できないって本に書いてあったから、いまはあきらめてる」
《マリ、そのまま諦めろ》
「ええ、スライムくらいは見たい!」
ファンタジーのスライムって見た目と、ポヨンポヨンした動作が可愛い。本物は? って気になる。
「ハァ? スライムが見たい? マリーナやめておけ……スライムはなかなか危険な魔物だ。王都の本屋でモンスター図鑑を買っていなかった? それに載っているから見た方がいい」
ヴォルフ様にそう言われて、図鑑と取りに部屋に戻るついでに厨房に寄ったけど、いつもいるカルロの姿が見えなかった。
(オヤツ貰おうと思ったんだけどなぁ。この時間マサさんとリヤさんは買い物でいないから、カルロは裏庭でお昼寝中かな?)
空いた時間、屋敷の裏庭で自作のハンモックで昼寝しているって言っていた。表の庭と違い木々が生い茂り、日陰で涼しいんだって。"いいな"ってトラ丸が言っていたと言ったら、姿が見えないけどトラ丸用のハンモックを作ってくれた。
裏庭、裏庭~
「カルロ?」
あれ? いつものハンモックにいない。ちょうど見かけたメイドのパレットに聞くと、カルロは風邪を引いて午後から休んでいるらしい。
(あらら、風邪か~カルロの様子は後で見るとして。今日のオヤツどうするかな? 王都で買ったクッキーと、私が2日前にカルロの横で作ったポテチでいいっか)
うーん。飲み物は私でも作れるレモン水かな。お父様に火を使わないんだったら、厨房に入る許可は貰っているから、サッとレモン水を作ってテラスに戻る。
「ヴォルフ様、トラ丸、クロ君、シラさん、ポ君~オヤツにしましょう」
《オヤツ!》
《おやつ~》
《ポ、食べる》
お昼寝中のトラ丸達も目を覚ました。本を読んでいたヴォルフ様、側にいたシラさんも集まりお茶の時間がはじまる。
「カルロが風邪で休みだったので、レモン水と王都買ったクッキーとポテチを持ってきました」
私は厨房から持ってきたオヤツを並べ、作ってきたレモン水いりのピッチャーとコップをテーブルに置いた。ヴォルフ様はレモン水入りのピッチャーに氷魔法を使って、小さな氷をコロンコロンといれて冷やしてくれる。
「ヴォルフ様、ありがとう」
「うん。あれ? このポテチいつもと見た目が違うね」
《うぬぬ? 少し揚げすぎか?》
トラ丸、みんなは好きなポテチから手が伸びるけど。いつものとは違う、少し揚げすぎのポテチに気付いた。
「えーっと、そのポテチ……2日前にカルロの横で私が作ったポテチなんです。見た目とは違って、味はそこまで悪くないから……食べてみて」
《何? マリの手作りか――どれどれ。うーん、まあまあかな》
「やっぱり?」
味にうるさいトラ丸。
「マリーナ、美味しいよ」
「はい、美味しいです」
《うまうま》
《ポも、ウマウマ》
「ほんと? よかった。ヴォルフ様、図鑑を持ってきたので一緒に見ましょう!」
「ああ、見よう」
私たちのお茶の時間は続くのだった。
「ウチの国でも1年に一回兄上が騎士団、魔術師を連れて森の調査は行っているよ。その森に危険な魔物がいないのか、植物がないかを調べて、いた場合はギルドに依頼を頼むんだ」
「ギルドにですか? 私、冒険者ギルドに登録したかったけど――成人していないと、ギルドに登録できないって本に書いてあったから、いまはあきらめてる」
《マリ、そのまま諦めろ》
「ええ、スライムくらいは見たい!」
ファンタジーのスライムって見た目と、ポヨンポヨンした動作が可愛い。本物は? って気になる。
「ハァ? スライムが見たい? マリーナやめておけ……スライムはなかなか危険な魔物だ。王都の本屋でモンスター図鑑を買っていなかった? それに載っているから見た方がいい」
ヴォルフ様にそう言われて、図鑑と取りに部屋に戻るついでに厨房に寄ったけど、いつもいるカルロの姿が見えなかった。
(オヤツ貰おうと思ったんだけどなぁ。この時間マサさんとリヤさんは買い物でいないから、カルロは裏庭でお昼寝中かな?)
空いた時間、屋敷の裏庭で自作のハンモックで昼寝しているって言っていた。表の庭と違い木々が生い茂り、日陰で涼しいんだって。"いいな"ってトラ丸が言っていたと言ったら、姿が見えないけどトラ丸用のハンモックを作ってくれた。
裏庭、裏庭~
「カルロ?」
あれ? いつものハンモックにいない。ちょうど見かけたメイドのパレットに聞くと、カルロは風邪を引いて午後から休んでいるらしい。
(あらら、風邪か~カルロの様子は後で見るとして。今日のオヤツどうするかな? 王都で買ったクッキーと、私が2日前にカルロの横で作ったポテチでいいっか)
うーん。飲み物は私でも作れるレモン水かな。お父様に火を使わないんだったら、厨房に入る許可は貰っているから、サッとレモン水を作ってテラスに戻る。
「ヴォルフ様、トラ丸、クロ君、シラさん、ポ君~オヤツにしましょう」
《オヤツ!》
《おやつ~》
《ポ、食べる》
お昼寝中のトラ丸達も目を覚ました。本を読んでいたヴォルフ様、側にいたシラさんも集まりお茶の時間がはじまる。
「カルロが風邪で休みだったので、レモン水と王都買ったクッキーとポテチを持ってきました」
私は厨房から持ってきたオヤツを並べ、作ってきたレモン水いりのピッチャーとコップをテーブルに置いた。ヴォルフ様はレモン水入りのピッチャーに氷魔法を使って、小さな氷をコロンコロンといれて冷やしてくれる。
「ヴォルフ様、ありがとう」
「うん。あれ? このポテチいつもと見た目が違うね」
《うぬぬ? 少し揚げすぎか?》
トラ丸、みんなは好きなポテチから手が伸びるけど。いつものとは違う、少し揚げすぎのポテチに気付いた。
「えーっと、そのポテチ……2日前にカルロの横で私が作ったポテチなんです。見た目とは違って、味はそこまで悪くないから……食べてみて」
《何? マリの手作りか――どれどれ。うーん、まあまあかな》
「やっぱり?」
味にうるさいトラ丸。
「マリーナ、美味しいよ」
「はい、美味しいです」
《うまうま》
《ポも、ウマウマ》
「ほんと? よかった。ヴォルフ様、図鑑を持ってきたので一緒に見ましょう!」
「ああ、見よう」
私たちのお茶の時間は続くのだった。
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
悪役令嬢、第四王子と結婚します!
水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします!
小説家になろう様にも、書き起こしております。
めんどくさいが口ぐせになった令嬢らしからぬわたくしを、いいかげん婚約破棄してくださいませ。
hoo
恋愛
ほぅ……(溜息)
前世で夢中になってプレイしておりました乙ゲーの中で、わたくしは男爵の娘に婚約者である皇太子さまを奪われそうになって、あらゆる手を使って彼女を虐め抜く悪役令嬢でございました。
ですのに、どういうことでございましょう。
現実の世…と申していいのかわかりませぬが、この世におきましては、皇太子さまにそのような恋人は未だに全く存在していないのでございます。
皇太子さまも乙ゲーの彼と違って、わたくしに大変にお優しいですし、第一わたくし、皇太子さまに恋人ができましても、その方を虐め抜いたりするような下品な品性など持ち合わせてはおりませんの。潔く身を引かせていただくだけでございますわ。
ですけど、もし本当にあの乙ゲーのようなエンディングがあるのでしたら、わたくしそれを切に望んでしまうのです。婚約破棄されてしまえば、わたくしは晴れて自由の身なのですもの。もうこれまで辿ってきた帝王教育三昧の辛いイバラの道ともおさらばになるのですわ。ああなんて素晴らしき第二の人生となりますことでしょう。
ですから、わたくし決めました。あの乙ゲーをこの世界で実現すると。
そうです。いまヒロインが不在なら、わたくしが用意してしまえばよろしいのですわ。そして皇太子さまと恋仲になっていただいて、わたくしは彼女にお茶などをちょっとひっかけて差し上げたりすればいいのですよね。
さあ始めますわよ。
婚約破棄をめざして、人生最後のイバラの道行きを。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヒロインサイドストーリー始めました
『めんどくさいが口ぐせになった公爵令嬢とお友達になりたいんですが。』
↑ 統合しました
転生悪役令嬢の前途多難な没落計画
一花八華
恋愛
斬首、幽閉、没落endの悪役令嬢に転生しましたわ。
私、ヴィクトリア・アクヤック。金髪ドリルの碧眼美少女ですの。
攻略対象とヒロインには、関わりませんわ。恋愛でも逆ハーでもお好きになさって?
私は、執事攻略に勤しみますわ!!
っといいつつもなんだかんだでガッツリ攻略対象とヒロインに囲まれ、持ち前の暴走と妄想と、斜め上を行き過ぎるネジ曲がった思考回路で突き進む猪突猛進型ドリル系主人公の(読者様からの)突っ込み待ち(ラブ)コメディです。
※全話に挿絵が入る予定です。作者絵が苦手な方は、ご注意ください。ファンアートいただけると、泣いて喜びます。掲載させて下さい。お願いします。
乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる
レラン
恋愛
前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。
すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?
私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!
そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。
⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎
⚠︎誤字多発です⚠︎
⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎
⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
完璧ヒロインに負けたので平凡令嬢は退場します
琴吹景
ファンタジー
【シュプレイム王国貴族学院伝統の卒業生祝賀会『プロムナード』の会場のど真ん中で、可憐な少女と側近の令息数人を従えた我が国の王太子、エドモンド・シャルル・ド・シュプレイム殿下が、婚約者であるペネロペ・ド・ロメイユ公爵令嬢と対峙していた。】
テンプレのような断罪、婚約破棄のイベントが始まろうとしている。
でも、ヒロインも悪役令嬢もいつもとはかなり様子が違うようで………
初投稿です。異世界令嬢物が好きすぎて書き始めてしまいました。
まだまだ勉強中です。
話を早く進める為に、必要の無い視覚描写(情景、容姿、衣装など)は省いています。世界観を堪能されたい方はご注意下さい。
間違いを見つけられた方は、そーっと教えていただけると有り難いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる