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57話
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お昼頃に、クローネの街の馬車置き場に着いた。
御者は休憩に行き、カサンドラ達も街の有名なパスタ店へ向かい。アオはミートボールゴロゴロのスパゲッティー、シュシュは濃厚カルボナーラ、カサンドラはチーズたっぷりボロネーゼを頼んだ。
カサンドラは店員に皿をもらい、アオとシュシュのパスタを分けてもらい、自分のも2人に分ける。家族の間では許されるが、貴族の中ではお行儀が悪いと言われる行為だ。
もちろん嫌がる人も多い。
だが2人は平気みたいで、平気にカサンドラの食べ物を持っていく。反対に、カサンドラがちょうだいと言ってもくれるから、自然とシェアするのが当たり前になっている。
「んん、アオ君のミートボール美味しい。シュシュのは濃厚ね。どちらも美味しいわ。もちろんボロネーゼも美味しい。さすが、クローネで人気のある店ね」
「はい。ミートボールのソースは甘くて、カルボナーラは濃厚、ボロネーゼは少し大人の味です。パンを頼んでソースを付けて食べたいです」
「わかる。全部美味いもんな、最高だ!」
(フフ、2人と同じものを食べて、共感出来るのは幸せ)
我慢できず、パンを別注文した、
「パンにソースを付けて食べるのも、格別に美味しいわ」
「ドラお嬢様、私のパンまで……食べ過ぎです」
「ドレス、入らなくなるぞ」
「うっ、みんなで食べるご飯が美味しいのが、いけないんですわ。出発まで時間がありますから、街を散歩します」
たまに、カサンドラが食べ過ぎるからかもしれないとも、思った。
煉瓦造りの建物が並ぶ、歴史ある街クローネを散歩中。カサンドラはある店を見つけて、指をさした。
「シュシュ、アオ君、アイスクリームですって! 3人でわけて食べません?」
「食べます」
「アイスクリーム? 初めて聞く食べ物だ」
カップ入りのアイスクリームを一つ買い、スプーンを3つ付けてもらって馬車に戻ると。御者の人も、アイスクリームを食べながらカサンドラを持つ姿に、微笑み声をかける。
「お待たせしました、5分後に出発いたしましょう」
「は、はい、かしこまりました」
馬車に乗り込み、3人でアイスクリームを堪能した。
「「冷たくて美味しい!」」
5分後。次の目的地、ワルクの街に向けて馬車はゆっくり走り出した。アオはしばらく起きていたけど、目を瞑り寝てしまう。カサンドラはズッと本を読み、起きているシュシュに「少し、眠ったら」と聞いた。
そのカサンドラにシュシュは「今、いいところなので無理です」と返す。何を読んでいるのか気になり聞くと。シュシュは小声で「奥様の秘密」と言う。それはカサンドラも知っている、いま巷(ちまた)の奥様に人気な濡れ場のある小説で……カサンドラが買うのを迷った、小説でもあった。
「それ凄い?」
「はい、凄いです」
「……シュシュ、私も読みたいわ。読み終わったら貸してね」
「はい。読み終わりましたら、すぐにお貸しします」
カサンドラとシュシュはアオを気遣い、小声でやりとりしているが。耳のいい、獣人のアオに丸聞こえなのを、2人は気付いていなかった。
(頬を赤くしながら読む本か……楽しそうだな。だが、カサンドラは悲しい表情より、笑っている方がいいな)
御者は休憩に行き、カサンドラ達も街の有名なパスタ店へ向かい。アオはミートボールゴロゴロのスパゲッティー、シュシュは濃厚カルボナーラ、カサンドラはチーズたっぷりボロネーゼを頼んだ。
カサンドラは店員に皿をもらい、アオとシュシュのパスタを分けてもらい、自分のも2人に分ける。家族の間では許されるが、貴族の中ではお行儀が悪いと言われる行為だ。
もちろん嫌がる人も多い。
だが2人は平気みたいで、平気にカサンドラの食べ物を持っていく。反対に、カサンドラがちょうだいと言ってもくれるから、自然とシェアするのが当たり前になっている。
「んん、アオ君のミートボール美味しい。シュシュのは濃厚ね。どちらも美味しいわ。もちろんボロネーゼも美味しい。さすが、クローネで人気のある店ね」
「はい。ミートボールのソースは甘くて、カルボナーラは濃厚、ボロネーゼは少し大人の味です。パンを頼んでソースを付けて食べたいです」
「わかる。全部美味いもんな、最高だ!」
(フフ、2人と同じものを食べて、共感出来るのは幸せ)
我慢できず、パンを別注文した、
「パンにソースを付けて食べるのも、格別に美味しいわ」
「ドラお嬢様、私のパンまで……食べ過ぎです」
「ドレス、入らなくなるぞ」
「うっ、みんなで食べるご飯が美味しいのが、いけないんですわ。出発まで時間がありますから、街を散歩します」
たまに、カサンドラが食べ過ぎるからかもしれないとも、思った。
煉瓦造りの建物が並ぶ、歴史ある街クローネを散歩中。カサンドラはある店を見つけて、指をさした。
「シュシュ、アオ君、アイスクリームですって! 3人でわけて食べません?」
「食べます」
「アイスクリーム? 初めて聞く食べ物だ」
カップ入りのアイスクリームを一つ買い、スプーンを3つ付けてもらって馬車に戻ると。御者の人も、アイスクリームを食べながらカサンドラを持つ姿に、微笑み声をかける。
「お待たせしました、5分後に出発いたしましょう」
「は、はい、かしこまりました」
馬車に乗り込み、3人でアイスクリームを堪能した。
「「冷たくて美味しい!」」
5分後。次の目的地、ワルクの街に向けて馬車はゆっくり走り出した。アオはしばらく起きていたけど、目を瞑り寝てしまう。カサンドラはズッと本を読み、起きているシュシュに「少し、眠ったら」と聞いた。
そのカサンドラにシュシュは「今、いいところなので無理です」と返す。何を読んでいるのか気になり聞くと。シュシュは小声で「奥様の秘密」と言う。それはカサンドラも知っている、いま巷(ちまた)の奥様に人気な濡れ場のある小説で……カサンドラが買うのを迷った、小説でもあった。
「それ凄い?」
「はい、凄いです」
「……シュシュ、私も読みたいわ。読み終わったら貸してね」
「はい。読み終わりましたら、すぐにお貸しします」
カサンドラとシュシュはアオを気遣い、小声でやりとりしているが。耳のいい、獣人のアオに丸聞こえなのを、2人は気付いていなかった。
(頬を赤くしながら読む本か……楽しそうだな。だが、カサンドラは悲しい表情より、笑っている方がいいな)
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