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25話
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「ほぉ~れ、チョチョイのちょい!」
お祖母様がカサンドラ達の前で杖を振ると、夕飯のときにおっしゃっていた通り。別荘内にお祖母様の部屋、調合室、お祖母様専用のお風呂場など部屋数か増えていた。
「素敵! 魔法って凄いですわ」
「はい、凄いです」
「さすが、魔女様だな」
カサンドラ達は目を光らせ魔法に驚く、その姿を楽しげに笑い、お祖母様は魔法で増やした自室の部屋を開けた。
「ハハハッ、カサンドラ、シュシュ、タヌっころ、わたしは先に休ませてもらうよ。おやすみ」
「おやすみなさい、お祖母様」
(お祖母様の創作魔法って、部屋まで増やせてすごいのね。私も覚えたいわ)
挨拶が終わると、アオは大欠伸して背伸びした。
「ふわぁ~オレも先に寝るな」
「はい、おやすみなさい、アオ君。また明日よろしくね」
「おやすみなさいませ、アオ君」
アオは移動で疲れたからと自室に戻り。カサンドラもシュシュに寝支度をしてもらい、明日も早いからと早めにベッドに入ったけど中々眠れなかった。
カサンドラはベッドの中で、妹のことを思った。
「シャリィが私を殺したいほど、憎んでいたなんて」
――かなり、ショックだった。
カサンドラは妹をいじめたこともなければ、冷たい言葉だってかけず、優しく接してきた。だけど、なにかが妹の気に触った。
カサンドラはいくら考えても、原因がわからなかった。
妹のシャリィには優しい両親がいて、友人も……アサルト皇太子殿下がいて、好きな人と結ばれるくせに。
カサンドラが別荘で眠ったころ。
王城で、シャリィはすさんでいた。
「最近……アサルト様がカサンドラお姉様の話ばかりする……お姉様なんかより私の方がだんぜん可愛いのに。あの娼婦のような大きな胸にやられたのね ……ユリィ、ユリィ、いる? 本当にあの毒、即効で効くのよね」
シャリィが呼べば、彼女の側に霧のように全身黒尽くめの男が現れた。
「我が主人――シャリィご安心を。あの毒は即効で効きますよ」
「そう、だったらいいの」
三ヶ月後。王城で開かれる舞踏会に訪れたカサンドラお姉様は、封筒に仕込んだ毒が効いて、ブクブクと醜く前の様にふくよかになっているのね。フフ、その姿におあつらえ向けなドレスを、カサンドラお姉様に作らなくっちゃ。
色は似合わない、ピンクかしら?
リボンの数は?
生地は何を選ぼうかしら?
「フフフ、ハハハッ……カサンドラお姉様は舞踏会でみんなの笑もの。……フフッ、私は綺麗なカサンドラお姉様なんていらないの! 私は一番がいい」
お父様とお母様はカサンドラお姉様ではなく、私だけに優しくして、愛してと、物心がついた時からそう願った。
その、醜く歪んだ感情は爆発する。
シャリィの初恋の人――愛するアサルト様の婚約者に、カサンドラが姉だからという理由で婚約者に選ばれたときから。私はお姉様を許せず、お姉様からすべて奪ってやると誓った。
その私の夢を叶えるため、書庫で見つけた魔導書に書いてある通りやってみたら……ユリィという黒服の男が現れたの。
ユリィは私に『願いを言え』と言ったから。
『私が愛されたい人に、私だけ愛されたい』
と願ったわ。
そしたら。
『このブレスレットを身に付ければ――シャリィの、思うがまま』
ユリィが私の願いが叶うブレスレットをくれたの。それをつけたときから、両親は私だけしか愛しない。私が願えば……アサルト様、国王陛下、王妃様だけじゃない。
国中の人々全てが、私だけを愛するようになるわ。
お祖母様がカサンドラ達の前で杖を振ると、夕飯のときにおっしゃっていた通り。別荘内にお祖母様の部屋、調合室、お祖母様専用のお風呂場など部屋数か増えていた。
「素敵! 魔法って凄いですわ」
「はい、凄いです」
「さすが、魔女様だな」
カサンドラ達は目を光らせ魔法に驚く、その姿を楽しげに笑い、お祖母様は魔法で増やした自室の部屋を開けた。
「ハハハッ、カサンドラ、シュシュ、タヌっころ、わたしは先に休ませてもらうよ。おやすみ」
「おやすみなさい、お祖母様」
(お祖母様の創作魔法って、部屋まで増やせてすごいのね。私も覚えたいわ)
挨拶が終わると、アオは大欠伸して背伸びした。
「ふわぁ~オレも先に寝るな」
「はい、おやすみなさい、アオ君。また明日よろしくね」
「おやすみなさいませ、アオ君」
アオは移動で疲れたからと自室に戻り。カサンドラもシュシュに寝支度をしてもらい、明日も早いからと早めにベッドに入ったけど中々眠れなかった。
カサンドラはベッドの中で、妹のことを思った。
「シャリィが私を殺したいほど、憎んでいたなんて」
――かなり、ショックだった。
カサンドラは妹をいじめたこともなければ、冷たい言葉だってかけず、優しく接してきた。だけど、なにかが妹の気に触った。
カサンドラはいくら考えても、原因がわからなかった。
妹のシャリィには優しい両親がいて、友人も……アサルト皇太子殿下がいて、好きな人と結ばれるくせに。
カサンドラが別荘で眠ったころ。
王城で、シャリィはすさんでいた。
「最近……アサルト様がカサンドラお姉様の話ばかりする……お姉様なんかより私の方がだんぜん可愛いのに。あの娼婦のような大きな胸にやられたのね ……ユリィ、ユリィ、いる? 本当にあの毒、即効で効くのよね」
シャリィが呼べば、彼女の側に霧のように全身黒尽くめの男が現れた。
「我が主人――シャリィご安心を。あの毒は即効で効きますよ」
「そう、だったらいいの」
三ヶ月後。王城で開かれる舞踏会に訪れたカサンドラお姉様は、封筒に仕込んだ毒が効いて、ブクブクと醜く前の様にふくよかになっているのね。フフ、その姿におあつらえ向けなドレスを、カサンドラお姉様に作らなくっちゃ。
色は似合わない、ピンクかしら?
リボンの数は?
生地は何を選ぼうかしら?
「フフフ、ハハハッ……カサンドラお姉様は舞踏会でみんなの笑もの。……フフッ、私は綺麗なカサンドラお姉様なんていらないの! 私は一番がいい」
お父様とお母様はカサンドラお姉様ではなく、私だけに優しくして、愛してと、物心がついた時からそう願った。
その、醜く歪んだ感情は爆発する。
シャリィの初恋の人――愛するアサルト様の婚約者に、カサンドラが姉だからという理由で婚約者に選ばれたときから。私はお姉様を許せず、お姉様からすべて奪ってやると誓った。
その私の夢を叶えるため、書庫で見つけた魔導書に書いてある通りやってみたら……ユリィという黒服の男が現れたの。
ユリィは私に『願いを言え』と言ったから。
『私が愛されたい人に、私だけ愛されたい』
と願ったわ。
そしたら。
『このブレスレットを身に付ければ――シャリィの、思うがまま』
ユリィが私の願いが叶うブレスレットをくれたの。それをつけたときから、両親は私だけしか愛しない。私が願えば……アサルト様、国王陛下、王妃様だけじゃない。
国中の人々全てが、私だけを愛するようになるわ。
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