寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ

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八十三

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「「ガオオオォォォォォォォォ!!」」

 北区に鳴り響く、止まない獣の声。

 この獣の声を聞いた後からナサの様子が変だ。
 いつもならみんなを守る盾役として、我先にと北門へと走っていくのにどこか迷っているような、戸惑っているように感じた。
  
 わたしはいつもよ様子が違うナサに、声をかけれずにいた。


「「ナサ!」」


 ミリア亭の扉が乱暴に開き、ドアベルが"ガランゴロン"と鳴らして、アサトがナサの盾を持ってミリア亭に飛び込んでくる。

「……ハァハァ、ハァハァ。ナサ、北門にモンスターが出た、ロカ達は先に向かった……すまん! 今夜はリーヤと舞踏会だと知っているが、いまはお前の力が必要だ!」

「……わかった。リーヤ、ごめん」

「ナサ、謝らないの。ほら、一緒に北門に行くわよ! こんな状態で舞踏会だなんて呑気なことを言ってられないわ。被害を少なく、人々の誘導もしなくては! ミリアさんは安全な場所に避難していてください!」

「わかった、気をつけるんだよ」

 アサトは先に行くといい出て行く、ミリアさんも出る準備を始めた。ーーしかし肝心のナサの"足が""体が"動かない。

「ナサ?」
「あ、ああ、行こう」

 と、言っても。

 まだ、両手をキツく握ったままで、足は動かず、どこか戸惑っている。ーーそんな、ナサの手をわたしは握った。

(え、ナサの体が震えているし、目に涙?)

 はっ!

 いま北門に現れたモンスターは、ナサの知り合い? ……ううん、ナサのこの様子だと。

 今話していた、ナサの大切で、大好きなお父様!
 なんて言うことなの!

 わたしは息を吸い。

「大丈夫、何があってもわたしがそばにいるわ!」

「リーヤ…………」

 ナサは泣きそうな顔で乱暴に手の甲で目をこすり、眉をひそめていたけど、いつものように笑った。

「シッシシ、行くか!」
「うん!」


 わたしはナサと手を繋ぎ、盾を持って、走って、北門についた。そんな、わたし達の目の前に赤い炎をまとった、トラの獣人が立っていた。

 先に来ていたアサト達は周りを囲むも、トラが身にまとう炎に近付けないでいた。

 ナサはそのトラを見た瞬間に、半獣から姿を変えた。



「「親父、フォール親父ぃーーーー!!!!」」



 ガルルル……トラはナサの叫んだ声に反応した。
 ナサはわたしから手を離して、

「リーヤはここから動くな。もし、オレ達がやられたら、頼む、無茶をせずに逃げてくれ!」
 
 わたしに大切な盾を預けて『リーヤ、行ってくる』と、ナサは目の前のトラに向けて走っていった。

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