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六十二 知らないうちに排除された男。

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 "許さないリイーヤ"お前のせいで僕は全てを失った。元旦那のコールはリイーヤを探している。公爵家を見張り、リルガルドを隈なく探したが見つからなかった。

 いろんな街と村を探して隣国ガレーン国までやってきた。この国に親戚のいないリイーヤは、もしかして何処かの貴族の屋敷に逃げ込んでいるとふみ。中央区で貴族達に聞いて回っていた、しかし、一人の騎士に不審に思われ職質されて逃げた。

(クソッ! いま、中央区に行くと騎士に追われる)

 コールは北区の格安宿に泊まりながら、元嫁リイーヤを探していた。こんな亜人ばかりの場所に、いないと思っていたが、その北区でリイーヤを見つけた。

 ミリア亭という定食屋で働いていた。

(いまに見ていろ!!)

 
 早朝、五時。

「リイーヤ待っていろよ。いまからお前を押し倒して、ヒィヒィ言わせて、お前の心をギタギタにしてやる!」

 二年前には興味がなく奪わずにいたが、あのときリイーヤを食っていればよかった。そしたらお前は出ていかずにすんだのだ。

「そこのお前、リーヤの家の前で何をしている?」

 北門の警備が終わり、宿舎に帰る途中のナサ。
 コールは手を胸に当てて、

「騎士様、ここに僕がズッと探していた婚約者がいるんです、ようやく見つけて会いにきました」
  
 三番隊からリーヤを探す男がいると聞いていた、ナサは警備の仕事が終わるとみんなとは宿舎に戻らず、リーヤの家周辺を見回り帰っていた。

「ハァ、リーヤの婚約者? それはオレのことだが……まさかお前、二年前にリーヤに離縁された男か? シッシシ、オレはリーヤを傷付けて泣かした、お前が大嫌いだが感謝もしてる、リーヤの初めてを奪わずにいてくれて……」

「へっ? 何を言うんですか? リイーヤは僕の婚約者ですよ」

「違うな、リーヤはオレの婚約者で、もうすぐオレの嫁になる」
  
 その言葉にコールは巣に戻り叫ぶ。

「リイーヤは亜人の、お前なんかの嫁になんてなるか!」

「亜人ね。お前はオレを怒らせたいのか? ……いますぐガレーン国からいなくなるんなら、騎士団に突き出すのはやめてやってもいい……それとも、オレに渾身の力を込めて一発殴られるか? どうする?」

 ナサは一瞬だけ、半獣の姿から戻る。
 コールはそのを見て、

「ヒィーーー!! すみませんでした、何もしないで帰ります、殺さないで……」

 ナサに凄まれて腰を抜かし、地べたを這って逃げていった。

「ケッ、腰抜け野郎が! オレのリーヤに二度と手を出すな!」

(アイツが三番隊が言っていた、リーヤを探している男で、リーヤの元旦那か……体付きも、顔もオレのが上だなりシッシシ、なによりリーヤを愛する気持ちが根本からちがう)

 でも、早く見つかってよかった。
 いくらリーヤが剣に長けていても、男の力には勝てない。

 さてと、変な奴は追っ払ったし宿舎に帰るかな。

 帰ろうとした背後でガチャッと扉が開く音がした。
 振り向くと、そこには起きたばかりなのか寝癖が付いた、リーヤが手に箒とちりとりを持って家から出てくる姿が見えた。

 彼女はナサを見つけて驚いたあと、ふんにゃり笑った。

「あれ、ナサだ? おはよう」
「よっ、おはよう。いまから掃除?」

「うん、共同ゴミ捨て場の掃除当番なのって、あ、……すぐそこだから、ねぐせをナサに見られちゃった」

 へへっ、と笑い、髪を指で直すリーヤは可愛い。

「シッシシ、寝癖も可愛いから気にすんなって、オレも掃除を手伝う」

「え、宿舎に帰って、寝なくていいの?」
「ああ、コレが終わったらな」

 二人でゴミ捨て場を掃除して、朝食を食べて『リーヤにいってらっしゃい』と見送られる。

 ナサは宿舎に戻りながら、

「早く、リーヤと結婚したい」

 と、思い。

 ナサを見送ったリーヤは、

「なんだか、ナサの奥さんになったみたい……あなた、いってらっしゃい……なんて」

 と、頬を赤らめたのをナサは知らない。

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