寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ

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二十一

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「でもなぜ、見られないように茂みに隠れたし、顔を隠したのに……」

 疑問を投げかけたわたしに、ナサは自分の鼻を指でさした。

「いま言ったろ、匂いだ。オレとアサトの鼻は誤魔化せない。顔を隠しても現場でお前の石鹸の匂いがしていた」

 石鹸の香り……そんなに彼らは嗅覚も優れてるんだ、獣人ーー彼らについて学習不足だった。まだ、ナサ達にことで知らない事ばかり。

「いま、オレがやったラベンダーの香りがする、傷薬を付けてるだろ? お前からラベンダーの匂いがするし、珍しく化粧もしているな?」

 ラベンダーと化粧の匂いまで、こんな微かな匂いまでナサはわかるんだ。

 この話でアトールも気付いたらしい。

「やっぱり、ワーウルフと戦ったのはリイーヤ姉さんだったか。ガレーン国の騎士団でも姉さんは噂されいるよ。シルバー色の髪のブルーの瞳の美女だって話だから……」

(び、美女?)

「わたしが美女だなんて、美化しすぎよ。一緒にいた冒険者の方に素敵な人がいたわ」

「リイーヤ姉さんはほんと、自分のことになると疎くなる。弟の僕が言っても嘘っぽく聞こえるけど、姉さんは美人なんだよ……それにしてもワーウルフを倒しちゃうなんて、凄いな」

 感心するアトールに、わたしは違うと首を振り言った。

「待って、アトール。わたしが一人で戦ってワーウルフを倒したわけじゃはないわ。あのとき一緒に戦ってくれた冒険者のお陰なの。もう一体は獣人隊のみんなが倒したの」

 ほんと、あの時は頭をフル回転させて、必死に戦って何とかなった。冒険者の盾役の人が頑丈だったから、安心してワーウルフに集中できた。でも、体は擦り傷、打ち身と痣だらけで、いまは回復魔法(小)とナサの傷薬で落ち着いている。

「シッシシ、リーヤ、さっき手が触れたと熱かった……熱もあるな」

「え、」

 それまでわかった。ナサを見据えたとき厨房にいた、ミリアが出てきて手を叩く。

「はい、お喋りはそこまでにして。お前達は昼寝の時間で、リーヤは肉巻きの手伝いしてね」

「はーい。アトール、ごめんね、ミリヤさんのお手伝いを始めるわ。アトールもみんなとお昼寝する?」

 アトールは"いいや"と首を振った。

「僕は騎士団長と副団長にこの事を、報告しないといけないから、いまから帰るよ」

 カウンターから立ち上がり、隣に置いた剣を取った。

「そう、アトールに会えてよかったわ、また時間があるときに来てね」

「ああ、姉さん、また来るよ。でも、今度は兄貴がここに来るかもね」

「フフ、そうかも。そうだアトール、お父様とお母様、お兄様に、わたしはガレーン国で元気にやっているって伝えて」

「わかってるよ、素敵な人たちと一緒にいるってね」

 剣を腰にさし、脱いだローブを羽織り帰ろうとした足を止めて、アトールは真剣な瞳を向けてこっちに振り向いた。

「リイーヤ姉さん……この話は言わないでおこうかと思っていたんだけど。やっぱり、ここにいる獣人隊のみんなにも、伝えておいて方がいいね」

「何の話?」

 アトールは話す前に、スーッと息を吸った。

「いまから話しす話は秘密にして欲しい。北国、魔法大国クルースの魔物の骨収集家が襲われて、かなりの数の骨が盗まれた。骨の数、魔物の種類などいまは調査中。気を付けてねリイーヤ姉さん、獣人隊のみんな」

 魔法大国クルースか。

「アトール、秘密事項を教えてくれてありがとう。あのとき戦ったワーウルフの骨は、もしかすると盗まれたものなのかもね。だから、契約されていない強制召喚されたワーウルフだったのか」

「そうなんだけど、魔法大国クルース国に使いを送っても、いまは調査中で何も答えられないと言われたらしい」

 魔物の骨を盗んだ者はなんのために盗んだ。それは魔物を強制的に召喚するためだろうけど、ワーウルフ以外にも他のモンスターが召喚されて……また、ガレーン国を襲う。それともリルガルド、他の別の国を襲う。

 緊張が走り、ヒューっと喉が鳴り、ナサ達もこの話に息を吸った。

「だから、リイーヤ姉さんは余り無理をしないで、もし何かあったら強い彼らに任せるんだ」

 アトールの言ったことに、ナサは深く頷く。

「そうだ、リーヤ。あんな無茶なことは二度とするな!」

 ナサが大声をあげた……でも、あのときは冒険者の周りに誰もいなかった。わたしが動かなかったら、彼らはやられてたかもしれない。
 
「…………っ」

 中々、頷かないわたしに、ナサがさらに声を荒らげた。


「聞いてるのか、リーヤ!」

「聞いているわ……だって目の前で、だよ。目の前で冒険者の人がワーウルフに飛ばされたて怪我をしたの。近くに誰もそばにいなくて、あのままにしておけなかった、助けなくては、って思うじゃない」

 ほんとうは怖かった、でも、怪我をした人を助けたかった。わたしはまた目の前で起きたら助けにいく。

「だけどよ、お前も大怪我をしただろう? 今回はその程度で終わったが、次は? もっと、大怪我をしたらどうするんだ! オレはリーヤが心配なんだよ」

 ナサの言うこともわかってる。
 でも、わたしは、ナサが睨みつけても効かない。

「嫌よ。そんなに、ナサがわたしを心配なら。ずっと、近くで離れず、わたしを見張ってればいじゃない!」

 売り言葉に買い言葉、怒りに任せてでた言葉。

「はぁっ?」
「姉さん!」

 二人の驚く顔、周りのみんなも驚いてる。

(あれっ……わたし、いま勢い任せに何を言った? ナサにずっと見張ってればいいっと言ってしまったわ)
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