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浮気者は言い負かされる
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執務机にいたジュリオンにランが言い放つ。
「ジュリオン殿下は俺の婚約者になんのようだ? ことと次第では、お前と決闘することになるが?」
凄みながら堂々と執務室の中に入り、ドカッとソファーに座ると、私の手を引き膝の上で横だきに抱えた。
そのランの行動にジュリオンと側近は驚きつつも話を進める。
「キャロット嬢が婚約者だと? ぬかせ、僕とキャロット嬢の婚約破棄の書類はまだ受理されていない! キャロット嬢を離せ、彼女はまだ僕の婚約者だ」
いくらすごんで睨みを効かせても、この男には数々のナナカとの浮気の証拠があるのだ。
この世に及んでもジュリオンはまだうつつなことを言う。
「はぁ? 堂々とこの場で浮気しておいて、まだそんなことを申すのかな?」
「うっ、僕から手を出したわけではない、アイツが、ナナカが言い寄ってきたんだ!」
「そうか、言い寄られたのかもしれないが、拒むことができた貴様は我慢できず手を出したのだろう? キャロは言っていたぞ、ここで二人は濃厚なキスをしていて、着衣が乱れていたと……」
ウグッと推し黙るジュリオン。
「残念だったな、キャロはあんなアバズレとは違い、可愛いぞ」
ランはそう言い切ると、見せつけるように私の胸にボフッと顔を埋める。
「あっ……ラン」
「許せ、あまりにも可愛いキャロに我慢できなかった」
(……ラン、嬉しいけど。ここでするなんて、やり過ぎです)
「……もう」
「早く、キャロと二人きりになりたいな」
二人だけの世界を見せつける、それに耐えきれなかったジュリオンは声を上げた。
「しかし、まだ書類は……受理されていない」
「みっともない嘘をつくな、ジュリオン殿下。辺境地の屋敷に書類を盗みに、王族の影が入ったと聞いている。持って帰った書類は偽物だ……」
ジュリオンは王族を守る影をこんなことに使ったの? 自分でタネを蒔いたくせに、そこまでして私の家族を王都に呼び寄せたい。
影を使用したのは図星だったようで焦りを隠せず。
「僕は知らぬ、それをやったのは父上と母上だ」
と、苦し紛れのいいわけをする。
「情けない! 人のせいにするなどと、なんと人とは弱い生き物だな」
ジュリオンの目が泳ぎランに言い負かされている、もうこの人と話をせずとも、帰っても良さそうだ。
その雰囲気をランも読んだのだろう。
「話は終わった、二度と俺の大切なキャロのことを婚約者だと抜かすなよ、ジュリオン」
「グッ……」
完全に言い負かされたジュリオンはなにも言えなくなり、
話は終わりだと、ランと私は帰ろうとした。
だが、次の瞬間、
執務室の外が煩くなる。
「ナナカ様、いま、ジュリオン様は大切な話をしております!」
「うるさい、モブの癖にわたしにはむかうなっうの!」
淑女らしか物言いで騎士の静止を振り切り、ナナカがいきなり執務室の扉を開けた。
「ジュリオン殿下は俺の婚約者になんのようだ? ことと次第では、お前と決闘することになるが?」
凄みながら堂々と執務室の中に入り、ドカッとソファーに座ると、私の手を引き膝の上で横だきに抱えた。
そのランの行動にジュリオンと側近は驚きつつも話を進める。
「キャロット嬢が婚約者だと? ぬかせ、僕とキャロット嬢の婚約破棄の書類はまだ受理されていない! キャロット嬢を離せ、彼女はまだ僕の婚約者だ」
いくらすごんで睨みを効かせても、この男には数々のナナカとの浮気の証拠があるのだ。
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「そうか、言い寄られたのかもしれないが、拒むことができた貴様は我慢できず手を出したのだろう? キャロは言っていたぞ、ここで二人は濃厚なキスをしていて、着衣が乱れていたと……」
ウグッと推し黙るジュリオン。
「残念だったな、キャロはあんなアバズレとは違い、可愛いぞ」
ランはそう言い切ると、見せつけるように私の胸にボフッと顔を埋める。
「あっ……ラン」
「許せ、あまりにも可愛いキャロに我慢できなかった」
(……ラン、嬉しいけど。ここでするなんて、やり過ぎです)
「……もう」
「早く、キャロと二人きりになりたいな」
二人だけの世界を見せつける、それに耐えきれなかったジュリオンは声を上げた。
「しかし、まだ書類は……受理されていない」
「みっともない嘘をつくな、ジュリオン殿下。辺境地の屋敷に書類を盗みに、王族の影が入ったと聞いている。持って帰った書類は偽物だ……」
ジュリオンは王族を守る影をこんなことに使ったの? 自分でタネを蒔いたくせに、そこまでして私の家族を王都に呼び寄せたい。
影を使用したのは図星だったようで焦りを隠せず。
「僕は知らぬ、それをやったのは父上と母上だ」
と、苦し紛れのいいわけをする。
「情けない! 人のせいにするなどと、なんと人とは弱い生き物だな」
ジュリオンの目が泳ぎランに言い負かされている、もうこの人と話をせずとも、帰っても良さそうだ。
その雰囲気をランも読んだのだろう。
「話は終わった、二度と俺の大切なキャロのことを婚約者だと抜かすなよ、ジュリオン」
「グッ……」
完全に言い負かされたジュリオンはなにも言えなくなり、
話は終わりだと、ランと私は帰ろうとした。
だが、次の瞬間、
執務室の外が煩くなる。
「ナナカ様、いま、ジュリオン様は大切な話をしております!」
「うるさい、モブの癖にわたしにはむかうなっうの!」
淑女らしか物言いで騎士の静止を振り切り、ナナカがいきなり執務室の扉を開けた。
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