浮気者はいりません

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ガジガジ

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私たち一家とランは従者の頑張りで、半日で王都周辺に着いた、今日は馬車の中で車中泊いや、馬車泊!!

その夜、私はベッドの端まで追いやられていた。

「キャロ、こいよ」

「あのね、ラン。いくら防音魔法が施してあるといっても、同じ馬車の中には私の家族もいるんだよ!」

ランに着せられた……いいえ、自分で身につけたフリフリで、ピンク色の可愛いネグリジェ。

「ただ、抱きしめて眠りたいだけ、それもダメなのかよ」

 彼の拗ねた顔と拗ねた声。

(うわぁああぁ、その、拗ねた顔……好き)

「わかったわよ」

ええ、おもいっきり彼の腕の中に飛び込みました!! 温かくて、気持ちいい……やばい、ドキドキするけど、もっと、ランに近付きたいと下からチラッと見上げた。

瞳がバチッとかちあい、すばやく唇を奪われる。

「ら、ラン?」
「ハァ……クッソ、可愛いなぁ……キャロ。食っちまいてぇ」

熱い吐息とともに頬に落ちるキス。

ゴクッと鳴らす喉、熱い瞳……そんな瞳で見られたら、女の子だって欲情してあなたが欲しくなる。

「……ラン、少しだけなら触ってもいいよ」

(ああ、なんて、我ながらズルい言い方……でも、ドンと来いって!! と、言うのはまだ照れるし、恥ずかしい)

「マジか、そんな照れて真っ赤な顔をして俺を誘うなんてな。ヤベェ、たぎる。いまの俺はキャロにチョットだけなんて我慢できねぇ、ガッツリ触るぞ」

「……え?」

(その、口の悪さも好き、ギザ歯も切長の瞳も……ランの全部が好き!!)

でも、

「……ン、ンンッ、お、お、お手柔らかに」
「ニシシッ、わかった。可愛い、俺だけのキャロ」

二人の熱い夜は過ぎていった。



翌朝。

お風呂の鏡に映る、私の体に残るランの噛み跡と、赤い斑点。魔王様との約束で最後まで出来ないからって!!

(……あんなに肌に吸い付き、ガジガジ噛むなんて、舐めるなんて!!)

 声が枯れるほど喘がされ、ランに色々されて……気持ちよかった。
 
 ーーでもランたら、ニシシッて余裕に笑っちゃって、私だけ散々感じさせれられたわ。

「ラン! いまに見てなさい。結婚したらコッチから、積極的にガジガジするんだから!!」

お風呂で気合いを入れていたら、ガチャッと扉が開き、ランが前を隠さず普通に入ってくる。

独り言を聞いていたみたいで、笑って。

「キャロのガジガジは楽しみだな。だが、一つだけ訂正しろよ。キャロの、好きな女の体が目の前にあるんだ、余裕なんてねぇ。いま我慢しているぶん、結婚したら容赦しねぇからな」

「え、あれで、ランは手加減しているの!!」

「当たり前だろ。俺が本気を出したらキャロは一日中、ベッドか出れねぇぞ」

(マジですかァァァ!!!)

と心の中では叫んだけど。

でも、彼の本気を期待してしまう自分がいた。
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