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34.博多旅行・破(全4話中第2話)
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前回までのあらすじ・・・2泊3日の博多旅行初日。昼過ぎに到着し、旅の最大目的である「かろのうろん」を食べて大満足の筆者。次の目的地はキャナルシティ博多という商業施設にある一蘭なのだが、休憩がてらに寄った磯丸水産で注文したマグロが予想外のボリュームで大苦戦。これを完食した上でラーメンを食べる自分を想像出来ない。なんてだらしない胃袋なんだろう。これがミドルエイジ・クライシスってやつか・・・
全4話の博多旅行シリーズ。困難に満ちた第2話、始まります。
目の前には山のように積まれたマグロ。「このお値段でこのボリュームはやるなあ」そう思わせてくれる磯丸水産の心憎い配慮だが、今はその配慮が憎い。何はともあれ食べ進めないといけない。九州らしい甘い刺身醤油で頂きながら思ったのは「さすがは磯丸、近年食べたマグロの中でもピカイチ」という事実。大トロよりも赤身好きな私の舌にジャストフィットしている。
しかし、感情は惑乱している。「美味いなぁ」という気持ちと「一蘭が食べられない程、お腹いっぱいになるかも」という不安が交錯して心中はもうグチャグチャ。とは言え、食べ切らないと先には進めない。マグロを頬張り、その度に「美味いなぁ」と生まれきた幸福を感じながらも「ヤバいなぁ」と同時並行的に焦燥感を感じる。こんな複雑な気持ちでマグロを食べたのは生まれて初めてだ。
あくまでも当初の予定はちょい飲み。ビール一杯で終わらせるつもりが、マグロを食べ尽くすためにチューハイを2杯追加せざるを得なかった。ちょい飲みと言うには微妙に多い酒量だ。
「富士2種盛り」は最高に美味しかった。注文として100点満点。だが、この予定の中で頼む場合は不正解。おかげで腹一杯。一蘭が入るか分からない。仮に一蘭が入っても夕食が入るか分からない。一人なら晩御飯の時間をずらせば済むのだが、この日の晩は後輩と食事の約束をしている。
17時までにお腹が空かないと一蘭は諦めないといけない。「一蘭は割とどこでも食べられるのでパスしても良いのでは」と思われる読者様もいらっしゃるだろう。だが、今回の旅行で私が食べようと思っているのは「キャナルシティ博多店」と「天神西通り店」のみで供される「釜だれとんこつラーメン」という店舗限定品だ。並みの一蘭とはわけが違う。
特定のお店でしか食べられないものを食べたがるのはジャンクフード喰いの習性だ。「店舗限定の釜だれとんこつラーメン、食べた事ありますよ」他の一蘭マニアに対してそんな上から目線で自慢出来る資格を得るためには何としても食べなければならない。
とりあえずキャナルシティの中を歩き回った。一通り館内を歩き終えると、次はキャナルシティの周辺をグルグルと歩き回り始めた。後輩と合流するのは20時頃。夕食より3時間前は何も食べない方が良い。つまり17時までにお腹が空かなければ一蘭は諦めなければならない。そんな焦燥感に駆られながらグルグル歩き回った。
ちなみにキャナルシティにはラーメンスタジアムというフロアがあり、横浜の新ラーメン博物館みたいに全国の有名ラーメン店が8店舗ほど入れ替わりで入っているらしい。何て熱いスポットだろう。事前にチェックしておくべきだった。この日も魅力的なお店が入っていて悲しくなった。この旅行計画では食べられないではないか。
しかし、今はそれどころではない。グルグルを継続した。
やがて、日頃の行いが良いおかげだろう、満腹だった胃袋も落ち着きを見せてきてラーメン一杯なら入りそうなコンディションになった。
平日の16時50分頃という時間にもかかわらずお客が多い。みんな「釜だれとんこつラーメン」を食べて誰かにマウントを取りたいと思っている同志なのだろう。数分待った程度でスムーズに入店。流れる様に注文する。
一蘭らしく注文用紙に麺の硬さやスープの濃さを記入し、着丼を待つ。出て来たのはいつもの丸い丼ではなく、蓋をした四角い重箱。この絢爛なる器だけでテンションは最高潮へと達する。
勢いよく麺を啜り始めたのだが、ちょっと濃ゆい。てか、濃すぎる。これに関しては甘酸っぱい恋愛映画、例えば「ノッティンヒルの恋人」とか「スウィート・ノーベンバー」みたいなのを観たかったのに「仁義なき戦い」や「ジョン・ウィック」を観させられたような「これではない感」に近い。受け手である私の状態と合ってなかったのだろう。やはり磯丸のマグロアタックがボディのように蓄積していたのだ。そもそも、冷静になって考えてみれば、そんなにお腹が空いてないのに濃厚な豚骨ラーメンを食べようという考え自体が狂ってる。こんな状況で正確なジャッジが出来るとはとても思えない。
こうして、釜だれとんこつラーメンの評価については「保留」となった。まあ、高度な一蘭マウントを取る権利は獲得したので良しとしよう。「えっ、一蘭好きって公言してるのに『釜だれとんこつラーメン』を食べた事ないんですか?あり得なくないです?」これは悪くない。
20時に博多駅で後輩と合流。彼が焼き鳥を所望したので、博多駅前の「焼鳥 太一」に突撃だ。
最近の博多では鳥皮を串にグルグル巻いた鶏皮串をよく見かける。博多では新しいグルメが次から次へと生まれているが、これが今の博多の焼き鳥界のニューウェーブらしい。前年にそれ系の焼き鳥を食べながら一杯やったのだが、かなり良かった。また食べたかったが、あいにくのところこのお店にグルグル系の鶏皮はなし。何故ならここは昔ながらの焼き鳥屋。良い意味でのオールドウェーブ。私が学生だった頃よりも遥か前から営業しているの老舗だ。
伝統的なメニューが出てくるここで頼むべきなのは「福岡の焼き鳥と言えば?」の「豚バラ串」だ。こいつを頼まずして何を頼むというのだろう。
豚バラを串に刺して焼く調理法は関東では「やきとん」と呼ばれ、焼き鳥屋よりもモツを扱うお店に置いてあるイメージだ。地域的には安酒を飲んでクダを巻いていた私が好きだった赤羽あたりだろうか。だが、九州では焼き鳥のカテゴリーに入り、ほとんどの焼き鳥屋さんで提供されるらしい。福岡で焼き鳥屋さんに入ったら3~4本は食べるので、食べた事がない読者様は是非。
タレではなく塩コショウをかけて焼いてあるだけなのだが、炭火のせいかビックリする美味さだ。家でフライパンを使って焼く豚バラとは次元が違う。何故、こんな力強く断言できるのかと言うと、この旅行の後に豚バラ串を思い出し、豚バラをフライパンで焼いて食べたらちっとも美味しくなかったからだ。脂っぽくて気持ち悪くなった。やはり肉を焼くという行為においては炭火で焼きながら余分な脂を落とす過程を経ないと到達出来ない境地がある。
あとはポン酢をかけたキャベツが付け出しで出てきるのが博多のスタイル。店によってはお皿に盛ったキャベツの上に焼きあがった串を置くこともある。そんな時はいつも「ああ、博多で焼き鳥食べてるんだな」としみじみ思う。ちなみにキャベツはとんかつ屋さんみたいに無料でおかわり自由のお店が多い。焼き鳥の脂っぽさをキャベツがリセットしてくれるので、これは全国の焼き鳥屋さんに見習ってほしい。
博多らしいと言えば、関東でよく見られる「みんなでシェアするために焼き鳥を串から外す謎の気遣い」なんかは見受けられない。店内の老若男女全てが豪快に串に齧り付いている。さすがは焼鳥激戦区に住む博多っ子たち。面構えも違うし、食いっぷりも違う。
博多の焼き鳥を堪能し、駅で後輩を見送ってからホテルに戻る。さすがに疲れた。田舎は基本的に車生活なので、久しぶりにこれだけ歩いた。とりあえずシャワーを浴び、寝間着に着替える。コンビニで買ったお酒を片手に、昼間にブックオフで買った漫画・モンキーターンを読みながら就寝前のリラックスタイムだ。普段の日常では感じる事が出来ない、ゆったりとした時間が流れる。たまにこうやってリフレッシュするのも大事だと思った。
こうして、博多の夜は更けていく・・・
小腹が空いて来たので再びコンビニへ。生まれて初めてファミチキを購入。久しぶりの旅行でアドレナリンが大量放出されているのだろうか、全然眠れない。追加のお酒を購入し、再びモンキーターンの世界へ。しかし、晩酌の最中に小腹が空いて、夜中に歩いてコンビニに行くこの感覚も久しぶりだ。何気ない行動だが、車社会の田舎では出来ない事だ。
こうして、博多の夜は更けていく・・・
またまた小腹が空いたので今度はセブンへ。「ハムとたまごのサンド」と追加のお酒を購入。飲めば飲むほど目が冴えてきた。「酔拳」のジャッキーや野球漫画「あぶさん」の景浦安武のレベルに近づいてるのかもしれない。「徹夜する事はさすがにないとして、チェックアウトの時間に起きれるのか、自分」と、またまた不安になってきた。
モンキーターンを読み終えた深夜3時過ぎ、さすがに眠くなった。やっと就寝。一日目がやっと終わりを告げる。
それでは、初日のカロリー総数を発表しよう。あくまでも参考値ですが。
かろのうろん 323kcal
蟹味噌甲羅焼 65kcal
マグロの盛り合わせ 200kcal
ビール(300㎖)1杯 120kcal
氷結無糖(300㎖)2杯 252kcal
一蘭・釜だれとんこつラーメン 457kcal
焼き鳥 600kcal
ビール(300㎖)1杯 120kcal
チューハイ(300㎖)5杯 660kcal
ファミチキ 252kcal
缶チューハイ(350㎖)4本 616kcal
缶チューハイ(500㎖)2本 440kcal
ハムとたまごのサンド 329kcal
合計4,434kcalと相成りました。厚生労働省が出してる40代男性の一日の摂取カロリー目安が2,350kcalなので、少しだけオーバーしてしまった。ただ、酔ってたので飲んだお酒の量をカウントし間違えてる可能性もある。チューハイ系だけで4.5リットルも飲んだって本当だろうか?
まあ、一日中歩き回ってカロリーを消費してたのでプラマイゼロだろう。希望的観測だが。
【二日目】
令和5年11月30日。旅行2日目の朝は二日酔いからスタート。どう考えても前日は飲み過ぎてる。体調も良くないが、天気もあまり良くない。とりあえずホテルをチェックアウトしたものの、今すぐホテルに再度チェックインしたいほど二日酔いが酷い。とりあえず体調が戻るまで駅の周辺を彷徨きまわる。いつもながらの不審者モードだが、予定は可能な限りこなさないといけない。
○第二日目の予定・・・
・朝食「天下一品のこってりラーメン」
・お昼「天下一品のあっさりラーメン」
・間食「未定」
・夕食「寿久(博多駅前のもつ鍋屋さん)」
二日目も重要なミッションが控えている。このエッセイの記念すべき第一話目、「01.天下一品あっさり攻略法」で書いた天下一品であっさりラーメン食べる裏テク、「こってりラーメンを食べた後にあっさりラーメン」を実践しなければならないのだが、このコンディションではこってりラーメンは無理だ。こんな状態で食べたらマーライオンに転生してしまう。
フラフラな状態でベローチェに入り、オレンジジュースを啜る。生き返るようだ。今後の予定を思案しつつ、二杯目のオレンジジュースを頼みに行こうとしたら少しだけ食欲が湧いて来た。そうなれば頼むのは一つ。ツナサンドだ。
筆者はベローチェのツナサンドを偏執的に愛しているが、住んでいる地域に店舗がない。よって、久方ぶりのツナサンドと相成ったわけだが、相も変わらず抜群に美味しい。あまりの美味しさに我を忘れてお代わりしようとしたのだが、昼食に差し障りそうなので諦めた。田舎者のグルメツアーには忍耐の心が要求される。
気力は回復したものの、まだ完全に二日酔いから回復してない。天気も悪いので駅周辺をウロウロした。私は大きな本屋さんに目がない。大きな本屋さんでしか得られない癒しがある。幸いにも博多駅周辺に2つほどの大型店舗を見つけたので突撃だ。時間をかけて店内を吟味した結果、澁澤龍彦先生のエッセイを二冊ばかし購入。良い買い物だった。余談だが新しい一万円札の渋沢栄一と澁澤龍彦は親戚だ。ちょっとしたトリビアなので合コンの際に使ってもらえれば幸いだ。まあ、こんな話を持ち出さなければならないほど会話が弾んでないのなら「詰んでいる」のかもしれないが。
いつの間にか二日酔いからも回復している。それに長時間立ちっぱなし、歩きっぱなしだったのでお腹が空いて来た。
これは偶然なのだが、この時の私の胃袋は絶妙な状態に仕上がっていた。腹は減ってるけど、二日酔いから回復したばかりなので重いやつ、つまりこってりラーメンは無理。しかし、あっさりしたラーメンなら美味しく頂けそう。そんな奇跡的なバランスの上に成り立つ胃袋の状態。勝機が見えてきた。
天下一品に通い詰めてる人でもほとんどが食べてない、レギュラーメニューでありながら幻のメニューである「あっさりラーメン」。遂に奴との戦いが始まる・・・
To be continued...
全4話の博多旅行シリーズ。困難に満ちた第2話、始まります。
目の前には山のように積まれたマグロ。「このお値段でこのボリュームはやるなあ」そう思わせてくれる磯丸水産の心憎い配慮だが、今はその配慮が憎い。何はともあれ食べ進めないといけない。九州らしい甘い刺身醤油で頂きながら思ったのは「さすがは磯丸、近年食べたマグロの中でもピカイチ」という事実。大トロよりも赤身好きな私の舌にジャストフィットしている。
しかし、感情は惑乱している。「美味いなぁ」という気持ちと「一蘭が食べられない程、お腹いっぱいになるかも」という不安が交錯して心中はもうグチャグチャ。とは言え、食べ切らないと先には進めない。マグロを頬張り、その度に「美味いなぁ」と生まれきた幸福を感じながらも「ヤバいなぁ」と同時並行的に焦燥感を感じる。こんな複雑な気持ちでマグロを食べたのは生まれて初めてだ。
あくまでも当初の予定はちょい飲み。ビール一杯で終わらせるつもりが、マグロを食べ尽くすためにチューハイを2杯追加せざるを得なかった。ちょい飲みと言うには微妙に多い酒量だ。
「富士2種盛り」は最高に美味しかった。注文として100点満点。だが、この予定の中で頼む場合は不正解。おかげで腹一杯。一蘭が入るか分からない。仮に一蘭が入っても夕食が入るか分からない。一人なら晩御飯の時間をずらせば済むのだが、この日の晩は後輩と食事の約束をしている。
17時までにお腹が空かないと一蘭は諦めないといけない。「一蘭は割とどこでも食べられるのでパスしても良いのでは」と思われる読者様もいらっしゃるだろう。だが、今回の旅行で私が食べようと思っているのは「キャナルシティ博多店」と「天神西通り店」のみで供される「釜だれとんこつラーメン」という店舗限定品だ。並みの一蘭とはわけが違う。
特定のお店でしか食べられないものを食べたがるのはジャンクフード喰いの習性だ。「店舗限定の釜だれとんこつラーメン、食べた事ありますよ」他の一蘭マニアに対してそんな上から目線で自慢出来る資格を得るためには何としても食べなければならない。
とりあえずキャナルシティの中を歩き回った。一通り館内を歩き終えると、次はキャナルシティの周辺をグルグルと歩き回り始めた。後輩と合流するのは20時頃。夕食より3時間前は何も食べない方が良い。つまり17時までにお腹が空かなければ一蘭は諦めなければならない。そんな焦燥感に駆られながらグルグル歩き回った。
ちなみにキャナルシティにはラーメンスタジアムというフロアがあり、横浜の新ラーメン博物館みたいに全国の有名ラーメン店が8店舗ほど入れ替わりで入っているらしい。何て熱いスポットだろう。事前にチェックしておくべきだった。この日も魅力的なお店が入っていて悲しくなった。この旅行計画では食べられないではないか。
しかし、今はそれどころではない。グルグルを継続した。
やがて、日頃の行いが良いおかげだろう、満腹だった胃袋も落ち着きを見せてきてラーメン一杯なら入りそうなコンディションになった。
平日の16時50分頃という時間にもかかわらずお客が多い。みんな「釜だれとんこつラーメン」を食べて誰かにマウントを取りたいと思っている同志なのだろう。数分待った程度でスムーズに入店。流れる様に注文する。
一蘭らしく注文用紙に麺の硬さやスープの濃さを記入し、着丼を待つ。出て来たのはいつもの丸い丼ではなく、蓋をした四角い重箱。この絢爛なる器だけでテンションは最高潮へと達する。
勢いよく麺を啜り始めたのだが、ちょっと濃ゆい。てか、濃すぎる。これに関しては甘酸っぱい恋愛映画、例えば「ノッティンヒルの恋人」とか「スウィート・ノーベンバー」みたいなのを観たかったのに「仁義なき戦い」や「ジョン・ウィック」を観させられたような「これではない感」に近い。受け手である私の状態と合ってなかったのだろう。やはり磯丸のマグロアタックがボディのように蓄積していたのだ。そもそも、冷静になって考えてみれば、そんなにお腹が空いてないのに濃厚な豚骨ラーメンを食べようという考え自体が狂ってる。こんな状況で正確なジャッジが出来るとはとても思えない。
こうして、釜だれとんこつラーメンの評価については「保留」となった。まあ、高度な一蘭マウントを取る権利は獲得したので良しとしよう。「えっ、一蘭好きって公言してるのに『釜だれとんこつラーメン』を食べた事ないんですか?あり得なくないです?」これは悪くない。
20時に博多駅で後輩と合流。彼が焼き鳥を所望したので、博多駅前の「焼鳥 太一」に突撃だ。
最近の博多では鳥皮を串にグルグル巻いた鶏皮串をよく見かける。博多では新しいグルメが次から次へと生まれているが、これが今の博多の焼き鳥界のニューウェーブらしい。前年にそれ系の焼き鳥を食べながら一杯やったのだが、かなり良かった。また食べたかったが、あいにくのところこのお店にグルグル系の鶏皮はなし。何故ならここは昔ながらの焼き鳥屋。良い意味でのオールドウェーブ。私が学生だった頃よりも遥か前から営業しているの老舗だ。
伝統的なメニューが出てくるここで頼むべきなのは「福岡の焼き鳥と言えば?」の「豚バラ串」だ。こいつを頼まずして何を頼むというのだろう。
豚バラを串に刺して焼く調理法は関東では「やきとん」と呼ばれ、焼き鳥屋よりもモツを扱うお店に置いてあるイメージだ。地域的には安酒を飲んでクダを巻いていた私が好きだった赤羽あたりだろうか。だが、九州では焼き鳥のカテゴリーに入り、ほとんどの焼き鳥屋さんで提供されるらしい。福岡で焼き鳥屋さんに入ったら3~4本は食べるので、食べた事がない読者様は是非。
タレではなく塩コショウをかけて焼いてあるだけなのだが、炭火のせいかビックリする美味さだ。家でフライパンを使って焼く豚バラとは次元が違う。何故、こんな力強く断言できるのかと言うと、この旅行の後に豚バラ串を思い出し、豚バラをフライパンで焼いて食べたらちっとも美味しくなかったからだ。脂っぽくて気持ち悪くなった。やはり肉を焼くという行為においては炭火で焼きながら余分な脂を落とす過程を経ないと到達出来ない境地がある。
あとはポン酢をかけたキャベツが付け出しで出てきるのが博多のスタイル。店によってはお皿に盛ったキャベツの上に焼きあがった串を置くこともある。そんな時はいつも「ああ、博多で焼き鳥食べてるんだな」としみじみ思う。ちなみにキャベツはとんかつ屋さんみたいに無料でおかわり自由のお店が多い。焼き鳥の脂っぽさをキャベツがリセットしてくれるので、これは全国の焼き鳥屋さんに見習ってほしい。
博多らしいと言えば、関東でよく見られる「みんなでシェアするために焼き鳥を串から外す謎の気遣い」なんかは見受けられない。店内の老若男女全てが豪快に串に齧り付いている。さすがは焼鳥激戦区に住む博多っ子たち。面構えも違うし、食いっぷりも違う。
博多の焼き鳥を堪能し、駅で後輩を見送ってからホテルに戻る。さすがに疲れた。田舎は基本的に車生活なので、久しぶりにこれだけ歩いた。とりあえずシャワーを浴び、寝間着に着替える。コンビニで買ったお酒を片手に、昼間にブックオフで買った漫画・モンキーターンを読みながら就寝前のリラックスタイムだ。普段の日常では感じる事が出来ない、ゆったりとした時間が流れる。たまにこうやってリフレッシュするのも大事だと思った。
こうして、博多の夜は更けていく・・・
小腹が空いて来たので再びコンビニへ。生まれて初めてファミチキを購入。久しぶりの旅行でアドレナリンが大量放出されているのだろうか、全然眠れない。追加のお酒を購入し、再びモンキーターンの世界へ。しかし、晩酌の最中に小腹が空いて、夜中に歩いてコンビニに行くこの感覚も久しぶりだ。何気ない行動だが、車社会の田舎では出来ない事だ。
こうして、博多の夜は更けていく・・・
またまた小腹が空いたので今度はセブンへ。「ハムとたまごのサンド」と追加のお酒を購入。飲めば飲むほど目が冴えてきた。「酔拳」のジャッキーや野球漫画「あぶさん」の景浦安武のレベルに近づいてるのかもしれない。「徹夜する事はさすがにないとして、チェックアウトの時間に起きれるのか、自分」と、またまた不安になってきた。
モンキーターンを読み終えた深夜3時過ぎ、さすがに眠くなった。やっと就寝。一日目がやっと終わりを告げる。
それでは、初日のカロリー総数を発表しよう。あくまでも参考値ですが。
かろのうろん 323kcal
蟹味噌甲羅焼 65kcal
マグロの盛り合わせ 200kcal
ビール(300㎖)1杯 120kcal
氷結無糖(300㎖)2杯 252kcal
一蘭・釜だれとんこつラーメン 457kcal
焼き鳥 600kcal
ビール(300㎖)1杯 120kcal
チューハイ(300㎖)5杯 660kcal
ファミチキ 252kcal
缶チューハイ(350㎖)4本 616kcal
缶チューハイ(500㎖)2本 440kcal
ハムとたまごのサンド 329kcal
合計4,434kcalと相成りました。厚生労働省が出してる40代男性の一日の摂取カロリー目安が2,350kcalなので、少しだけオーバーしてしまった。ただ、酔ってたので飲んだお酒の量をカウントし間違えてる可能性もある。チューハイ系だけで4.5リットルも飲んだって本当だろうか?
まあ、一日中歩き回ってカロリーを消費してたのでプラマイゼロだろう。希望的観測だが。
【二日目】
令和5年11月30日。旅行2日目の朝は二日酔いからスタート。どう考えても前日は飲み過ぎてる。体調も良くないが、天気もあまり良くない。とりあえずホテルをチェックアウトしたものの、今すぐホテルに再度チェックインしたいほど二日酔いが酷い。とりあえず体調が戻るまで駅の周辺を彷徨きまわる。いつもながらの不審者モードだが、予定は可能な限りこなさないといけない。
○第二日目の予定・・・
・朝食「天下一品のこってりラーメン」
・お昼「天下一品のあっさりラーメン」
・間食「未定」
・夕食「寿久(博多駅前のもつ鍋屋さん)」
二日目も重要なミッションが控えている。このエッセイの記念すべき第一話目、「01.天下一品あっさり攻略法」で書いた天下一品であっさりラーメン食べる裏テク、「こってりラーメンを食べた後にあっさりラーメン」を実践しなければならないのだが、このコンディションではこってりラーメンは無理だ。こんな状態で食べたらマーライオンに転生してしまう。
フラフラな状態でベローチェに入り、オレンジジュースを啜る。生き返るようだ。今後の予定を思案しつつ、二杯目のオレンジジュースを頼みに行こうとしたら少しだけ食欲が湧いて来た。そうなれば頼むのは一つ。ツナサンドだ。
筆者はベローチェのツナサンドを偏執的に愛しているが、住んでいる地域に店舗がない。よって、久方ぶりのツナサンドと相成ったわけだが、相も変わらず抜群に美味しい。あまりの美味しさに我を忘れてお代わりしようとしたのだが、昼食に差し障りそうなので諦めた。田舎者のグルメツアーには忍耐の心が要求される。
気力は回復したものの、まだ完全に二日酔いから回復してない。天気も悪いので駅周辺をウロウロした。私は大きな本屋さんに目がない。大きな本屋さんでしか得られない癒しがある。幸いにも博多駅周辺に2つほどの大型店舗を見つけたので突撃だ。時間をかけて店内を吟味した結果、澁澤龍彦先生のエッセイを二冊ばかし購入。良い買い物だった。余談だが新しい一万円札の渋沢栄一と澁澤龍彦は親戚だ。ちょっとしたトリビアなので合コンの際に使ってもらえれば幸いだ。まあ、こんな話を持ち出さなければならないほど会話が弾んでないのなら「詰んでいる」のかもしれないが。
いつの間にか二日酔いからも回復している。それに長時間立ちっぱなし、歩きっぱなしだったのでお腹が空いて来た。
これは偶然なのだが、この時の私の胃袋は絶妙な状態に仕上がっていた。腹は減ってるけど、二日酔いから回復したばかりなので重いやつ、つまりこってりラーメンは無理。しかし、あっさりしたラーメンなら美味しく頂けそう。そんな奇跡的なバランスの上に成り立つ胃袋の状態。勝機が見えてきた。
天下一品に通い詰めてる人でもほとんどが食べてない、レギュラーメニューでありながら幻のメニューである「あっさりラーメン」。遂に奴との戦いが始まる・・・
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