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9章 驕り少女が我儘すぎる!123~
その16 ヒウタと自信少女
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ヒウタが目を覚ますと白い天井が見えた。
病院に運ばれたらしい。
というのも、ヒウタは電話をしたのはトアオたちだった。
事情を話したところ、トアオと運ちゃんが急いで駆けつけてくれた。
また、キヌイがどこまで根回しをしているか分からないが、キヌイが本気で命を狙っているなら救急車を呼んでも受け入れの病院が見つかる可能性は低いとのこと。
ヒウタは運ちゃんの車に乗せられると気を失うように眠ってしまっていた。
「ヒウタさん、ヒウタさん。キヌイのやつに睡眠薬盛られていました。効きが悪かったみたいですね。私たちを呼んでくれて助かりました。今シュイロさんは緊急手術室で人体実験されています」
「あたしが呼んだ。これを救えるのは私だけだろうけどさ、って文句言いながら手術室に入っていった」
「人体実験?」
運ちゃんはベッドの側の椅子に座っているが、トアオはベッドに座っているため掛け布団が固定されていて動きにくい。
「ここは『七つの大罪』の『強欲』少女、飛舞茶湖の家族が中心の病院かな。チャコさんは『七つの大罪』少女で唯一同棲しているまともな人生を歩んでいる。けど人体に興味を持つ怪物で、違法な薬による治療を行うアウトローさも兼ね備えていて、よーするに医学会のトアオちゃんかな」
運ちゃんが説明する。
トアオは胸を張って偉そうにしている。
そろそろベッドから離れてくれ、ヒウタは思うが。
トアオがヒウタの胸に飛び込んできた。
「ヒウタさんが無事で良かったです。ここならシュイロさんも助かるでしょう。それと初期構想の段階で出演が決まっていたのに本作の最終章まで出番が全くなかったチャコさんにも活躍の場ができました」
「ん? 本作? 最終章? 出番? トアオさんは何を言っていますか?」
「最強人工知能『ふぉーている』にかかればいろいろ分かりますからね」
「つまり?」
「私は本作の神様とも簡単にコンタクトできるのですよ」
「急にオカルトな」
「とはいえ、運ちゃんは疲れているので寝かせてきますね。昼まで起きていたのですから」
「昼?」
「はい。強力な睡眠薬ではありますよね!」
トアオは運ちゃんを引き摺って出ていった。
ロングヘアで殺気のオーラを醸し出す美人が料理を運んでくる。
髪がメデューサのように広がっていて(比喩)、鬼のような形相でヒウタを睨む。
黒いオーラで誰か分からなかったが。
「ヒウ君? 絶対あの女殺す。友達も恩人も傷つけるなんて。トアオちゃんが助けてくれたといっても許すわけないんだが?」
本場の殺気を出せるとしたら。
生粋の殺し屋(拳のみで)しかいない。
「アキトヨさん、どうしてここに?」
「はい。今日のご飯。シフユさんはまだ手術中だから。チャコさんなら助かるとは思うのだけど。手術室の前に、カワクロさんもシフユさんもいる。メリアさんもこれからヒウ君の友人と来る。それに、ヒウ君の家族も来るけど怒っているみたい。特に妹さんが。私はシュイロさんのところに言ってくる。ヒウ君は明日までには退院になるだろうから」
アキトヨは部屋を出た。
ヒウタは暇になって辺りを見る。
一人部屋だ、しかも広い。
妹のアメユキが生まれたとき、母が広めの病室で入院していたことを思い出す。
今は元気である分、個室で寝ているのは罪悪感もあるが。
「にい、今すぐ仕事をやめさせます。一体どういう事態なの?」
父はアメユキの後ろに立って、母は元気そうなヒウタを見てホッと胸を撫で下ろし、アメユキは瞼を僅かに閉じて円らな瞳をきりっとした目力に変える。
「俺は蹴られただけだ。シュイロさんが刺されたけど」
「今回の事件は後で聞きます。まともに警察が動きませんし、私には何もできません。でもにいが動くのも変な話です。私のにいにいは一人だけなので」
「ごめん」
「無理しないという約束は無視? 何かあったら妹を置いていくことになるので、最悪なにいということです。反省してください。顔を見たので私たちは昼ごはん食べます。仕事はぜええたああいに辞めさせます。約束も破ったので」
アメユキは両親を引いて部屋を出た。
その怒りは何も言わなくとも伝わってくるが。
心配をかけすぎたのだ、反省すべきだろう。
「ヒウタ、無事か? 一応シュイロさんの手術は一段落ついたみたいだけど」
「ハクくんも心配していたわ」
ハクとメリアが来た。
饅頭を買って来てくれた。
「キヌイってやつにやられたって」
「ああ。俺は油断していた。ごめん」
「謝るなよ、無事だったわけだし」
「私もそう思うわ。くそ、あのときぐちゃぐちゃにしていれば」
メリアが物騒な言い方をする。
ヒウタは一言注意をしようと考えた。
しかし、ヒウタは蹴られ、シュイロは刺されたのだ。
それくらい批判されても仕方がない。
「ヒウタ、俺たちもシュイロさんのところに言ってくる。本当に生きていてよかった。そして、キヌイは酷い目に遭わせるべきだ」
「私がやろうかしら。個人的なものもあるし、ふふふふふ」
「メリアさんが危険にさらされるのは耐えられないよ」
「ハクくん? もう、分かったわ。やめておきましょう。けど憎み、恨み続けるけど」
ハクはメリアの扱いが上手い。
流石は彼氏である。
病院に運ばれたらしい。
というのも、ヒウタは電話をしたのはトアオたちだった。
事情を話したところ、トアオと運ちゃんが急いで駆けつけてくれた。
また、キヌイがどこまで根回しをしているか分からないが、キヌイが本気で命を狙っているなら救急車を呼んでも受け入れの病院が見つかる可能性は低いとのこと。
ヒウタは運ちゃんの車に乗せられると気を失うように眠ってしまっていた。
「ヒウタさん、ヒウタさん。キヌイのやつに睡眠薬盛られていました。効きが悪かったみたいですね。私たちを呼んでくれて助かりました。今シュイロさんは緊急手術室で人体実験されています」
「あたしが呼んだ。これを救えるのは私だけだろうけどさ、って文句言いながら手術室に入っていった」
「人体実験?」
運ちゃんはベッドの側の椅子に座っているが、トアオはベッドに座っているため掛け布団が固定されていて動きにくい。
「ここは『七つの大罪』の『強欲』少女、飛舞茶湖の家族が中心の病院かな。チャコさんは『七つの大罪』少女で唯一同棲しているまともな人生を歩んでいる。けど人体に興味を持つ怪物で、違法な薬による治療を行うアウトローさも兼ね備えていて、よーするに医学会のトアオちゃんかな」
運ちゃんが説明する。
トアオは胸を張って偉そうにしている。
そろそろベッドから離れてくれ、ヒウタは思うが。
トアオがヒウタの胸に飛び込んできた。
「ヒウタさんが無事で良かったです。ここならシュイロさんも助かるでしょう。それと初期構想の段階で出演が決まっていたのに本作の最終章まで出番が全くなかったチャコさんにも活躍の場ができました」
「ん? 本作? 最終章? 出番? トアオさんは何を言っていますか?」
「最強人工知能『ふぉーている』にかかればいろいろ分かりますからね」
「つまり?」
「私は本作の神様とも簡単にコンタクトできるのですよ」
「急にオカルトな」
「とはいえ、運ちゃんは疲れているので寝かせてきますね。昼まで起きていたのですから」
「昼?」
「はい。強力な睡眠薬ではありますよね!」
トアオは運ちゃんを引き摺って出ていった。
ロングヘアで殺気のオーラを醸し出す美人が料理を運んでくる。
髪がメデューサのように広がっていて(比喩)、鬼のような形相でヒウタを睨む。
黒いオーラで誰か分からなかったが。
「ヒウ君? 絶対あの女殺す。友達も恩人も傷つけるなんて。トアオちゃんが助けてくれたといっても許すわけないんだが?」
本場の殺気を出せるとしたら。
生粋の殺し屋(拳のみで)しかいない。
「アキトヨさん、どうしてここに?」
「はい。今日のご飯。シフユさんはまだ手術中だから。チャコさんなら助かるとは思うのだけど。手術室の前に、カワクロさんもシフユさんもいる。メリアさんもこれからヒウ君の友人と来る。それに、ヒウ君の家族も来るけど怒っているみたい。特に妹さんが。私はシュイロさんのところに言ってくる。ヒウ君は明日までには退院になるだろうから」
アキトヨは部屋を出た。
ヒウタは暇になって辺りを見る。
一人部屋だ、しかも広い。
妹のアメユキが生まれたとき、母が広めの病室で入院していたことを思い出す。
今は元気である分、個室で寝ているのは罪悪感もあるが。
「にい、今すぐ仕事をやめさせます。一体どういう事態なの?」
父はアメユキの後ろに立って、母は元気そうなヒウタを見てホッと胸を撫で下ろし、アメユキは瞼を僅かに閉じて円らな瞳をきりっとした目力に変える。
「俺は蹴られただけだ。シュイロさんが刺されたけど」
「今回の事件は後で聞きます。まともに警察が動きませんし、私には何もできません。でもにいが動くのも変な話です。私のにいにいは一人だけなので」
「ごめん」
「無理しないという約束は無視? 何かあったら妹を置いていくことになるので、最悪なにいということです。反省してください。顔を見たので私たちは昼ごはん食べます。仕事はぜええたああいに辞めさせます。約束も破ったので」
アメユキは両親を引いて部屋を出た。
その怒りは何も言わなくとも伝わってくるが。
心配をかけすぎたのだ、反省すべきだろう。
「ヒウタ、無事か? 一応シュイロさんの手術は一段落ついたみたいだけど」
「ハクくんも心配していたわ」
ハクとメリアが来た。
饅頭を買って来てくれた。
「キヌイってやつにやられたって」
「ああ。俺は油断していた。ごめん」
「謝るなよ、無事だったわけだし」
「私もそう思うわ。くそ、あのときぐちゃぐちゃにしていれば」
メリアが物騒な言い方をする。
ヒウタは一言注意をしようと考えた。
しかし、ヒウタは蹴られ、シュイロは刺されたのだ。
それくらい批判されても仕方がない。
「ヒウタ、俺たちもシュイロさんのところに言ってくる。本当に生きていてよかった。そして、キヌイは酷い目に遭わせるべきだ」
「私がやろうかしら。個人的なものもあるし、ふふふふふ」
「メリアさんが危険にさらされるのは耐えられないよ」
「ハクくん? もう、分かったわ。やめておきましょう。けど憎み、恨み続けるけど」
ハクはメリアの扱いが上手い。
流石は彼氏である。
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