規約違反少女がマッチングアプリで無法すぎる!

アメノヒセカイ

文字の大きさ
上 下
148 / 162
9章 驕り少女が我儘すぎる!123~

その16 ヒウタと自信少女

しおりを挟む
 ヒウタが目を覚ますと白い天井が見えた。
 病院に運ばれたらしい。
 というのも、ヒウタは電話をしたのはトアオたちだった。
 事情を話したところ、トアオと運ちゃんが急いで駆けつけてくれた。
 また、キヌイがどこまで根回しをしているか分からないが、キヌイが本気で命を狙っているなら救急車を呼んでも受け入れの病院が見つかる可能性は低いとのこと。
 ヒウタは運ちゃんの車に乗せられると気を失うように眠ってしまっていた。

「ヒウタさん、ヒウタさん。キヌイのやつに睡眠薬盛られていました。効きが悪かったみたいですね。私たちを呼んでくれて助かりました。今シュイロさんは緊急手術室で人体実験されています」
「あたしが呼んだ。これを救えるのは私だけだろうけどさ、って文句言いながら手術室に入っていった」
「人体実験?」

 運ちゃんはベッドの側の椅子に座っているが、トアオはベッドに座っているため掛け布団が固定されていて動きにくい。

「ここは『七つの大罪』の『強欲』少女、飛舞ひまい茶湖ちゃこの家族が中心の病院かな。チャコさんは『七つの大罪』少女で唯一同棲しているまともな人生を歩んでいる。けど人体に興味を持つ怪物で、違法な薬による治療を行うアウトローさも兼ね備えていて、よーするに医学会のトアオちゃんかな」

 運ちゃんが説明する。
 トアオは胸を張って偉そうにしている。
 そろそろベッドから離れてくれ、ヒウタは思うが。
 トアオがヒウタの胸に飛び込んできた。

「ヒウタさんが無事で良かったです。ここならシュイロさんも助かるでしょう。それと初期構想の段階で出演が決まっていたのに本作の最終章まで出番が全くなかったチャコさんにも活躍の場ができました」
「ん? 本作? 最終章? 出番? トアオさんは何を言っていますか?」
「最強人工知能『ふぉーている』にかかればいろいろ分かりますからね」
「つまり?」
「私は本作の神様とも簡単にコンタクトできるのですよ」
「急にオカルトな」
「とはいえ、運ちゃんは疲れているので寝かせてきますね。昼まで起きていたのですから」
「昼?」
「はい。強力な睡眠薬ではありますよね!」

 トアオは運ちゃんを引き摺って出ていった。
 ロングヘアで殺気のオーラを醸し出す美人が料理を運んでくる。
 髪がメデューサのように広がっていて(比喩)、鬼のような形相でヒウタを睨む。
 黒いオーラで誰か分からなかったが。

「ヒウ君? 絶対あの女殺す。友達も恩人も傷つけるなんて。トアオちゃんが助けてくれたといっても許すわけないんだが?」

 本場の殺気を出せるとしたら。
 生粋の殺し屋(拳のみで)しかいない。

「アキトヨさん、どうしてここに?」
「はい。今日のご飯。シフユさんはまだ手術中だから。チャコさんなら助かるとは思うのだけど。手術室の前に、カワクロさんもシフユさんもいる。メリアさんもこれからヒウ君の友人と来る。それに、ヒウ君の家族も来るけど怒っているみたい。特に妹さんが。私はシュイロさんのところに言ってくる。ヒウ君は明日までには退院になるだろうから」

 アキトヨは部屋を出た。
 ヒウタは暇になって辺りを見る。
 一人部屋だ、しかも広い。
 妹のアメユキが生まれたとき、母が広めの病室で入院していたことを思い出す。
 今は元気である分、個室で寝ているのは罪悪感もあるが。

「にい、今すぐ仕事をやめさせます。一体どういう事態なの?」

 父はアメユキの後ろに立って、母は元気そうなヒウタを見てホッと胸を撫で下ろし、アメユキは瞼を僅かに閉じて円らな瞳をきりっとした目力に変える。

「俺は蹴られただけだ。シュイロさんが刺されたけど」
「今回の事件は後で聞きます。まともに警察が動きませんし、私には何もできません。でもにいが動くのも変な話です。私のにいにいは一人だけなので」
「ごめん」
「無理しないという約束は無視? 何かあったら妹を置いていくことになるので、最悪なにいということです。反省してください。顔を見たので私たちは昼ごはん食べます。仕事はぜええたああいに辞めさせます。約束も破ったので」

 アメユキは両親を引いて部屋を出た。
 その怒りは何も言わなくとも伝わってくるが。
 心配をかけすぎたのだ、反省すべきだろう。

「ヒウタ、無事か? 一応シュイロさんの手術は一段落ついたみたいだけど」
「ハクくんも心配していたわ」

 ハクとメリアが来た。
 饅頭を買って来てくれた。

「キヌイってやつにやられたって」
「ああ。俺は油断していた。ごめん」
「謝るなよ、無事だったわけだし」
「私もそう思うわ。くそ、あのときぐちゃぐちゃにしていれば」

 メリアが物騒な言い方をする。
 ヒウタは一言注意をしようと考えた。
 しかし、ヒウタは蹴られ、シュイロは刺されたのだ。
 それくらい批判されても仕方がない。

「ヒウタ、俺たちもシュイロさんのところに言ってくる。本当に生きていてよかった。そして、キヌイは酷い目に遭わせるべきだ」
「私がやろうかしら。個人的なものもあるし、ふふふふふ」
「メリアさんが危険にさらされるのは耐えられないよ」
「ハクくん? もう、分かったわ。やめておきましょう。けど憎み、恨み続けるけど」

 ハクはメリアの扱いが上手い。
 流石は彼氏である。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クールな生徒会長のオンとオフが違いすぎるっ!?

ブレイブ
恋愛
政治家、資産家の子供だけが通える高校。上流高校がある。上流高校の一年生にして生徒会長。神童燐は普段は冷静に動き、正確な指示を出すが、家族と、恋人、新の前では

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...