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8章 魅了少女が不安すぎる!『後期』109~122話
その25 ヒウタと好きの気持ち
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昼食、ラーメン屋にて。
「僕がねぎ、ハクが味玉、メリアさんがコーンですけど?」
テーブル席にてヒウタとシフユが並び、向かいにメリアとハクが座っている。
「そうか、まだまだだね。ボクはわかめトッピングにしたかな」
シフユの基準は分からないが。
幸せそうにラーメンを食べる姿を見ると、勝手に言わせておけばいいかと思う。
「次はどこに行こうかな。面白いものも見えたし」
シフユはメリアとハクを交互に見る。
メリアはシフユのラーメンからチャーシューを奪い取った。
「はあ? 傍観者のつもり? いつもそうしてる気がするわ。人に云々言って、映画の監督にでもなったつもりかしら?」
「何をしてるんだ? ボクのチャーシューを取って」
「返してあげるわ、そんなに言うなら」
「いや、要らないかな。ボクは嫌いだ」
「あら、奇遇ね。私も嫌いだわ、安心材料をかき集めているだけ。私の方が自分自身に埃を持っているわ。そう思わないかしら、ヒウタ」
ヒウタはラーメンに夢中で聞いていなかった。
スープを飲む。
コップの水を求めた瞬間に、どうやら二人がまた揉めているのだろうと感じる。
顔を上げると、メリアが髪を耳に掛けてハクをじっと見ていた。
手を頬に添えて潤んだ瞳を向けている。
「メリアさん、俺もそう思います! メリアさんの方が素敵です、付き合いたいです」
ハクは熱に浮かされて揺れながら言う。
メリアは扇情的
「あら。シフユ、これが一般的な人から見た違いよ。私とシフユ、どちらが自分自身を誇っている格好いい人間なのかのね」
得意げに笑う。
「メリアさん、ハクが一般的な人ってのは間違いだと思うけど」
「ヒウタ、ひどいいい!」
「少なくとも有名人ではないでしょ。個性もないし」
「メリアさんまで!」
「誘導だけは得意みたいだね。まあいいかな、面白いものは見えたし満足だから」
ラーメンを食べ終えて。
大学祭で謎解きゲームをしたり製作した動画を見たり展示物を見たりした。
その後、屋台で食べ歩きをした。
シフユが帰ると、ヒウタ、ハク、メリアはファミリーレストランチェーンにやって来た。
「自然体でいいって言ったからそうさせてもらったけど。本当に良かったのかしら?」
メリアはフォークでハンバーグを一口サイズに切る。
「大丈夫だと思う。本当は心配してたこともあったけど、シフユさんにとって得られるものが多かったはずだから」
「ふーん。私、申し訳ないことをしたと思っているわ。だから一つ確認したいの」
「確認? いいけど」
ヒウタは身構える。
「ヒウタは馬鹿らしくならないの? 恋をすることが。それとも既に馬鹿らしいと思ってる」
ヒウタはメリアと目が合う。
違和感。
「僕は好きという気持ちについて自分なりの答えを出したいと思っています。自分らしい恋の形を見つけたいって思っています」
「そっか。私はヒウタに謝りたいことばかりだわ。だけど確信した。私が心配することはないみたい。ちゃんと恋愛できてるみたいだから。ヒウタが好きな人、ヒウタを好きな人、ヒウタらしく向き合えばいいのかもね」
「そうします」
「シュイロさんが私のことをヒウタに任せることで私を許した意味がやっと分かったわ。私、シュイロさんには敵わないな」
「ヒウタめ、難しそうな話しやがって。さっさと肉食うぞ、肉」
「分かってるから。ハク、メリアさん今日はありがとうございました」
ヒウタは頭を下げる。
ヒウタの中で決断が固まっていく気がした。
「ところでヒウタ。次で大学祭回るの最後だよな?」
「ああ」
「大丈夫なのか? シフユさん」
「今の時点で大丈夫だと思いたい。けど、もう一押ししておくつもりだよ。絶対シフユさんに怒られてしまうし嫌われてしまうだろうけど、やっておかないとって思ったから」
「いつの間に天才キャラムードを出しているんだ! 俺と同じポンコツ人間側だっただろうが。俺は許さないからな!」
「勝手な枠を作らないでくれ。ポンコツではないからな、ハクと違って。一緒にいるとヒヤヒヤするんだよ」
「がーん。ヒウタ、友達やめないでくれ。俺が女の子になったらヒウタの彼女になるから!」
ハクはヒウタに泣きつく。
ヒウタは必死に引き剥がす。
メリアはハンバーグを味わいながら微笑んでいた。
「次で最後か。なんだかんだ、僕自身の思い出も増えていくよな。実際楽しかったし」
「そうだな。来年も行きたいよな。な、ヒウタ。来年も友達だよなああ」
「くっつくな、くっつくな」
「あら、ハク君。私にくっつく? 私の方が温かくて甘い香りでかわいくてふわふわだよ? どうかな」
メリアはハクの隣に移動する。
ヒウタに抱きつくハク、そのハクに抱きつくメリア。
ハクの身体が熱くなる。
緊張も物理的な熱さもあるだろう、それだけの密着度というか密度なのだ。
「お客様、当店でそのような行為はおやめください」
そして、店員に怒られた。
「来年か。どうなるんだろうな」
「変わるものは変わるし、変わらないものは変わらない。行動ひとつでいくらでも変わるものがある一方で、私たちがいくら頑張ってもそうしようもないものもある。でしょ?」
こうして、メリア、ハクとの大学祭は終わった。
これがまさかあの結果を生むなんて。
「僕がねぎ、ハクが味玉、メリアさんがコーンですけど?」
テーブル席にてヒウタとシフユが並び、向かいにメリアとハクが座っている。
「そうか、まだまだだね。ボクはわかめトッピングにしたかな」
シフユの基準は分からないが。
幸せそうにラーメンを食べる姿を見ると、勝手に言わせておけばいいかと思う。
「次はどこに行こうかな。面白いものも見えたし」
シフユはメリアとハクを交互に見る。
メリアはシフユのラーメンからチャーシューを奪い取った。
「はあ? 傍観者のつもり? いつもそうしてる気がするわ。人に云々言って、映画の監督にでもなったつもりかしら?」
「何をしてるんだ? ボクのチャーシューを取って」
「返してあげるわ、そんなに言うなら」
「いや、要らないかな。ボクは嫌いだ」
「あら、奇遇ね。私も嫌いだわ、安心材料をかき集めているだけ。私の方が自分自身に埃を持っているわ。そう思わないかしら、ヒウタ」
ヒウタはラーメンに夢中で聞いていなかった。
スープを飲む。
コップの水を求めた瞬間に、どうやら二人がまた揉めているのだろうと感じる。
顔を上げると、メリアが髪を耳に掛けてハクをじっと見ていた。
手を頬に添えて潤んだ瞳を向けている。
「メリアさん、俺もそう思います! メリアさんの方が素敵です、付き合いたいです」
ハクは熱に浮かされて揺れながら言う。
メリアは扇情的
「あら。シフユ、これが一般的な人から見た違いよ。私とシフユ、どちらが自分自身を誇っている格好いい人間なのかのね」
得意げに笑う。
「メリアさん、ハクが一般的な人ってのは間違いだと思うけど」
「ヒウタ、ひどいいい!」
「少なくとも有名人ではないでしょ。個性もないし」
「メリアさんまで!」
「誘導だけは得意みたいだね。まあいいかな、面白いものは見えたし満足だから」
ラーメンを食べ終えて。
大学祭で謎解きゲームをしたり製作した動画を見たり展示物を見たりした。
その後、屋台で食べ歩きをした。
シフユが帰ると、ヒウタ、ハク、メリアはファミリーレストランチェーンにやって来た。
「自然体でいいって言ったからそうさせてもらったけど。本当に良かったのかしら?」
メリアはフォークでハンバーグを一口サイズに切る。
「大丈夫だと思う。本当は心配してたこともあったけど、シフユさんにとって得られるものが多かったはずだから」
「ふーん。私、申し訳ないことをしたと思っているわ。だから一つ確認したいの」
「確認? いいけど」
ヒウタは身構える。
「ヒウタは馬鹿らしくならないの? 恋をすることが。それとも既に馬鹿らしいと思ってる」
ヒウタはメリアと目が合う。
違和感。
「僕は好きという気持ちについて自分なりの答えを出したいと思っています。自分らしい恋の形を見つけたいって思っています」
「そっか。私はヒウタに謝りたいことばかりだわ。だけど確信した。私が心配することはないみたい。ちゃんと恋愛できてるみたいだから。ヒウタが好きな人、ヒウタを好きな人、ヒウタらしく向き合えばいいのかもね」
「そうします」
「シュイロさんが私のことをヒウタに任せることで私を許した意味がやっと分かったわ。私、シュイロさんには敵わないな」
「ヒウタめ、難しそうな話しやがって。さっさと肉食うぞ、肉」
「分かってるから。ハク、メリアさん今日はありがとうございました」
ヒウタは頭を下げる。
ヒウタの中で決断が固まっていく気がした。
「ところでヒウタ。次で大学祭回るの最後だよな?」
「ああ」
「大丈夫なのか? シフユさん」
「今の時点で大丈夫だと思いたい。けど、もう一押ししておくつもりだよ。絶対シフユさんに怒られてしまうし嫌われてしまうだろうけど、やっておかないとって思ったから」
「いつの間に天才キャラムードを出しているんだ! 俺と同じポンコツ人間側だっただろうが。俺は許さないからな!」
「勝手な枠を作らないでくれ。ポンコツではないからな、ハクと違って。一緒にいるとヒヤヒヤするんだよ」
「がーん。ヒウタ、友達やめないでくれ。俺が女の子になったらヒウタの彼女になるから!」
ハクはヒウタに泣きつく。
ヒウタは必死に引き剥がす。
メリアはハンバーグを味わいながら微笑んでいた。
「次で最後か。なんだかんだ、僕自身の思い出も増えていくよな。実際楽しかったし」
「そうだな。来年も行きたいよな。な、ヒウタ。来年も友達だよなああ」
「くっつくな、くっつくな」
「あら、ハク君。私にくっつく? 私の方が温かくて甘い香りでかわいくてふわふわだよ? どうかな」
メリアはハクの隣に移動する。
ヒウタに抱きつくハク、そのハクに抱きつくメリア。
ハクの身体が熱くなる。
緊張も物理的な熱さもあるだろう、それだけの密着度というか密度なのだ。
「お客様、当店でそのような行為はおやめください」
そして、店員に怒られた。
「来年か。どうなるんだろうな」
「変わるものは変わるし、変わらないものは変わらない。行動ひとつでいくらでも変わるものがある一方で、私たちがいくら頑張ってもそうしようもないものもある。でしょ?」
こうして、メリア、ハクとの大学祭は終わった。
これがまさかあの結果を生むなんて。
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