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8章 魅了少女が不安すぎる!『後期』109~122話
その18 ヒウタと自身の大学祭
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第二回大学祭、ついにヒウタの大学で行う大学祭である。
そのため、当初の予定通りシフユ、ヒウタ、コウミ、カワクロで回ることになった。
集合場所は大学、つまり現地集合である。
ヒウタはジーンズにシャツ、ふんわりしているジャケットを合わせている。シフユはジャケットの丈が短い物を使っている面を除けば、基本アイテムがヒウタと同じでやや機嫌が悪かった。
対して、カワクロとコウミはロングスカートにニットを合わせて防寒のためにパーカーを着ている。
「シフユ、私の大学に案内するなの」
「シフユさん、スタンプラリーもするから!」
カワクロが小冊子をシフユに渡す。
シフユはコウミの言葉を聞いて冊子を開くと頷いていた。
いや会話に混ぜろよ? と思ったが女性三人、男性一人、アウェイ感も仕方ないのではないか。
「いいね。って今日有名人が来るのかな。行ってみていい?」
「もちろんなの」
シフユとカワクロが話している。
その隙にコウミがヒウタに近づく。
「今日は途中で抜けるんだよね。昼から私の友人呼んだから気にしないで」
「ありがたいな。アメユキは有名人見たいって言ってて、シュイロさんは大学見たいって言ってたから。賭けに問題が出ないならいいかなって」
「アメユキちゃんはまだしもシュイロさんは。……、私かねえねえのこと避けてる?」
ヒウタは頭を掻く。
「そういうのじゃないけどさ」
「ふーん。もしかしてヒウタって」
コウミはヒウタの目をじっと見る。
ヒウタの額に冷たい汗が浮く。
心臓がだんだん暴れそうになる。
コウミが何かを言いかけたとき、カワクロがコウミの手を引いた。
「まずはどこ行くなの?」
カワクロが問う。
コウミは冊子を開いた。
「この、大学についての検証企画っての見たい!」
「いいね」
シフユも頷く。
ヒウタはホッと息を吐いた。
講義用の建物へ。そこで屋内展示を行っているらしい。
「ここなの」
カワクロが教室に入ると、シフユとコウミも続く。
ヒウタは後ろから付いていくだけだ。
展示を運営しているサークルに別のグループの人だと思われないか心配だったが、なんとかシフユたちの近くに座ることができた。完全に蚊帳の外だ。
シフユが満足すればいいか、ヒウタは納得する。
そもそもシフユとの賭けに勝つためにヒウタは大学祭に来ているのだ。
そのときシフユはヒウタと一瞬見る。
「だからモブなんだよ」
ヒウタにぎりぎり聞こえる声で言った。
聞こえないふりをしてスマホを開く。
アメユキ、シュイロが何時頃に来るかだけでも聞いておくことにした。
だからモブ、か。
何について言われているかは正直分からない、ただその言葉に納得してしまうところがある。一体何をしているのか、情けなく感じてしまう。
「では始めます! 社会研究会です、今回は大学に関する検証動画を撮ったので動画を流そうと思っています!」
女性部員がマイクを持って言う。
よく見るとスクリーンの近くに背の高い大男、キクラがいた。
キクラは部長であるためいてもおかしくはないが。って隣に見覚えがある人がいると思ったらハクである。
ヒウタはカワクロを見てみる。
キラキラした目でスクリーンを見ていた。
「気づいてないのか。まあ問題を起こしてるわけではないからいいか」
ヒウタは他の人には聞こえない声で言う。
「では流します!」
女性部員はマイクを離してスクリーン近くの椅子に座った。
まずは最も量が多いラーメン屋について。ラーメンのみ、大盛りや替え玉、トッピングやサイドメニューの比較である。値段やカロリー、大学からの距離の比較もあって見応えがある内容だった。
コウミとカワクロは頷いていた。
グルメな二人にとっても文句なしの内容だったのだろう。
続いて図書館やパソコン処理室、面接用の個人部屋の混雑状況を一か月調査したものであった。これも通っている大学生からすれば大変有益な情報で面白いものであった。
また、各教室や食堂、購買の最短ルートについての検証も行っていた。
動画が終わる。
「じゃあ行こうか」
シフユが言ったところで後ろを振り返ったハクがヒウタに気づく。
ハクはニコニコしてヒウタに近づく。
「何してるんだ?」
「社会研究会見に来たんだよ。ハクって社会研究会入ったのか?」
「正式メンバーだよ。展示には間に合わなかったけどな。キクラさんの一番弟子として」
ヒウタはふと周りを見渡す。
……カワクロがいない。
ってカワクロさんはキクラのところにいた。
いけない言葉がいくつか聞こえてくるがヒウタは気にしないことにした。カワクロも必死なのだ。というか年頃の男性なら気になってしまうものでも大学である以上持ってくるのは良くない。
「で俺も行っていい?」
「まあ、あとでアメユキとシュイロさん、俺で回るからそのときなら」
「ついにアメユキちゃんを紹介してくれるってこと、……いや、何でもないです」
ハクはヒウタの殺気に後退る。
「どうする?」
「行こうかな」
ということでヒウタは後からハクと合流することになった。
カワクロからキクラへの説教も終わって次の展示へ。
いくつか回って屋台が込み始めた頃。
「スタンプラリー集めようか。後で抽選会あるみたいかな」
シフユの意見にカワクロもコウミも賛成らしい。
そうなるとヒウタは断ることができない。
そのため、当初の予定通りシフユ、ヒウタ、コウミ、カワクロで回ることになった。
集合場所は大学、つまり現地集合である。
ヒウタはジーンズにシャツ、ふんわりしているジャケットを合わせている。シフユはジャケットの丈が短い物を使っている面を除けば、基本アイテムがヒウタと同じでやや機嫌が悪かった。
対して、カワクロとコウミはロングスカートにニットを合わせて防寒のためにパーカーを着ている。
「シフユ、私の大学に案内するなの」
「シフユさん、スタンプラリーもするから!」
カワクロが小冊子をシフユに渡す。
シフユはコウミの言葉を聞いて冊子を開くと頷いていた。
いや会話に混ぜろよ? と思ったが女性三人、男性一人、アウェイ感も仕方ないのではないか。
「いいね。って今日有名人が来るのかな。行ってみていい?」
「もちろんなの」
シフユとカワクロが話している。
その隙にコウミがヒウタに近づく。
「今日は途中で抜けるんだよね。昼から私の友人呼んだから気にしないで」
「ありがたいな。アメユキは有名人見たいって言ってて、シュイロさんは大学見たいって言ってたから。賭けに問題が出ないならいいかなって」
「アメユキちゃんはまだしもシュイロさんは。……、私かねえねえのこと避けてる?」
ヒウタは頭を掻く。
「そういうのじゃないけどさ」
「ふーん。もしかしてヒウタって」
コウミはヒウタの目をじっと見る。
ヒウタの額に冷たい汗が浮く。
心臓がだんだん暴れそうになる。
コウミが何かを言いかけたとき、カワクロがコウミの手を引いた。
「まずはどこ行くなの?」
カワクロが問う。
コウミは冊子を開いた。
「この、大学についての検証企画っての見たい!」
「いいね」
シフユも頷く。
ヒウタはホッと息を吐いた。
講義用の建物へ。そこで屋内展示を行っているらしい。
「ここなの」
カワクロが教室に入ると、シフユとコウミも続く。
ヒウタは後ろから付いていくだけだ。
展示を運営しているサークルに別のグループの人だと思われないか心配だったが、なんとかシフユたちの近くに座ることができた。完全に蚊帳の外だ。
シフユが満足すればいいか、ヒウタは納得する。
そもそもシフユとの賭けに勝つためにヒウタは大学祭に来ているのだ。
そのときシフユはヒウタと一瞬見る。
「だからモブなんだよ」
ヒウタにぎりぎり聞こえる声で言った。
聞こえないふりをしてスマホを開く。
アメユキ、シュイロが何時頃に来るかだけでも聞いておくことにした。
だからモブ、か。
何について言われているかは正直分からない、ただその言葉に納得してしまうところがある。一体何をしているのか、情けなく感じてしまう。
「では始めます! 社会研究会です、今回は大学に関する検証動画を撮ったので動画を流そうと思っています!」
女性部員がマイクを持って言う。
よく見るとスクリーンの近くに背の高い大男、キクラがいた。
キクラは部長であるためいてもおかしくはないが。って隣に見覚えがある人がいると思ったらハクである。
ヒウタはカワクロを見てみる。
キラキラした目でスクリーンを見ていた。
「気づいてないのか。まあ問題を起こしてるわけではないからいいか」
ヒウタは他の人には聞こえない声で言う。
「では流します!」
女性部員はマイクを離してスクリーン近くの椅子に座った。
まずは最も量が多いラーメン屋について。ラーメンのみ、大盛りや替え玉、トッピングやサイドメニューの比較である。値段やカロリー、大学からの距離の比較もあって見応えがある内容だった。
コウミとカワクロは頷いていた。
グルメな二人にとっても文句なしの内容だったのだろう。
続いて図書館やパソコン処理室、面接用の個人部屋の混雑状況を一か月調査したものであった。これも通っている大学生からすれば大変有益な情報で面白いものであった。
また、各教室や食堂、購買の最短ルートについての検証も行っていた。
動画が終わる。
「じゃあ行こうか」
シフユが言ったところで後ろを振り返ったハクがヒウタに気づく。
ハクはニコニコしてヒウタに近づく。
「何してるんだ?」
「社会研究会見に来たんだよ。ハクって社会研究会入ったのか?」
「正式メンバーだよ。展示には間に合わなかったけどな。キクラさんの一番弟子として」
ヒウタはふと周りを見渡す。
……カワクロがいない。
ってカワクロさんはキクラのところにいた。
いけない言葉がいくつか聞こえてくるがヒウタは気にしないことにした。カワクロも必死なのだ。というか年頃の男性なら気になってしまうものでも大学である以上持ってくるのは良くない。
「で俺も行っていい?」
「まあ、あとでアメユキとシュイロさん、俺で回るからそのときなら」
「ついにアメユキちゃんを紹介してくれるってこと、……いや、何でもないです」
ハクはヒウタの殺気に後退る。
「どうする?」
「行こうかな」
ということでヒウタは後からハクと合流することになった。
カワクロからキクラへの説教も終わって次の展示へ。
いくつか回って屋台が込み始めた頃。
「スタンプラリー集めようか。後で抽選会あるみたいかな」
シフユの意見にカワクロもコウミも賛成らしい。
そうなるとヒウタは断ることができない。
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