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7章 のんびり少女が悠長すぎる!67~89話
覚醒2 金色のライター
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美術館の出入口を出るとドローンが銃弾を撃ち始める。
ヒウタ、トアオ、運ちゃんは建物を支える柱に隠れた。
「ヒウタさん見てて。『ふぉーている』無効化して」
トアオが言うと、頭くらいの大きさでクリオネの形をしたメカは空を泳いでいく。
するとドローンが次々と地面に落ちて壊れていく。
「これで無力化ってことね。初めからドローンなんて使わなくてもいいのに」
運ちゃんがビーム光線を撃つ。
『ふぉーている』から遠いドローンを撃ち落とした。
「私の兵器で畳みかける。よし、プロペラ付きのマジックハンドにビーム光線銃を持たせて、あとは迎撃!」
トアオは楽しそうに笑う。
手の形をしたメカは銃を握ってプロペラを旋回させて飛ぶ。
狙いはトアオを狙う組織の人間である。
「あとは自動でも勝てる」
辺りを見渡すと縄に掛けられたり足を撃たれたりして動けない人たちがいた。
トアオは無力化した男に近づく。
「こいつらは別の業者に任せる。『ふぉーている』、こいつの顔、服をスキャンして」
クリオネ型のメカが男まで近づくと淡い白色の光を発した。
空間に画面が現れる。
そこには『検索中』と表示された。地図が現れる。赤い風船のようなものが示す地点に浮いている。
「見つけた、アジト。最後のオーパーツを探しながら叩く」
「順調順調。じゃ、サスケさんは支配人に任せてあたしたちは次の目的地に行こう!」
運ちゃんは天に握り拳を掲げる。
「もちろん。また報酬の話をされると困る」
トアオは美術館に戻らずに車へ向かう。ヒウタも追って車に乗った。運ちゃんは急いでエンジンを点ける。
「逃げるように行くんですね」
ヒウタが苦い表情をすると、二人は黙り込む。
それから数十分走った。
「実際私たちは逃げた。また報酬の話をされる。人殺しの兵器なんて作るわけにはいかない。しかも人工知能入りとなると作るのも面倒」
「それもそうですか」
「今日はどこに行くの、トアオちゃん!」
「ホテルに行く。その手前に回転寿司がある」
「いいですね、それ!」
「ヒウタさん急に大声出さないで、怖い」
「こ、怖い、か」
ヒウタは落ち込んだ。
それでも車は進んでいく。
ヒウタはつい眠ってしまっていた。
目を開けるとオレンジ色の空。
隣の少女はぐっすり眠っていた。
呼吸の度に体が揺れる。
ヒウタはトアオの額を優しく撫でた。
「胸にしたら? なんならチューしてもいいけど」
「しませんよ」
「ケチ」
「ケチってなんですか」
運ちゃんがチェンジレバーをニュートラルに移動させる。
バッグミラーでヒウタの様子を見た。
「触りなよ。死ぬかもだよ?」
「だからって触るわけにはいきませんよ」
「言い方もだし鼻伸ばしちゃってるし触りたいって言ってる」
「言ってないです。どうしてそんなにも触らせようって思ってるんですか」
「二人が上手く行けばみんな幸せでしょ? あたしまだまだモテるし今のうちにたくさん恋したいなって、あははは」
チェンジレバーをドライブに戻す。
アクセルを踏んだ。
「仲良しですよね、トアオさんと」
「間違いないな。喧嘩しちゃったけど大好きだよ。けど難しいな、今のままじゃあたしにとってもトアオちゃんにとっても良くないって思ってる。現状維持じゃ上手く行かないから、こうして焦ってひどいこと言ってしまう。もう少し簡単な生き方を選びたいね!」
ヒウタは空を眺める。
暗い部分は昼間の青空が詰まっているような紺色だった。さらに上を見ると淡い赤色。
視線を下ろすと飲食店が斑にある。
「あたし離れて暮らすよ、生きて帰って。トアオちゃんとは別々で。ヒウタくんの言うように、あたしたちは一緒にいたから。いろいろと感覚が狂ってしまったんだって思うよ」
「そうなんですね」
「そろそろトアオちゃん起こした方がいいね。寿司食べるからって、結構並んでる! もう少し二人だけの話をしよう」
回転寿司の駐車場に車を停めて。ヒウタは電子の順番待ち名簿を入力した。
時間になると電話で呼ばれるらしい。
ヒウタは車に戻った。
「トアオちゃんまだ寝てるよ。時間になっても起きなかったら王子様のキスが必要だろうね、どう?」
「どうって言われても。はい、キスしますとは言えないでしょう」
「情けないな。でもあたしたちが喧嘩したときに説得しようとしてくれたのは良かったかな」
「そりゃどうも」
「トアオちゃんはね、ヒウタくんのことありだと思ってるだろうね。ヒウタくんは何が足りないの? 許されてるから会ってる感じがしてしまうから」
「僕は、会いたくて会ってるつもりですけど?」
「誰でもいいわけじゃないのは分かるけどね。誰がいいのかどこがいいのか分からない。恋活してるのは分かるけどね、恋、してるかな」
ヒウタが頭の中の靄を何度も外に出そうと口を開ける。
しかしそれは声にならなくぃ。
結局ヒウタには求めているものが分からない。
「誰がタイプなの? それとも、そんな資格はない? でもそれは失礼だからね。どこ見ていいか分からなくて、命懸けの旅に断る理由がないから来た。それを利用したあたしたちも悪いけどね。断る理由がないから来たっていう愚か者でも死ぬときは死ぬし成すときは成すだろうね」
ヒウタが言い返そうと言葉を探しているときだった。
ヒウタのスマホが鳴る。
「寿司屋です、席が空いたそうです。はい、行きます」
スマホをポケットに。
「よしヒウタくん、トアオちゃんを起こして。ほら、チュー!」
「はい!」
ヒウタはトアオに近づく。
どうやって起こそう?
って、チュー?
ヒウタの顔が赤くなる。
「うるさい!」
トアオが起き上がる。
瞼を開けると鼻から血を出すヒウタがいた。
「鼻血? 変態だ」
「起こそうとしたら鼻をぶつけて血が出てるだけですよ!」
ヒウタは弁解する。
しかし。
「その体勢でえっちじゃない起こし方あるの?」
シーツの背もたれで眠っていた、トアオ。一見トアオを押さえつけてるような、ヒウタ。キスかどこかを触ろうとしていた変態にしか見えない。しかも運ちゃんが言うように始めは疑いもせずにキスの体勢を目指していたのもある。
「あ」
ヒウタは言い訳できない事実を悟った。そして目を瞑る。
「変態だ、ヒウタさん!」
トアオにビンタされた。
ヒウタ、トアオ、運ちゃんは建物を支える柱に隠れた。
「ヒウタさん見てて。『ふぉーている』無効化して」
トアオが言うと、頭くらいの大きさでクリオネの形をしたメカは空を泳いでいく。
するとドローンが次々と地面に落ちて壊れていく。
「これで無力化ってことね。初めからドローンなんて使わなくてもいいのに」
運ちゃんがビーム光線を撃つ。
『ふぉーている』から遠いドローンを撃ち落とした。
「私の兵器で畳みかける。よし、プロペラ付きのマジックハンドにビーム光線銃を持たせて、あとは迎撃!」
トアオは楽しそうに笑う。
手の形をしたメカは銃を握ってプロペラを旋回させて飛ぶ。
狙いはトアオを狙う組織の人間である。
「あとは自動でも勝てる」
辺りを見渡すと縄に掛けられたり足を撃たれたりして動けない人たちがいた。
トアオは無力化した男に近づく。
「こいつらは別の業者に任せる。『ふぉーている』、こいつの顔、服をスキャンして」
クリオネ型のメカが男まで近づくと淡い白色の光を発した。
空間に画面が現れる。
そこには『検索中』と表示された。地図が現れる。赤い風船のようなものが示す地点に浮いている。
「見つけた、アジト。最後のオーパーツを探しながら叩く」
「順調順調。じゃ、サスケさんは支配人に任せてあたしたちは次の目的地に行こう!」
運ちゃんは天に握り拳を掲げる。
「もちろん。また報酬の話をされると困る」
トアオは美術館に戻らずに車へ向かう。ヒウタも追って車に乗った。運ちゃんは急いでエンジンを点ける。
「逃げるように行くんですね」
ヒウタが苦い表情をすると、二人は黙り込む。
それから数十分走った。
「実際私たちは逃げた。また報酬の話をされる。人殺しの兵器なんて作るわけにはいかない。しかも人工知能入りとなると作るのも面倒」
「それもそうですか」
「今日はどこに行くの、トアオちゃん!」
「ホテルに行く。その手前に回転寿司がある」
「いいですね、それ!」
「ヒウタさん急に大声出さないで、怖い」
「こ、怖い、か」
ヒウタは落ち込んだ。
それでも車は進んでいく。
ヒウタはつい眠ってしまっていた。
目を開けるとオレンジ色の空。
隣の少女はぐっすり眠っていた。
呼吸の度に体が揺れる。
ヒウタはトアオの額を優しく撫でた。
「胸にしたら? なんならチューしてもいいけど」
「しませんよ」
「ケチ」
「ケチってなんですか」
運ちゃんがチェンジレバーをニュートラルに移動させる。
バッグミラーでヒウタの様子を見た。
「触りなよ。死ぬかもだよ?」
「だからって触るわけにはいきませんよ」
「言い方もだし鼻伸ばしちゃってるし触りたいって言ってる」
「言ってないです。どうしてそんなにも触らせようって思ってるんですか」
「二人が上手く行けばみんな幸せでしょ? あたしまだまだモテるし今のうちにたくさん恋したいなって、あははは」
チェンジレバーをドライブに戻す。
アクセルを踏んだ。
「仲良しですよね、トアオさんと」
「間違いないな。喧嘩しちゃったけど大好きだよ。けど難しいな、今のままじゃあたしにとってもトアオちゃんにとっても良くないって思ってる。現状維持じゃ上手く行かないから、こうして焦ってひどいこと言ってしまう。もう少し簡単な生き方を選びたいね!」
ヒウタは空を眺める。
暗い部分は昼間の青空が詰まっているような紺色だった。さらに上を見ると淡い赤色。
視線を下ろすと飲食店が斑にある。
「あたし離れて暮らすよ、生きて帰って。トアオちゃんとは別々で。ヒウタくんの言うように、あたしたちは一緒にいたから。いろいろと感覚が狂ってしまったんだって思うよ」
「そうなんですね」
「そろそろトアオちゃん起こした方がいいね。寿司食べるからって、結構並んでる! もう少し二人だけの話をしよう」
回転寿司の駐車場に車を停めて。ヒウタは電子の順番待ち名簿を入力した。
時間になると電話で呼ばれるらしい。
ヒウタは車に戻った。
「トアオちゃんまだ寝てるよ。時間になっても起きなかったら王子様のキスが必要だろうね、どう?」
「どうって言われても。はい、キスしますとは言えないでしょう」
「情けないな。でもあたしたちが喧嘩したときに説得しようとしてくれたのは良かったかな」
「そりゃどうも」
「トアオちゃんはね、ヒウタくんのことありだと思ってるだろうね。ヒウタくんは何が足りないの? 許されてるから会ってる感じがしてしまうから」
「僕は、会いたくて会ってるつもりですけど?」
「誰でもいいわけじゃないのは分かるけどね。誰がいいのかどこがいいのか分からない。恋活してるのは分かるけどね、恋、してるかな」
ヒウタが頭の中の靄を何度も外に出そうと口を開ける。
しかしそれは声にならなくぃ。
結局ヒウタには求めているものが分からない。
「誰がタイプなの? それとも、そんな資格はない? でもそれは失礼だからね。どこ見ていいか分からなくて、命懸けの旅に断る理由がないから来た。それを利用したあたしたちも悪いけどね。断る理由がないから来たっていう愚か者でも死ぬときは死ぬし成すときは成すだろうね」
ヒウタが言い返そうと言葉を探しているときだった。
ヒウタのスマホが鳴る。
「寿司屋です、席が空いたそうです。はい、行きます」
スマホをポケットに。
「よしヒウタくん、トアオちゃんを起こして。ほら、チュー!」
「はい!」
ヒウタはトアオに近づく。
どうやって起こそう?
って、チュー?
ヒウタの顔が赤くなる。
「うるさい!」
トアオが起き上がる。
瞼を開けると鼻から血を出すヒウタがいた。
「鼻血? 変態だ」
「起こそうとしたら鼻をぶつけて血が出てるだけですよ!」
ヒウタは弁解する。
しかし。
「その体勢でえっちじゃない起こし方あるの?」
シーツの背もたれで眠っていた、トアオ。一見トアオを押さえつけてるような、ヒウタ。キスかどこかを触ろうとしていた変態にしか見えない。しかも運ちゃんが言うように始めは疑いもせずにキスの体勢を目指していたのもある。
「あ」
ヒウタは言い訳できない事実を悟った。そして目を瞑る。
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