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7章 のんびり少女が悠長すぎる!67~89話
その8 ヒウタとババ抜き
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車を修理して進む。
森を抜けると田畑が広がっていた。
なんとか見つけたコンビニでおにぎりを買って食べた。
コンビニの駐車場にて。
「こりゃあホテルも宿屋も見つからないな。ラブなホテルならあるけどね、ヒウタくん」
運ちゃんは電子で表示されるメーターをメモしながら言う。
ボールペンを耳に掛けてスマホを取り出す。
画面には電卓が表示されていた。
「え? いやどうして僕に聞くんですか?」
ヒウタは顔を赤くする。
トアオはスススッとヒウタから距離を取った。とはいえ、車内で一人座る程度離れるのが限界ではある。
「あははははっ、面白いことには違いないから。オーパーツ手に入れたのもヒウタくんのおかげだし一杯どうよ?」
計算は終わったのか、運ちゃんはスマホで地図を表示させる。
画面を後部席のヒウタに近づける。
「なんですか」
「男ならパクッと。トアオちゃんと私、それなりに豪華だと思う」
「だから何を言ってるんですか!」
「オーパーツ、残り二つとも手に入れないと死ぬ。もしかしたら明日かも。ほら本能で高ぶらない?」
運ちゃんはチェンジレバーの後方にあるボックスに乗り上げる。
ヒウタはスマホを必死に押し返していた。
運ちゃんは諦めて運転席に戻る。
運ちゃんがヒウタに顔を見せると、手にはトランプが握られていた。
「仕方ない、車中泊だ」
「運ちゃん、ホテルは? 私、疲れたから」
「エエッ、なホテルしかなかったから車中泊ですな」
「分かった。ババ抜きだ」
「どうしてですか?」
ヒウタには二人のノリが分からない。
「後ろの席の方が寝やすいからね。助手席か後ろの席で寝ることになる。さあ勝負だ!」
運ちゃんはやる気らしい。
スムーズな手捌きでカードを混ぜて配っていく。
そして、三人が手札を見た。
「はい、あがり!」
運ちゃんが笑った。
は?
ヒウタは戸惑う。
疑って場に置かれたカードを見てみるが間違いない。
「流石の運の良さ、頼りにしてる、から」
「いやいや待って。ありかそれ?」
「ヒウタさん文句?」
「そういうわけではないけども」
「ぷぷぷ、ヒウタさん面白い」
運ちゃんは再びカードを集めてシャッフルする。
配り終えてカードを捨てていく。
「あちゃあ、残った」
それが普通だ、ヒウタは言うのを我慢した。
運ちゃんからヒウタが、ヒウタからトアオが、トアオから運ちゃんがカードを引くことになった。
「全然減らない」
ヒウタは肩を落とす。
仕方がない。
まず運ちゃんの運が良すぎる。ヒウタがカードを引いても一向に減らない。そしてトアオは天才である。ヒウタがジョーカーをあらゆる手で隠してもバレるし鼻で笑われる。そして運ちゃんが運任せにカードを引けばすぐ捨て場に。
ヒウタは絶望した。
「一抜け!」
運ちゃんは運転席へ。
一騎打ちらしい、無理だろ。
「ふふふ、観念して、ヒウタさん」
あらやだ、この子じっと見てくる。
ヒウタはトアオの瞳が真っすぐヒウタに向かっていることを意識してしまう。ジョーカーのカードを支える指が緊張と疲れで震えだした。
もう駄目だ、トアオはジョーカーから遠いカードを引く。
ヒウタがカードを引くともちろん捨て場に。
いくらジョーカーを引く確率が上がってもトアオは分かっているだろう。
勝負を決するは残り三枚のカード。
ヒウタは目を瞑る。
何度も二枚のカードを入れ替える。
意識するほどトアオにバレてしまう。だったら目を閉じてヒウタ自身も分からないようにすればいい。
それでも確率は半分。
「それは悪手、かな」
トアオがカードを引く。ヒウタは目を開けた。目の前に置かれる二枚のカード。それが表すのは言うまでもない。
「悪手、残念」
トアオは頬を上げて微笑む。
円らな瞳がヒウタを捉える。
すべて見透かされていたようだ。
「……、最後の反則でしょ? ね、トアオちゃん」
運転席にいた運ちゃんが身を乗り出していた。
「な、なんのこと、ははは」
トアオ、棒読み。
どうやらずるされたらしい。
天才開発者のことだ、反則の方法はいくらでもあるだろう。
「トアオちゃん見てたよ」
「ぎくっ」
トアオは肩を揺らした。
「それはセーフだよ、目を瞑ったのはヒウタさんだし?」
古典的な方法だった。
つまりジョーカーの位置を悟られないようにヒウタが目を瞑った。それを良いことに手札を覗いてカードを引いたらしい。
「そうはいかないな。じゃ、助手席でよろしくね!」
運ちゃんは親指をトアオに見せてウインクした。
「わ、私が疲れたままだと、追手どうするの?」
「あたし武器使えるし」
「『ふぉーている』の組み立ては?」
「明日、明後日じゃ次の目的地に着かないと聞いてるけど、トアオちゃん運転手のあたしに嘘ついちゃった?」
「うう、……。運ちゃんには敵わない」
「次はちゃんと宿屋にしよう、ヒウタくん、トアオちゃん」
トアオは頷く。
いくら広い車内でも布団でしっかり眠ることには勝らないだろう。
トアオと入れ替わりで運ちゃんがヒウタの隣に。
「トアオちゃんのマッチング相手ゲット!」
運ちゃんが大きな声で。
「変なこと言わない。私寝るから」
トアオは腕を組んで目を瞑る。
「ありがと気を遣ってくれて。ではヒウタさんとイチャイチャタイム入りますか、ぐへへへへ」
運ちゃんは不敵な笑みを浮かべながらヒウタに近づく。
ヒウタは青ざめた。
狩人の目だ。
運ちゃんの顔が近づく。
ヒウタは必死に席の端に寄っていく。
「ということで、私の連絡先あげる! 声を出すとトアオちゃん寝ちゃうしメッセージ使ってお話ししよう。あたし話したいことたくさんだから」
「あ、はい」
ヒウタは戸惑って反応が遅れた。
スマホを取り出してアプリを開く。
連絡先を交換した。
『シュイロさんが言ってたアルバイトってヒウタくんだったんだね』
ヒウタはスマホを操作する。
『はい』
『頼りなさそうで、頼もしい』
『なんですか、それ』
『ところでスリーサイズは、男のスリーサイズ!』
『?』
『年収、学歴、身長? まあいいや』
『聞きたいことって?』
『マッチング相手だからさ、ぶっちゃけトアオちゃんどう? できればあたしのことも聞きたい、みたいな』
ヒウタの隣にいる女性は顔をヒウタの方向に向けている。
ヒウタが見ると、運ちゃんは笑う。
『素敵だと思います。僕にはもったいない』
『ヒウタくんは誰よりも恋愛する気がないと思っちゃう』
ヒウタの体が凍り付いた気がした。
空気を吸う、少しだけ落ち着いた。
『恋活してます』
『真面目なのは分かるけど、ヒウタくん自身が自分を認めないと、いつまで経っても相手のことが見えないよ。なんだろう、いつだって君は一番遠くにいて、そこからあたしたちを見守っている。このままじゃ時間の無駄、恋なんてできない』
『それってどういうことですか?』
『いずれ分かる、あたしはヒウタくんの恋を応援してる。ちゃんと目の前にいるのは人だよ、あたしもトアオちゃんも』
『人っていうのは分かりますけど』
それからメッセージは返ってこない。
運ちゃんを見ると静かに寝息を立てていた。
ヒウタだけの世界、眠いけども寝てる場合ではない。
運ちゃんは何を伝えたいのか。
「いつだって君は一番遠くにいて、ってなんだよ。俺は本気で恋愛をして、……」
言葉が心にこびりつく。
胸が詰まる。
「していないか。これは恋じゃないか」
ヒウタは忘れられない。
自分を認める、ちゃんと目の前にいるのは人だよ、運ちゃんの言葉が残り続ける。
まだ会ったばかりの人の言葉、それに本気で否定したくなる。
その時点できっと。
眠れない夜から目を背けたくて、ヒウタは目を閉じた。
森を抜けると田畑が広がっていた。
なんとか見つけたコンビニでおにぎりを買って食べた。
コンビニの駐車場にて。
「こりゃあホテルも宿屋も見つからないな。ラブなホテルならあるけどね、ヒウタくん」
運ちゃんは電子で表示されるメーターをメモしながら言う。
ボールペンを耳に掛けてスマホを取り出す。
画面には電卓が表示されていた。
「え? いやどうして僕に聞くんですか?」
ヒウタは顔を赤くする。
トアオはスススッとヒウタから距離を取った。とはいえ、車内で一人座る程度離れるのが限界ではある。
「あははははっ、面白いことには違いないから。オーパーツ手に入れたのもヒウタくんのおかげだし一杯どうよ?」
計算は終わったのか、運ちゃんはスマホで地図を表示させる。
画面を後部席のヒウタに近づける。
「なんですか」
「男ならパクッと。トアオちゃんと私、それなりに豪華だと思う」
「だから何を言ってるんですか!」
「オーパーツ、残り二つとも手に入れないと死ぬ。もしかしたら明日かも。ほら本能で高ぶらない?」
運ちゃんはチェンジレバーの後方にあるボックスに乗り上げる。
ヒウタはスマホを必死に押し返していた。
運ちゃんは諦めて運転席に戻る。
運ちゃんがヒウタに顔を見せると、手にはトランプが握られていた。
「仕方ない、車中泊だ」
「運ちゃん、ホテルは? 私、疲れたから」
「エエッ、なホテルしかなかったから車中泊ですな」
「分かった。ババ抜きだ」
「どうしてですか?」
ヒウタには二人のノリが分からない。
「後ろの席の方が寝やすいからね。助手席か後ろの席で寝ることになる。さあ勝負だ!」
運ちゃんはやる気らしい。
スムーズな手捌きでカードを混ぜて配っていく。
そして、三人が手札を見た。
「はい、あがり!」
運ちゃんが笑った。
は?
ヒウタは戸惑う。
疑って場に置かれたカードを見てみるが間違いない。
「流石の運の良さ、頼りにしてる、から」
「いやいや待って。ありかそれ?」
「ヒウタさん文句?」
「そういうわけではないけども」
「ぷぷぷ、ヒウタさん面白い」
運ちゃんは再びカードを集めてシャッフルする。
配り終えてカードを捨てていく。
「あちゃあ、残った」
それが普通だ、ヒウタは言うのを我慢した。
運ちゃんからヒウタが、ヒウタからトアオが、トアオから運ちゃんがカードを引くことになった。
「全然減らない」
ヒウタは肩を落とす。
仕方がない。
まず運ちゃんの運が良すぎる。ヒウタがカードを引いても一向に減らない。そしてトアオは天才である。ヒウタがジョーカーをあらゆる手で隠してもバレるし鼻で笑われる。そして運ちゃんが運任せにカードを引けばすぐ捨て場に。
ヒウタは絶望した。
「一抜け!」
運ちゃんは運転席へ。
一騎打ちらしい、無理だろ。
「ふふふ、観念して、ヒウタさん」
あらやだ、この子じっと見てくる。
ヒウタはトアオの瞳が真っすぐヒウタに向かっていることを意識してしまう。ジョーカーのカードを支える指が緊張と疲れで震えだした。
もう駄目だ、トアオはジョーカーから遠いカードを引く。
ヒウタがカードを引くともちろん捨て場に。
いくらジョーカーを引く確率が上がってもトアオは分かっているだろう。
勝負を決するは残り三枚のカード。
ヒウタは目を瞑る。
何度も二枚のカードを入れ替える。
意識するほどトアオにバレてしまう。だったら目を閉じてヒウタ自身も分からないようにすればいい。
それでも確率は半分。
「それは悪手、かな」
トアオがカードを引く。ヒウタは目を開けた。目の前に置かれる二枚のカード。それが表すのは言うまでもない。
「悪手、残念」
トアオは頬を上げて微笑む。
円らな瞳がヒウタを捉える。
すべて見透かされていたようだ。
「……、最後の反則でしょ? ね、トアオちゃん」
運転席にいた運ちゃんが身を乗り出していた。
「な、なんのこと、ははは」
トアオ、棒読み。
どうやらずるされたらしい。
天才開発者のことだ、反則の方法はいくらでもあるだろう。
「トアオちゃん見てたよ」
「ぎくっ」
トアオは肩を揺らした。
「それはセーフだよ、目を瞑ったのはヒウタさんだし?」
古典的な方法だった。
つまりジョーカーの位置を悟られないようにヒウタが目を瞑った。それを良いことに手札を覗いてカードを引いたらしい。
「そうはいかないな。じゃ、助手席でよろしくね!」
運ちゃんは親指をトアオに見せてウインクした。
「わ、私が疲れたままだと、追手どうするの?」
「あたし武器使えるし」
「『ふぉーている』の組み立ては?」
「明日、明後日じゃ次の目的地に着かないと聞いてるけど、トアオちゃん運転手のあたしに嘘ついちゃった?」
「うう、……。運ちゃんには敵わない」
「次はちゃんと宿屋にしよう、ヒウタくん、トアオちゃん」
トアオは頷く。
いくら広い車内でも布団でしっかり眠ることには勝らないだろう。
トアオと入れ替わりで運ちゃんがヒウタの隣に。
「トアオちゃんのマッチング相手ゲット!」
運ちゃんが大きな声で。
「変なこと言わない。私寝るから」
トアオは腕を組んで目を瞑る。
「ありがと気を遣ってくれて。ではヒウタさんとイチャイチャタイム入りますか、ぐへへへへ」
運ちゃんは不敵な笑みを浮かべながらヒウタに近づく。
ヒウタは青ざめた。
狩人の目だ。
運ちゃんの顔が近づく。
ヒウタは必死に席の端に寄っていく。
「ということで、私の連絡先あげる! 声を出すとトアオちゃん寝ちゃうしメッセージ使ってお話ししよう。あたし話したいことたくさんだから」
「あ、はい」
ヒウタは戸惑って反応が遅れた。
スマホを取り出してアプリを開く。
連絡先を交換した。
『シュイロさんが言ってたアルバイトってヒウタくんだったんだね』
ヒウタはスマホを操作する。
『はい』
『頼りなさそうで、頼もしい』
『なんですか、それ』
『ところでスリーサイズは、男のスリーサイズ!』
『?』
『年収、学歴、身長? まあいいや』
『聞きたいことって?』
『マッチング相手だからさ、ぶっちゃけトアオちゃんどう? できればあたしのことも聞きたい、みたいな』
ヒウタの隣にいる女性は顔をヒウタの方向に向けている。
ヒウタが見ると、運ちゃんは笑う。
『素敵だと思います。僕にはもったいない』
『ヒウタくんは誰よりも恋愛する気がないと思っちゃう』
ヒウタの体が凍り付いた気がした。
空気を吸う、少しだけ落ち着いた。
『恋活してます』
『真面目なのは分かるけど、ヒウタくん自身が自分を認めないと、いつまで経っても相手のことが見えないよ。なんだろう、いつだって君は一番遠くにいて、そこからあたしたちを見守っている。このままじゃ時間の無駄、恋なんてできない』
『それってどういうことですか?』
『いずれ分かる、あたしはヒウタくんの恋を応援してる。ちゃんと目の前にいるのは人だよ、あたしもトアオちゃんも』
『人っていうのは分かりますけど』
それからメッセージは返ってこない。
運ちゃんを見ると静かに寝息を立てていた。
ヒウタだけの世界、眠いけども寝てる場合ではない。
運ちゃんは何を伝えたいのか。
「いつだって君は一番遠くにいて、ってなんだよ。俺は本気で恋愛をして、……」
言葉が心にこびりつく。
胸が詰まる。
「していないか。これは恋じゃないか」
ヒウタは忘れられない。
自分を認める、ちゃんと目の前にいるのは人だよ、運ちゃんの言葉が残り続ける。
まだ会ったばかりの人の言葉、それに本気で否定したくなる。
その時点できっと。
眠れない夜から目を背けたくて、ヒウタは目を閉じた。
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