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7章 のんびり少女が悠長すぎる!67~89話
その1 ヒウタと九月
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ヒウタはメリアと出会った。
二人の恋は進展してついにヒウタは告白する。
しかしメリアがヒウタを洗脳したために、過度に好意を抱いてしまったことが理由だった。
洗脳が解けてヒウタの恋活が振り出しへ。
九月に入る。
高校生までの夏休みは八月で終わってしまうが、大学生はまだまだ続く。
すなわち九月は夏休み延長戦である。
「よし、恋活するぞ!」
洗脳騒動で心が折れるヒウタではない。
再び恋人探しをするためにマッチングアプリを開く。
プロフィールを眺める。
「自販機を見つけると嬉しくなります?」
その一文が気になってしまう。
他の人を見てもどうしても先ほどの一言が気になって。
結局、ヒウタはいいねを送った。
それから数日後。
マッチングが成立してメッセージを送ることにした。
「もう俺は素人ではない!」
ヒウタはウキウキでメッセージを打つ。
それから数日。
ヒウタは部屋でテレビを見ていた。
気になってスマホを開きマッチングアプリを立ち上げる。
……、何も来ない。
ブロックはされていないようだが。
相手にされていないのだろうか?
「何か駄目だったのか」
気分が落ち込む。
それは良くないだろう。
ヒウタは外に飛び出した。
「自販機か」
自販機が道に並ぶ。
コーラが二百円近い。
スーパーで買った方が安いし急ぎでなければ購入する必要はない。
ヒウタは目的もなく進む。
昼食を食べるためにファーストフードへ。
コーラのミドルサイズとチーズバーがー、フライドチキンとポテトを頼む。
ヒウタは窓付近のカウンター席に座った。
椅子の位置が高い。
テーブルの隅にはコンセントが付いている。
パソコンを広げる人が見えた。
ヒウタはコーラを一口。
「ぷはあ」
息を吸い込むとスパイシーさと甘さが抜けていく。
ポテトを口に放る。
スマホを取り出して画面を点けると、再び画面を黒くして。
「食べるか!」
気合を入れてハンバーガーの包装紙を除く。
大きく口を開けて齧りつく。
パンズの歯応えと肉の旨み、チーズの濃厚さ。
一口、また一口と足していく。
それから一度息を吸って。
さらに齧る。
ポテトを投げるように食べて。
チキンを貪る。
食事を終える。
フロアにある洗面台で手を洗って店から出ようとすると、スマホから通知音が流れた。
どうやらマッチングした女性からメッセージが届いたようだ。
『メッセージありがたいです。初めまして』
その言葉を見ると胸が熱くなる。
沸き立つ熱気が頭まで上って、いつか倒れてしまいそう。
『私の名前はむぎしなとあお』
手汗が出てしまう。
『漢字では麦科都青と書きます』
まだトアオの言葉は続くらしい。
次の言葉を見た瞬間、頭の理解が追いつかない。
焦点を合わせてゆっくり読むことにする。
心臓が暴れる。
『私は、』
視線をゆっくり右へ。
『あなたが』
ヒウタは一度目を閉じる。
もう一度。
『私は、あなたが』
ヒウタは瞬きをする。
深呼吸を一回、……、二回。
『あなたが』
呼吸が止まる。
時間が歩くのを諦めた気がした。
スッと冷汗が首回りから流れる。
暑さのせいだけではないことは分かる。
できる限り暑さのせいにしたかったが。
勇気を振り絞ってその言葉を読む。
『私は、あなたが』
ヒウタは胸の辺りに手を置く。
服に皺ができるまで手繰り寄せるように握る。
もう一度勇気を出して。
全体を見る。
『私は、あなたが怖いです』
ゴミを分別する背中はひどく猫背だった。
よく分からない。
『すみません』
とメッセージは続いて、そこで終わる。
謝罪の言葉があるなら確定だろう。
ヒウタは拒絶されたのだ。
きっと何か嫌なことを言ってしまったのだろう。
ヒウタには分からない。
改めて名前を名乗った意味も。
ヒウタを怖いと言った理由も。
ヒウタは家に戻った。
テレビを再開する。
高校生までの夏休みが終わったからか、普段は講義があって見れないような番組が放送している。
新鮮さがあって面白いと感じていたが。
他人に拒否された衝撃が忘れられない。
ヒウタはテレビを切る。
布団で転がって。
目を覚ましてようやく眠っていたことに気づく。
ヒウタは急いで風呂を洗う。
洗濯や部屋の掃除はまた今度にしよう。
今日は身体が重い気がする。
夕食は食欲があるのかヒウタ自身でも分からず。
カップ麺のそばを食べた。
湯を入れるだけで出汁が香る温かいそばが食べられるのは革命的である。
風呂から出て寝る支度を済ませる。
そして再びスマホを開く。
トアオという女性を怖がらせてしまった。
ひどいことをしてしまった。
「ごめんなさい」
今夜はまだ暑い。
ヒウタがスマホを閉じる。
室内灯を切って、瞼を閉じる。
通知音が鳴る。
ヒウタは咄嗟に画面を付けた。
『あなたの好きな物、教えてください』
トアオからのメッセージ。
ヒウタは飛び上がるように嬉しかった。
ただその場で返すことはできず。
一度眠ることにする。
先ほどまでのネガティブは吹き飛んだ、それだけで十分である。
スマホを閉じる。
身体を横にして。
しかしなかなか眠れない。
何を返そう?
ヒウタの好きな物。
ファーストフード?
そういうことではないだろう。
やっぱり明日だ。
息を吸ってゆっくり吐く。
取り敢えず今日は眠ろうか。
これは外気が寒さを覚えるまでの、晩夏の物語。
二人の恋は進展してついにヒウタは告白する。
しかしメリアがヒウタを洗脳したために、過度に好意を抱いてしまったことが理由だった。
洗脳が解けてヒウタの恋活が振り出しへ。
九月に入る。
高校生までの夏休みは八月で終わってしまうが、大学生はまだまだ続く。
すなわち九月は夏休み延長戦である。
「よし、恋活するぞ!」
洗脳騒動で心が折れるヒウタではない。
再び恋人探しをするためにマッチングアプリを開く。
プロフィールを眺める。
「自販機を見つけると嬉しくなります?」
その一文が気になってしまう。
他の人を見てもどうしても先ほどの一言が気になって。
結局、ヒウタはいいねを送った。
それから数日後。
マッチングが成立してメッセージを送ることにした。
「もう俺は素人ではない!」
ヒウタはウキウキでメッセージを打つ。
それから数日。
ヒウタは部屋でテレビを見ていた。
気になってスマホを開きマッチングアプリを立ち上げる。
……、何も来ない。
ブロックはされていないようだが。
相手にされていないのだろうか?
「何か駄目だったのか」
気分が落ち込む。
それは良くないだろう。
ヒウタは外に飛び出した。
「自販機か」
自販機が道に並ぶ。
コーラが二百円近い。
スーパーで買った方が安いし急ぎでなければ購入する必要はない。
ヒウタは目的もなく進む。
昼食を食べるためにファーストフードへ。
コーラのミドルサイズとチーズバーがー、フライドチキンとポテトを頼む。
ヒウタは窓付近のカウンター席に座った。
椅子の位置が高い。
テーブルの隅にはコンセントが付いている。
パソコンを広げる人が見えた。
ヒウタはコーラを一口。
「ぷはあ」
息を吸い込むとスパイシーさと甘さが抜けていく。
ポテトを口に放る。
スマホを取り出して画面を点けると、再び画面を黒くして。
「食べるか!」
気合を入れてハンバーガーの包装紙を除く。
大きく口を開けて齧りつく。
パンズの歯応えと肉の旨み、チーズの濃厚さ。
一口、また一口と足していく。
それから一度息を吸って。
さらに齧る。
ポテトを投げるように食べて。
チキンを貪る。
食事を終える。
フロアにある洗面台で手を洗って店から出ようとすると、スマホから通知音が流れた。
どうやらマッチングした女性からメッセージが届いたようだ。
『メッセージありがたいです。初めまして』
その言葉を見ると胸が熱くなる。
沸き立つ熱気が頭まで上って、いつか倒れてしまいそう。
『私の名前はむぎしなとあお』
手汗が出てしまう。
『漢字では麦科都青と書きます』
まだトアオの言葉は続くらしい。
次の言葉を見た瞬間、頭の理解が追いつかない。
焦点を合わせてゆっくり読むことにする。
心臓が暴れる。
『私は、』
視線をゆっくり右へ。
『あなたが』
ヒウタは一度目を閉じる。
もう一度。
『私は、あなたが』
ヒウタは瞬きをする。
深呼吸を一回、……、二回。
『あなたが』
呼吸が止まる。
時間が歩くのを諦めた気がした。
スッと冷汗が首回りから流れる。
暑さのせいだけではないことは分かる。
できる限り暑さのせいにしたかったが。
勇気を振り絞ってその言葉を読む。
『私は、あなたが』
ヒウタは胸の辺りに手を置く。
服に皺ができるまで手繰り寄せるように握る。
もう一度勇気を出して。
全体を見る。
『私は、あなたが怖いです』
ゴミを分別する背中はひどく猫背だった。
よく分からない。
『すみません』
とメッセージは続いて、そこで終わる。
謝罪の言葉があるなら確定だろう。
ヒウタは拒絶されたのだ。
きっと何か嫌なことを言ってしまったのだろう。
ヒウタには分からない。
改めて名前を名乗った意味も。
ヒウタを怖いと言った理由も。
ヒウタは家に戻った。
テレビを再開する。
高校生までの夏休みが終わったからか、普段は講義があって見れないような番組が放送している。
新鮮さがあって面白いと感じていたが。
他人に拒否された衝撃が忘れられない。
ヒウタはテレビを切る。
布団で転がって。
目を覚ましてようやく眠っていたことに気づく。
ヒウタは急いで風呂を洗う。
洗濯や部屋の掃除はまた今度にしよう。
今日は身体が重い気がする。
夕食は食欲があるのかヒウタ自身でも分からず。
カップ麺のそばを食べた。
湯を入れるだけで出汁が香る温かいそばが食べられるのは革命的である。
風呂から出て寝る支度を済ませる。
そして再びスマホを開く。
トアオという女性を怖がらせてしまった。
ひどいことをしてしまった。
「ごめんなさい」
今夜はまだ暑い。
ヒウタがスマホを閉じる。
室内灯を切って、瞼を閉じる。
通知音が鳴る。
ヒウタは咄嗟に画面を付けた。
『あなたの好きな物、教えてください』
トアオからのメッセージ。
ヒウタは飛び上がるように嬉しかった。
ただその場で返すことはできず。
一度眠ることにする。
先ほどまでのネガティブは吹き飛んだ、それだけで十分である。
スマホを閉じる。
身体を横にして。
しかしなかなか眠れない。
何を返そう?
ヒウタの好きな物。
ファーストフード?
そういうことではないだろう。
やっぱり明日だ。
息を吸ってゆっくり吐く。
取り敢えず今日は眠ろうか。
これは外気が寒さを覚えるまでの、晩夏の物語。
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