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6章 恋の価値が重大すぎる!48~66話
その11 ヒウタと恋の行方Ⅱ
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ヒウタはメリアの顔を見る。
「僕はメリアさんがいいので、その」
ヒウタは告白したことがない。
どんな言葉を使うべきか分からなかった。
「おいで、ヒウタ」
メリアの優しい声。
愛しい人の姿が目の前にある。
この人で間違いない、この人が良い。
メリアならどんな綺麗事を言っても許してくれる。
どんな淡白な言葉でも喜んでくれる。
そう思えるからこそなんと言えばいいか。
「ヒウタ、愛してるから。愛されなきゃいけない、素敵な人。私と同じ色の愛だったら嬉しい」
メリアは繋いだ手を離して顔を近づける。
ヒウタの額にメリアの額を当てる。
メリアの額は熱い。
もちろん、ヒウタの全身も熱いが。
「この熱受け取って、ヒウタ」
二人きりの空間。
この人ならきっとアメユキも楽しい。
ヒウタは口元が緩む。
ただそのまま告白するわけにもいかない。
息を飲み込んで。
「僕の恋人になってください」
メリアは顔を右にずらして。
覆いかぶさるようにしてヒウタを抱き締める。
「よくできました」
「結果は?」
「大好きなので嬉しい、これから一緒だねヒウタ」
メリアは起き上がってヒウタに手を差し出す。
ヒウタがその手を取って起き上がるとそのまま布団の上に直行した。
ヒウタは布団の上で仰向けに寝る。
「こういう女の子は苦手?」
服の擦れる音。
ヒウタは布団の上に座るメリアを見ていた。
上着が床に投げられる。
「苦手とか分からないけど」
興奮と緊張で掠れた声になってしまう。
その声に気づいてメリアが笑う。
「ならヒウタがね」
下着姿。
メリアがヒウタの側に近寄ろうとしたときだった。
メリアは固まる。
「メリアさん?」
「ん?」
メリアは立ち上がって部屋を見渡す。
それから部屋中を歩き回る。
「メリアさん?」
「女性、妹?」
「女性とは?」
「女性の匂いがする」
この早さで修羅場?
まだ付き合ったばかりでは?
ヒウタに女性を家に上げる度胸はあるだろうか?
妹の匂い?
最近は外で会っただけだ。
妹の匂いは考えられない。
「それにこの髪の毛」
メリアは考え込む。
「この違和感、気になる」
「僕がいない合間に女性の髪が!」
「布団に付いてた。ここに女性が寝てた? 分からない、私が一番リードしてたし都合の良い関係をヒウタが持つわけがない。分からない」
メリアは考える。
何度も何度も仮説を立てるが分からない。
「ヒウタが二重人格くらい? 分からない」
メリアはついに動かなくなる。
ヒウタは布団から起き上がる。
「メリアさん?」
それからしばらくして。
「何でもいい。ヒウタを私で満たせばいいだけ」
再びヒウタを仰向けにして覆い被さるようにして。
「見る?」
「え?」
「見たい?」
「見たいです」
「欲しい?」
「欲しいです」
「いいよ」
メリアはヒウタの手を取って。
ゆっくりと対象に近づける。
ヒウタの体が如何にも火を噴きそう。
「おいでヒウタ」
「うん」
ヒウタが溺れる欲の中手を伸ばす。
そうしてようやく届く、その瞬間だった。
ガチャッと玄関から音がする。
「誰?」
メリアが布団に座る。
ヒウタは立ち上がった。
だんだん足音が近づく。
「上着を着てください、メリアさん」
「家族かな、挨拶するわ」
メリアが急いで上着を着る。
それでも布団一つに男女。
連想できるものがほとんどない。
「で、どう説明するんだ?」
綺麗な女性だった。
というか。
「シュイロさん? どうして」
メリアは驚く。
シュイロを知っている?
「盗聴器を仕掛けたからな。意図的にヒウタの部屋に泊まって髪も落としてきた。メリアちゃんなら気づくだろうし」
シュイロは部屋のコンセントを指差す。
本当に盗聴器が仕掛けられてたらしい。
「犯罪でしょ? 私ばっか注意して偉そうに!」
「許せ、ヒウタ。『嫉妬』のメリア。得意な能力は洞察力と、特異な体質」
ヒウタは首を傾げる。
「『七つの大罪』少女はみんな特異な体質や能力を持っている。メリアちゃんの特異な体質は洗脳。ピュアで恋愛経験値の低いヒウタを傀儡としたかった、もうその力は使うなと言ったが?」
ヒウタは汗が流れた。
シュイロは怒っている。
メリアは何度も何度も頭を掻く。
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、いやいやいやいやいやいやいやいや、いやいやいやいやいやいやいやいや」
メリアは膝から崩れる。
「邪魔しないで。この恋だけは本物なの。ね、ヒウタ」
メリアの涙が頬を伝う。
ヒウタは胸が痛んだ。
「シュイロさん、僕はこの人の彼氏です。だから傷つけないでください!」
シュイロは溜息を。
「また面倒なことをしてくれたな。ヒウタはようやく見つけたバイトだ。私が高校生を続けるには人手が必要だからな。次、洗脳をしたら許さないって言ったが忘れたか?」
ヒウタはもう何も言えない。
ぼったくりを蹴散らしたアキトヨとは違う。
怒りがメリアに向いている。
「私、そんな悪いことした? ってかずっと見張ってたわけ?」
「いや。アキトヨちゃんほど賢いなら罠とばれたかもしれないがメリアちゃんなら私の香りと髪があったら違和感に気づいて、見たことあるけどと悩んで、ヒウタを襲うのを中断するだろ? その間にここに来て捕まえようと思ってな。スイーツパーティでも問題を起こして、強制退会か?」
「え? 私がアプリにいくら払ってると思う? 特別扱いは当然。もっと出しますけど? お金のために私を野放しにしたシュイロさんも最低では?」
「私はメリアちゃんにも恋を知ってほしかった。期待した私が馬鹿だった」
「いいえ! お金と私の力目当てですよね? 特別待遇なら他にもいる。『七つの大罪』少女は元々特異ではみ出し者。規約など守れるはずもない。それでも特別扱いするのは私たちの体質や能力を利用するため。お金ならいくらでも渡しましょう。だからヒウタはもらいます。これから愛し合う予定なので邪魔しないで」
「私を怒らせるか?」
ヒウタは思う、この息苦しさの正体は。
情報量が多すぎて頭が痛い。
でもそれよりも。
これは嫌な予感がする。
ヒウタがすべきことは。
この争いを止めないと!
「洗脳していたのですね。今も解けていない。聞いて怖いなって思いましたけど、メリアさんは良い人だと思います。僕を洗脳しなくてもいい人見つかります。洗脳してしまうと恋が分からなくなってしまうので」
「ヒウタ、メリアちゃんを庇うなら洗脳のせいだから」
シュイロの言葉が分からないわけではない。
今思えばメリアの好意は不自然で、ヒウタの行動は自分でも理解できないものが多かった。
ヒウタらしくないことが多かった。
洗脳と言われれば多少は確かにと納得できる。
「シュイロさん、メリアちゃんを許しませんか?」
「洗脳されてるんだぞ? 正気なら分かるが」
「僕は管理のバイトをしています。だから、メリアさんの恋活を見守って、洗脳をしないようにすればいいと思います」
「けどな、ヒウタは洗脳に掛かってしまったわけだから。退会させるのがいいと思う。甘やかして迷惑ばかりだ。ヒウタも毒牙にかかって」
「許しますよ」
「どうして?」
聞いたのはメリアだった。
強がってシュイロに反抗していたが、メリアはシュイロに勝てないことを理解していたのだろう。
だからこそ、許すという選択肢ができた途端に動いた。
「かわいい女性のやらかしたことは許します。けど過去に被害者がいる以上、容赦はしないので」
「「え?」」
メリアとシュイロの声が重なる。
「あとメリアさん洗脳解いてください」
「えーと、分かったから洗脳解くわ」
「今すぐですが」
「うん、分かった」
メリアは返事を。
「私はヒウタの評価をミスっていたかもしれないな。しっかりしてる」
シュイロは苦笑する。
「メリアさん、本当は悪い人ではない気がします。ですよね?」
「ったくお人好しだな、ヒウタは」
シュイロは頭を掻いた。
その言葉を聞いてヒウタはホッと一息。
どうやら争いは収まったらしい。
そしてヒウタとメリアが付き合う話は白紙となった。
ヒウタの恋活は続く。
「僕はメリアさんがいいので、その」
ヒウタは告白したことがない。
どんな言葉を使うべきか分からなかった。
「おいで、ヒウタ」
メリアの優しい声。
愛しい人の姿が目の前にある。
この人で間違いない、この人が良い。
メリアならどんな綺麗事を言っても許してくれる。
どんな淡白な言葉でも喜んでくれる。
そう思えるからこそなんと言えばいいか。
「ヒウタ、愛してるから。愛されなきゃいけない、素敵な人。私と同じ色の愛だったら嬉しい」
メリアは繋いだ手を離して顔を近づける。
ヒウタの額にメリアの額を当てる。
メリアの額は熱い。
もちろん、ヒウタの全身も熱いが。
「この熱受け取って、ヒウタ」
二人きりの空間。
この人ならきっとアメユキも楽しい。
ヒウタは口元が緩む。
ただそのまま告白するわけにもいかない。
息を飲み込んで。
「僕の恋人になってください」
メリアは顔を右にずらして。
覆いかぶさるようにしてヒウタを抱き締める。
「よくできました」
「結果は?」
「大好きなので嬉しい、これから一緒だねヒウタ」
メリアは起き上がってヒウタに手を差し出す。
ヒウタがその手を取って起き上がるとそのまま布団の上に直行した。
ヒウタは布団の上で仰向けに寝る。
「こういう女の子は苦手?」
服の擦れる音。
ヒウタは布団の上に座るメリアを見ていた。
上着が床に投げられる。
「苦手とか分からないけど」
興奮と緊張で掠れた声になってしまう。
その声に気づいてメリアが笑う。
「ならヒウタがね」
下着姿。
メリアがヒウタの側に近寄ろうとしたときだった。
メリアは固まる。
「メリアさん?」
「ん?」
メリアは立ち上がって部屋を見渡す。
それから部屋中を歩き回る。
「メリアさん?」
「女性、妹?」
「女性とは?」
「女性の匂いがする」
この早さで修羅場?
まだ付き合ったばかりでは?
ヒウタに女性を家に上げる度胸はあるだろうか?
妹の匂い?
最近は外で会っただけだ。
妹の匂いは考えられない。
「それにこの髪の毛」
メリアは考え込む。
「この違和感、気になる」
「僕がいない合間に女性の髪が!」
「布団に付いてた。ここに女性が寝てた? 分からない、私が一番リードしてたし都合の良い関係をヒウタが持つわけがない。分からない」
メリアは考える。
何度も何度も仮説を立てるが分からない。
「ヒウタが二重人格くらい? 分からない」
メリアはついに動かなくなる。
ヒウタは布団から起き上がる。
「メリアさん?」
それからしばらくして。
「何でもいい。ヒウタを私で満たせばいいだけ」
再びヒウタを仰向けにして覆い被さるようにして。
「見る?」
「え?」
「見たい?」
「見たいです」
「欲しい?」
「欲しいです」
「いいよ」
メリアはヒウタの手を取って。
ゆっくりと対象に近づける。
ヒウタの体が如何にも火を噴きそう。
「おいでヒウタ」
「うん」
ヒウタが溺れる欲の中手を伸ばす。
そうしてようやく届く、その瞬間だった。
ガチャッと玄関から音がする。
「誰?」
メリアが布団に座る。
ヒウタは立ち上がった。
だんだん足音が近づく。
「上着を着てください、メリアさん」
「家族かな、挨拶するわ」
メリアが急いで上着を着る。
それでも布団一つに男女。
連想できるものがほとんどない。
「で、どう説明するんだ?」
綺麗な女性だった。
というか。
「シュイロさん? どうして」
メリアは驚く。
シュイロを知っている?
「盗聴器を仕掛けたからな。意図的にヒウタの部屋に泊まって髪も落としてきた。メリアちゃんなら気づくだろうし」
シュイロは部屋のコンセントを指差す。
本当に盗聴器が仕掛けられてたらしい。
「犯罪でしょ? 私ばっか注意して偉そうに!」
「許せ、ヒウタ。『嫉妬』のメリア。得意な能力は洞察力と、特異な体質」
ヒウタは首を傾げる。
「『七つの大罪』少女はみんな特異な体質や能力を持っている。メリアちゃんの特異な体質は洗脳。ピュアで恋愛経験値の低いヒウタを傀儡としたかった、もうその力は使うなと言ったが?」
ヒウタは汗が流れた。
シュイロは怒っている。
メリアは何度も何度も頭を掻く。
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、いやいやいやいやいやいやいやいや、いやいやいやいやいやいやいやいや」
メリアは膝から崩れる。
「邪魔しないで。この恋だけは本物なの。ね、ヒウタ」
メリアの涙が頬を伝う。
ヒウタは胸が痛んだ。
「シュイロさん、僕はこの人の彼氏です。だから傷つけないでください!」
シュイロは溜息を。
「また面倒なことをしてくれたな。ヒウタはようやく見つけたバイトだ。私が高校生を続けるには人手が必要だからな。次、洗脳をしたら許さないって言ったが忘れたか?」
ヒウタはもう何も言えない。
ぼったくりを蹴散らしたアキトヨとは違う。
怒りがメリアに向いている。
「私、そんな悪いことした? ってかずっと見張ってたわけ?」
「いや。アキトヨちゃんほど賢いなら罠とばれたかもしれないがメリアちゃんなら私の香りと髪があったら違和感に気づいて、見たことあるけどと悩んで、ヒウタを襲うのを中断するだろ? その間にここに来て捕まえようと思ってな。スイーツパーティでも問題を起こして、強制退会か?」
「え? 私がアプリにいくら払ってると思う? 特別扱いは当然。もっと出しますけど? お金のために私を野放しにしたシュイロさんも最低では?」
「私はメリアちゃんにも恋を知ってほしかった。期待した私が馬鹿だった」
「いいえ! お金と私の力目当てですよね? 特別待遇なら他にもいる。『七つの大罪』少女は元々特異ではみ出し者。規約など守れるはずもない。それでも特別扱いするのは私たちの体質や能力を利用するため。お金ならいくらでも渡しましょう。だからヒウタはもらいます。これから愛し合う予定なので邪魔しないで」
「私を怒らせるか?」
ヒウタは思う、この息苦しさの正体は。
情報量が多すぎて頭が痛い。
でもそれよりも。
これは嫌な予感がする。
ヒウタがすべきことは。
この争いを止めないと!
「洗脳していたのですね。今も解けていない。聞いて怖いなって思いましたけど、メリアさんは良い人だと思います。僕を洗脳しなくてもいい人見つかります。洗脳してしまうと恋が分からなくなってしまうので」
「ヒウタ、メリアちゃんを庇うなら洗脳のせいだから」
シュイロの言葉が分からないわけではない。
今思えばメリアの好意は不自然で、ヒウタの行動は自分でも理解できないものが多かった。
ヒウタらしくないことが多かった。
洗脳と言われれば多少は確かにと納得できる。
「シュイロさん、メリアちゃんを許しませんか?」
「洗脳されてるんだぞ? 正気なら分かるが」
「僕は管理のバイトをしています。だから、メリアさんの恋活を見守って、洗脳をしないようにすればいいと思います」
「けどな、ヒウタは洗脳に掛かってしまったわけだから。退会させるのがいいと思う。甘やかして迷惑ばかりだ。ヒウタも毒牙にかかって」
「許しますよ」
「どうして?」
聞いたのはメリアだった。
強がってシュイロに反抗していたが、メリアはシュイロに勝てないことを理解していたのだろう。
だからこそ、許すという選択肢ができた途端に動いた。
「かわいい女性のやらかしたことは許します。けど過去に被害者がいる以上、容赦はしないので」
「「え?」」
メリアとシュイロの声が重なる。
「あとメリアさん洗脳解いてください」
「えーと、分かったから洗脳解くわ」
「今すぐですが」
「うん、分かった」
メリアは返事を。
「私はヒウタの評価をミスっていたかもしれないな。しっかりしてる」
シュイロは苦笑する。
「メリアさん、本当は悪い人ではない気がします。ですよね?」
「ったくお人好しだな、ヒウタは」
シュイロは頭を掻いた。
その言葉を聞いてヒウタはホッと一息。
どうやら争いは収まったらしい。
そしてヒウタとメリアが付き合う話は白紙となった。
ヒウタの恋活は続く。
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