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5章 期末テスト大戦が絶望すぎる!33~47話
その6 ヒウタと死闘
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テスト期間が始まった。
一週間と二日ですべてのテストは終わる。
初日。
過去問と過去問がないときに死ぬ気で学習したこともあって難なく終了。
テスト結果で勝負することになったコウミとの共通科目はない。
二日目。
圧倒的記述量に押される。悲鳴を上げる右腕、手首。
続く記述テスト科目。
過去問と先生からの出題範囲の提示で、分かるかどうかというよりはいかに円滑に書き切れるかであった。
耐えればいい。
一瞬でも迷ったら後回しにして、思い浮かんだら戻る。
単位は取れるだろうが、どれも高得点とはいかないだろう。
厳しいのは、次の日からだ。
ついに、コウミとの勝負が始まる。
社会系科目、それも朝の試験からだ。
エアコンの効きが悪そうな朝だった。
筆記用具と一部の持ち込み資料を持ってそのときを待つ。
自由席らしく、後からコウミがやって来た。
「勝負、勝負。さて、負ける準備終わった?」
コウミは後ろの席に着いた。
ってか、最前列?
前から三つ目の席なのに。
それに周りには他にいない。
ヒウタとコウミだけが前の方の席で。
他の学生は窮屈そうに後ろの方に溜まっていた。
「あれから結構努力したからさ。負けないつもり」
コウミは鉛筆の先のキャップを取っていた。
その華奢な手が離れると、入念に準備した印象の尖った芯が現れた。
「鉛筆?」
「緊張すると簡単に折ってしまうから」
よく見るとコウミの足元が揺れていた。
確かに普段よりも落ち着きがないような。
「ん? 足に何か付いてるの? もしかして、勝ったら私の脚をぺろぺろと、……、ひっ」
コウミが本気で言っているか分からない。
より返す言葉が見つからなかった。
でも足を見過ぎたのは間違っていないし。
申し訳なく感じてしまう。
「そろそろか」
学生証を机に乗せて、スマホの電源を切る。
バッグの中にスマホを仕舞うと持ち込み資料を出していないことに気づいて、咄嗟にバッグを漁った。
「そろそろ試験を始めますのでお願いします」
先生の声。
何とか資料を準備したが、一度準備したものを仕舞って再び仕舞うと、いかに緊張してしまったかと。
先生は問題用紙と解答用紙を配った。
ヒウタとコウミみは直接。
他の学生には前の人に渡してそれを回していく。
始め、という声を聞いて問題用紙を表に向ける。
過去問、いける。
持ち込み資料、頼むぞ。
これは講義中に言っていたところ。
こう見えても真面目なんだ、打つ漏らしたりしない。
紙と筆記具が擦れ合う。
にしては嫌な予感がした。
まずい、この丸バツ問題難しい。
新傾向じゃないか、一つ一つの理解、そして、一連の流れを理解しなければならない。
だが。
ここで負けるわけにはいかない。
コウミと勝負すると言った以上、情けない生き様を見せるわけにはいかない。
資料を探せ。いや、問題用紙どこ行った?
まさかここに埋もれたとは。
確かここにはっきりと書いてあったはず。
今度は解答用紙が埋まって、……。
一瞬目に入ってしまった。
解答用紙が足元にあることを。
どうしてそんなところに。
さらにヒウタには違和感があった。
「待て、違和感ってまさか」
後ろから音がしない。
もう解き終わった?
これがコウミの実力。
くそ、負けたというのか。
そのとき。
何かを啜るような、これって。
コウミ泣いてないか?
分からないものがあったのか?
いやいや、自身の心配をしないと。
「先生!」
遠慮がちに声を出す。
「落としてしまって」
先生は早歩きで来た。
前に座っている学生は真面目だとして早い対応をしてくれているのかもしれない。
分からないけど。
「女性の名前なので、後ろですか」
先生はヒウタの足元の紙を拾って。
後ろの席に回した。
それからテストが終わって。
後ろの席の女性はすぐにどこかへ行ってしまった。
一日のテストを終えて。
電車に乗っていると一通のメッセージが来る。
会話メッセージアプリにて、一言。
『助けてくれてありがと』
ヒウタはホッと息をつく。
「結局解答用紙は一番下にあったし、持ち込み資料多いのも気を付けないとな」
明日のテストに備えて、スマホで資料を見直す。
それから。
ヒウタは順調と言っても過言ではない。
過去問、そして実力。
過去問がない前提で学習した分。
もはや敵なし、とまでは行かなかったが。
テスト中に閃いたり、理解したりすることもあって。
「俺はまだまだ成長する!」
バトル漫画のワンシーンのような台詞を浮かべながら調子に乗って、時間に迫られながらも。
激動の日々を越えたのだ。
その忙しさを取り返すような堕落した日々がヒウタを迎える。
一週間と二日ですべてのテストは終わる。
初日。
過去問と過去問がないときに死ぬ気で学習したこともあって難なく終了。
テスト結果で勝負することになったコウミとの共通科目はない。
二日目。
圧倒的記述量に押される。悲鳴を上げる右腕、手首。
続く記述テスト科目。
過去問と先生からの出題範囲の提示で、分かるかどうかというよりはいかに円滑に書き切れるかであった。
耐えればいい。
一瞬でも迷ったら後回しにして、思い浮かんだら戻る。
単位は取れるだろうが、どれも高得点とはいかないだろう。
厳しいのは、次の日からだ。
ついに、コウミとの勝負が始まる。
社会系科目、それも朝の試験からだ。
エアコンの効きが悪そうな朝だった。
筆記用具と一部の持ち込み資料を持ってそのときを待つ。
自由席らしく、後からコウミがやって来た。
「勝負、勝負。さて、負ける準備終わった?」
コウミは後ろの席に着いた。
ってか、最前列?
前から三つ目の席なのに。
それに周りには他にいない。
ヒウタとコウミだけが前の方の席で。
他の学生は窮屈そうに後ろの方に溜まっていた。
「あれから結構努力したからさ。負けないつもり」
コウミは鉛筆の先のキャップを取っていた。
その華奢な手が離れると、入念に準備した印象の尖った芯が現れた。
「鉛筆?」
「緊張すると簡単に折ってしまうから」
よく見るとコウミの足元が揺れていた。
確かに普段よりも落ち着きがないような。
「ん? 足に何か付いてるの? もしかして、勝ったら私の脚をぺろぺろと、……、ひっ」
コウミが本気で言っているか分からない。
より返す言葉が見つからなかった。
でも足を見過ぎたのは間違っていないし。
申し訳なく感じてしまう。
「そろそろか」
学生証を机に乗せて、スマホの電源を切る。
バッグの中にスマホを仕舞うと持ち込み資料を出していないことに気づいて、咄嗟にバッグを漁った。
「そろそろ試験を始めますのでお願いします」
先生の声。
何とか資料を準備したが、一度準備したものを仕舞って再び仕舞うと、いかに緊張してしまったかと。
先生は問題用紙と解答用紙を配った。
ヒウタとコウミみは直接。
他の学生には前の人に渡してそれを回していく。
始め、という声を聞いて問題用紙を表に向ける。
過去問、いける。
持ち込み資料、頼むぞ。
これは講義中に言っていたところ。
こう見えても真面目なんだ、打つ漏らしたりしない。
紙と筆記具が擦れ合う。
にしては嫌な予感がした。
まずい、この丸バツ問題難しい。
新傾向じゃないか、一つ一つの理解、そして、一連の流れを理解しなければならない。
だが。
ここで負けるわけにはいかない。
コウミと勝負すると言った以上、情けない生き様を見せるわけにはいかない。
資料を探せ。いや、問題用紙どこ行った?
まさかここに埋もれたとは。
確かここにはっきりと書いてあったはず。
今度は解答用紙が埋まって、……。
一瞬目に入ってしまった。
解答用紙が足元にあることを。
どうしてそんなところに。
さらにヒウタには違和感があった。
「待て、違和感ってまさか」
後ろから音がしない。
もう解き終わった?
これがコウミの実力。
くそ、負けたというのか。
そのとき。
何かを啜るような、これって。
コウミ泣いてないか?
分からないものがあったのか?
いやいや、自身の心配をしないと。
「先生!」
遠慮がちに声を出す。
「落としてしまって」
先生は早歩きで来た。
前に座っている学生は真面目だとして早い対応をしてくれているのかもしれない。
分からないけど。
「女性の名前なので、後ろですか」
先生はヒウタの足元の紙を拾って。
後ろの席に回した。
それからテストが終わって。
後ろの席の女性はすぐにどこかへ行ってしまった。
一日のテストを終えて。
電車に乗っていると一通のメッセージが来る。
会話メッセージアプリにて、一言。
『助けてくれてありがと』
ヒウタはホッと息をつく。
「結局解答用紙は一番下にあったし、持ち込み資料多いのも気を付けないとな」
明日のテストに備えて、スマホで資料を見直す。
それから。
ヒウタは順調と言っても過言ではない。
過去問、そして実力。
過去問がない前提で学習した分。
もはや敵なし、とまでは行かなかったが。
テスト中に閃いたり、理解したりすることもあって。
「俺はまだまだ成長する!」
バトル漫画のワンシーンのような台詞を浮かべながら調子に乗って、時間に迫られながらも。
激動の日々を越えたのだ。
その忙しさを取り返すような堕落した日々がヒウタを迎える。
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