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4章 怒り少女が乱暴すぎる!24~32話
その3 ヒウタと恋活パターンⅡ
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マッチングアプリにおける恋活で、越えなければいけない関門はいくつかある。
まず、「いいね」をもらうこと。そして、お気に入り登録をしてもらうこと。
ここでは、多くの選択肢よりも目に留めてもらって、さらに興味を惹く必要がある。
続いて、メッセージを送ること。そして返信がもらえること。
ここでは、好感と共感を得られる必要がある。
さらに、メッセージをやり取りすること。予定を立てること。
ここでは、魅力と安全を相手にイメージさせる必要がある。
そして、出会うこと。第一印象が大事。
まだまだ関門はある。
だが、まずは出会いまで。
『できるだけ怖くない時間を選ぶべきだよ。女の子にとって男って結構怖いから。できるだけ短時間で、できるだけ二人きりにならない。ただし、安心安全を表に出してたらむしろ怖すぎるから』
ビデオ通話で。
ヒウタとチカフミはそれぞれの家の一室で、スマホを介して作戦会議をしていた。
チカフミの言葉を聞くと、ヒウタはその都度メモを取る。
『そろそろ疲れてきたな、もっと大きい画面で、……。パソコン使う?』
チカフミの提案に、ヒウタは腕を組む。
「あまり使い方分からないが」
『いわゆるリモートワークだよ。ルーム名とパスワードを決めてね。資料の共有とかもできて便利なんだよ』
「ハイテクだな、パソコンって」
ヒウタは閉じていたパソコンを開く。
気が付かなかったが電源が切れていなかったらしい。
昨日まで行っていたお問い合わせや相談をまとめる仕事の様子がそのまま残っていた。
「他人の恋を応援しながら、自分の恋活も頑張るのって思ったよりも厳しい」
仕事のファイルを閉じて、会議用アプリをインストールする。
意外と時間がかからない。
アプリを開いてチカフミと繋げる。
『スマホは閉じたから。ヒウ君、あれから会えそうな人いる?』
「いるんだよな、それが。やっぱりモテ期到来か? 苦節十八年以上、ついにこの時が」
『そこまではいけるけど、二回目会ってくれる人がいないって話じゃなかった?』
「ん? 誰もそんなことは言ってませんねえ、奥様」
ヒウタは急に高い声を出して、手を前にして手の平を閉じたり開いたりを繰り返す。
その様子を見てチカフミは呆れたように息を吐く。
『ったく、嫌なことから逃げるならどうにもならないよ。ヒウ君が二度目は会ってくれないって助けてほしいって聞いたけど、違うなら僕は何もしないさ』
「ごめんなさい、チカフミ様。肉の暴力、つまり焼肉の暴力は既に使ってしまった。こうなったらもう蟹の暴力、蟹鍋の暴力を使うしか」
ヒウタは悔しそうに下唇を噛んで涙を流した。
強く握られた拳は揺れるように震えていた。
『肉の暴力も蟹の暴力もよく分からないよ。確かに蟹で殴ったら痛そうだけど。最近、ヒウ君に時間使い過ぎて彼女に浮気疑われてるから、今度会って説得してほしいよ』
「蟹の暴力というのは蟹を食べたら流石に助けざるを得ないし、もはや大抵のことは許すしかないという究極奥義だ!」
『ご飯奢ってもらうのはそろそろ怖いから別の報酬にしようかな。話は戻るけど、会う話って』
「金曜日の授業終わりに駅で集合。夕食だけ食べて解散。電車で帰るから長居はしないと思う。けど、本当は昼間が良かったり?」
『それは女性側のことだから。でも一応聞いた方がいいかも。気遣いアピールにもなるし。体目的を否定できるし』
「ええ? 夜ってだけで体目的になるの?」
『夜だけでは言い切れないけど、可能性はあるから』
「難しいんだな」
それから、ヒウタは休日も提案してみたが、結局金曜日の講義後になった。
その日はチカフミも忙しいらしいが、時々会話アプリでメッセージを送ってくれるらしい。
まず、「いいね」をもらうこと。そして、お気に入り登録をしてもらうこと。
ここでは、多くの選択肢よりも目に留めてもらって、さらに興味を惹く必要がある。
続いて、メッセージを送ること。そして返信がもらえること。
ここでは、好感と共感を得られる必要がある。
さらに、メッセージをやり取りすること。予定を立てること。
ここでは、魅力と安全を相手にイメージさせる必要がある。
そして、出会うこと。第一印象が大事。
まだまだ関門はある。
だが、まずは出会いまで。
『できるだけ怖くない時間を選ぶべきだよ。女の子にとって男って結構怖いから。できるだけ短時間で、できるだけ二人きりにならない。ただし、安心安全を表に出してたらむしろ怖すぎるから』
ビデオ通話で。
ヒウタとチカフミはそれぞれの家の一室で、スマホを介して作戦会議をしていた。
チカフミの言葉を聞くと、ヒウタはその都度メモを取る。
『そろそろ疲れてきたな、もっと大きい画面で、……。パソコン使う?』
チカフミの提案に、ヒウタは腕を組む。
「あまり使い方分からないが」
『いわゆるリモートワークだよ。ルーム名とパスワードを決めてね。資料の共有とかもできて便利なんだよ』
「ハイテクだな、パソコンって」
ヒウタは閉じていたパソコンを開く。
気が付かなかったが電源が切れていなかったらしい。
昨日まで行っていたお問い合わせや相談をまとめる仕事の様子がそのまま残っていた。
「他人の恋を応援しながら、自分の恋活も頑張るのって思ったよりも厳しい」
仕事のファイルを閉じて、会議用アプリをインストールする。
意外と時間がかからない。
アプリを開いてチカフミと繋げる。
『スマホは閉じたから。ヒウ君、あれから会えそうな人いる?』
「いるんだよな、それが。やっぱりモテ期到来か? 苦節十八年以上、ついにこの時が」
『そこまではいけるけど、二回目会ってくれる人がいないって話じゃなかった?』
「ん? 誰もそんなことは言ってませんねえ、奥様」
ヒウタは急に高い声を出して、手を前にして手の平を閉じたり開いたりを繰り返す。
その様子を見てチカフミは呆れたように息を吐く。
『ったく、嫌なことから逃げるならどうにもならないよ。ヒウ君が二度目は会ってくれないって助けてほしいって聞いたけど、違うなら僕は何もしないさ』
「ごめんなさい、チカフミ様。肉の暴力、つまり焼肉の暴力は既に使ってしまった。こうなったらもう蟹の暴力、蟹鍋の暴力を使うしか」
ヒウタは悔しそうに下唇を噛んで涙を流した。
強く握られた拳は揺れるように震えていた。
『肉の暴力も蟹の暴力もよく分からないよ。確かに蟹で殴ったら痛そうだけど。最近、ヒウ君に時間使い過ぎて彼女に浮気疑われてるから、今度会って説得してほしいよ』
「蟹の暴力というのは蟹を食べたら流石に助けざるを得ないし、もはや大抵のことは許すしかないという究極奥義だ!」
『ご飯奢ってもらうのはそろそろ怖いから別の報酬にしようかな。話は戻るけど、会う話って』
「金曜日の授業終わりに駅で集合。夕食だけ食べて解散。電車で帰るから長居はしないと思う。けど、本当は昼間が良かったり?」
『それは女性側のことだから。でも一応聞いた方がいいかも。気遣いアピールにもなるし。体目的を否定できるし』
「ええ? 夜ってだけで体目的になるの?」
『夜だけでは言い切れないけど、可能性はあるから』
「難しいんだな」
それから、ヒウタは休日も提案してみたが、結局金曜日の講義後になった。
その日はチカフミも忙しいらしいが、時々会話アプリでメッセージを送ってくれるらしい。
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