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3章 任された仕事が難題すぎる!12~23話
その3 ヒウタと下手な生き方
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マッチングアプリの代表であるシュイロが、七つの大罪とまで言ってしまう七人の女性。
彼女らをアプリの運営上ルールを守ってもらいたい。
そのための仕事では多少危険があるかもしれないことと仕事をしやすい環境を提供するということで、ヒウタ用の部屋を借りてもらっている。
全額アプリ会社持ちであるが、一人暮らしにしては広い。
四人くらい泊りに来ても敷布団を広げられるくらい。
そんな一人にはもったいない部屋でヒウタはパソコンで作業を。
絨毯の上に座って、テーブルにパソコンを置く。
要望や意見をまとめ、苦情やお問い合わせに返信を書く。
マッチングアプリの代表であるシュイロからアルバイトとして頼まれたことだが。
「地味すぎるし、精神的にもきついな」
人はマイナスの感情を浴び続けることに適していない、ヒウタは思う。
読み進める。
いろんな人がいるものだ。
『会う予定の人にドタキャンされました』
これに関してはそれまでの経緯を知らないし、アプリ管理に言うことかと思ってしまうが。
それぞれの個人が持つ倫理によるだろう。
『アプリで連絡を取り続けていたが、他の連絡先を交換せずに契約期限が来てしまった。社会人になっても、もう少しだけマッチした人と連絡するくらいはしたかった』
その意見を聞くとハッとさせられる。
シュイロの考えとして、社会人はアプリの利用ができない。
それは分かっていたが、学生として利用していた人が社会人になったときに契約更新できないということは。
「ルールはルールだろうけど同情してしまうな」
報告書にまとめていく。
『イケメンだと思って会ってみたら女性でした。どうやって紛れ込んでいるのですか? 最高でした』
ヒウタは固まる。
「女性だったって、どういうことだよ。最高だったならいいのか?」
一瞬考えて、頭を左右に振る。
「錯覚しそうだった。ちゃんと報告しないと」
異性を求めてマッチングするアプリでは良くないだろう。
最高だった、に関しては取り敢えず気にしない。
『会ったら好みではないと言われて帰ってしまった。お詫びとしてお金を渡してきたが罵倒された。最高です』
これも良くないこと、……って最高なのか。
ヒウタは経験値を得た。レベルがイチ上がった。
『マッチングした相手と付き合うことになったが、隠れてアプリでマッチングをしており何股もしていた』
「何股ってことは簡単には把握できないほどってことか。流石に酷い」
信じることでカップルは成立する。
契約書を書くわけではない。
口約束のような、互いが互いを信じる関係。
破綻していたなんて分かったときにはどれだけ辛いのか想像しがたい。
『マッチングした相手が勝手に家に入ってきた。……テ。タスケ、テ』
「普通に犯罪じゃないか!」
アプリがどうこうの話ではない。
それにシュイロがどうにかできることか?
一応報告書にはまとめる。
報告書をシュイロに送った。
受け取った返信と共に仕事が。
『日夜和佐と会って、アプリの許可ができるか見定めてほしい。片思いだった人を忘れるためにアプリを使用したいそうだが、男性の意見も聞きたい。私は女子高生やってるから頼んだぞ!』
とのこと。
「シュイロさんが頼むなら仕事だしやるけど。女性と話すの難しいよな」
嫌というよりは緊張と不安でぐちゃぐちゃになっているだけだ。
「忘れるための出会いもありだと思う。でもシュイロさんが心配するのも分かる。どんな人がアプリを使うためにふさわしいのか。ちゃんと考えたことないな」
ヒウタは天井の板張りの木目を眺める。
背筋が震えるのを感じて、絨毯に仰向けになった。
ヒウタは恋愛素人だ。
どんな恋が正しいのか分からない。
忘れるための恋に対して、アプリの使用を保留にしたシュイロの考えとはすれ違ってしまう。
シュイロが信念を持って決定したことだとは容易に理解できる。
「もっと恋したら良かったのかな。シュイロさんからしたら俺なんてきっと頼りないけど」
仕事を任された以上、弱音を吐き続けるわけには。
ヒウタはカズサに会うことにした。
彼女らをアプリの運営上ルールを守ってもらいたい。
そのための仕事では多少危険があるかもしれないことと仕事をしやすい環境を提供するということで、ヒウタ用の部屋を借りてもらっている。
全額アプリ会社持ちであるが、一人暮らしにしては広い。
四人くらい泊りに来ても敷布団を広げられるくらい。
そんな一人にはもったいない部屋でヒウタはパソコンで作業を。
絨毯の上に座って、テーブルにパソコンを置く。
要望や意見をまとめ、苦情やお問い合わせに返信を書く。
マッチングアプリの代表であるシュイロからアルバイトとして頼まれたことだが。
「地味すぎるし、精神的にもきついな」
人はマイナスの感情を浴び続けることに適していない、ヒウタは思う。
読み進める。
いろんな人がいるものだ。
『会う予定の人にドタキャンされました』
これに関してはそれまでの経緯を知らないし、アプリ管理に言うことかと思ってしまうが。
それぞれの個人が持つ倫理によるだろう。
『アプリで連絡を取り続けていたが、他の連絡先を交換せずに契約期限が来てしまった。社会人になっても、もう少しだけマッチした人と連絡するくらいはしたかった』
その意見を聞くとハッとさせられる。
シュイロの考えとして、社会人はアプリの利用ができない。
それは分かっていたが、学生として利用していた人が社会人になったときに契約更新できないということは。
「ルールはルールだろうけど同情してしまうな」
報告書にまとめていく。
『イケメンだと思って会ってみたら女性でした。どうやって紛れ込んでいるのですか? 最高でした』
ヒウタは固まる。
「女性だったって、どういうことだよ。最高だったならいいのか?」
一瞬考えて、頭を左右に振る。
「錯覚しそうだった。ちゃんと報告しないと」
異性を求めてマッチングするアプリでは良くないだろう。
最高だった、に関しては取り敢えず気にしない。
『会ったら好みではないと言われて帰ってしまった。お詫びとしてお金を渡してきたが罵倒された。最高です』
これも良くないこと、……って最高なのか。
ヒウタは経験値を得た。レベルがイチ上がった。
『マッチングした相手と付き合うことになったが、隠れてアプリでマッチングをしており何股もしていた』
「何股ってことは簡単には把握できないほどってことか。流石に酷い」
信じることでカップルは成立する。
契約書を書くわけではない。
口約束のような、互いが互いを信じる関係。
破綻していたなんて分かったときにはどれだけ辛いのか想像しがたい。
『マッチングした相手が勝手に家に入ってきた。……テ。タスケ、テ』
「普通に犯罪じゃないか!」
アプリがどうこうの話ではない。
それにシュイロがどうにかできることか?
一応報告書にはまとめる。
報告書をシュイロに送った。
受け取った返信と共に仕事が。
『日夜和佐と会って、アプリの許可ができるか見定めてほしい。片思いだった人を忘れるためにアプリを使用したいそうだが、男性の意見も聞きたい。私は女子高生やってるから頼んだぞ!』
とのこと。
「シュイロさんが頼むなら仕事だしやるけど。女性と話すの難しいよな」
嫌というよりは緊張と不安でぐちゃぐちゃになっているだけだ。
「忘れるための出会いもありだと思う。でもシュイロさんが心配するのも分かる。どんな人がアプリを使うためにふさわしいのか。ちゃんと考えたことないな」
ヒウタは天井の板張りの木目を眺める。
背筋が震えるのを感じて、絨毯に仰向けになった。
ヒウタは恋愛素人だ。
どんな恋が正しいのか分からない。
忘れるための恋に対して、アプリの使用を保留にしたシュイロの考えとはすれ違ってしまう。
シュイロが信念を持って決定したことだとは容易に理解できる。
「もっと恋したら良かったのかな。シュイロさんからしたら俺なんてきっと頼りないけど」
仕事を任された以上、弱音を吐き続けるわけには。
ヒウタはカズサに会うことにした。
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