374 / 439
第373話 スキル【工程FMEA】
しおりを挟む
工程FMEAの説明がRPN位しか無かったので。
それと、ネットで工程FMEAを検索すると、最上位に出てくるページにRPMって出てくるのですが、正しくはRPNです。
RPMは製造業だと回転数の事ですね、ブルンブルン。
それでは本編いってみましょう。
「アルト、思いっきり打ち込んでみてくれ」
「わかった」
俺はオッティに向かって木刀を一閃する。
刀を模した木がオッティの腕を捉えた。
普通なら腕の骨が骨折している速度だが、オッティは苦痛を表情にあらわさない。
それもそのはずで、苦痛などないのだから。
といっても、オッティが痛みが快楽になるように改造されたネギみたいな名前の忍者だからではない。
「やはり痛みはないか」
オッティは木刀の当たった場所を確認して、傷や腫れがないことが判ったようだ。
「これが工程FMEA(異世界ヴァージョン)のスキルか」
俺は半信半疑で、木刀の当たった個所を指で押す。
オッティがやせ我慢していないとも限らないからだ。
だが、残念な事にやせ我慢などしていなかった。
そう、工程FMEA(異世界ヴァージョン)とは、生産技術のジョブで得られるスキルであり、自分または相手の攻撃に対してRPN評価を任意に設定できるのだ。
今の攻撃は影響度が最低の1なので、当たっても体に影響が出ない。
発生頻度を低くすれば連続攻撃は出来ないし、検出率を低くすれば不意打ちは出来ない。
とんでもなくチートなスキルだ。
「何故いままでこのスキルが活躍出来なかったのか……」
自問自答するオッティ。
そんな彼の肩に俺は手を置いた。
「それは、ビルマの竪琴のシーンを再現したいがためのキャラだからだよ」
オッティは膝を折り、両手を地についた。
orzのポーズをする人をリアルで見たのは初めてだ。
本当は色々とライバルとして戦わせたかったんだけど、それを考えているうちにも、毎日愚痴を吐露しないと辛かったので、わりとあっさり片付けたのが真相だ。
別の世界線ではチートスキルを使って暴れまわってほしい。
「まあ、それは置いといて、工程FMEAは強いな」
「置いとくな!」
オッティの抗議は無視する。
以前にも説明したと思うが、工程FMEAはリスク評価の手法である。
ここではそれが評価ではなく設定出来るのだから、使用者はファミコン版六三四の剣でカセットに衝撃を与えた時みたいなもんですわ。
40代以上じゃないと伝わらない例えだけど。
「故障モードの設定やら原因の設定が大変だけどな」
オッティは前世と同じ愚痴を言う。
故障モードとはJIS規格でも定義されている言葉で、アイテムにおける故障の様子、故障状態の形式による分類となっている。
例えば、今の俺の攻撃は工程が相手からの攻撃、故障モードが怪我、原因が斬擊、打撃等になる。
原因には射撃、関節技なども入ってくるだろうが、それらを設定していないとダメージの無効化は出来ない。
工場での工程FMEAも同じだ。
なので、各部署からそれなりの経験者を募って作成する。
そして、不良が流出した場合には当然見直しだ。
工程FMEAの評価に間違いがあるから、流出してしまうのだから。
提出するのが対策書だけじゃないから大変だぞ。
そして、工程FMEAの改訂に人が集まらなくて、俺一人で再評価してるのは何故なんだ。
やる気あるのか?
ご時世的に会議室に集まるのはやめようとか、尤もらしい言い訳しやがって。
おっと、意識が異世界から現実世界に飛んでしまいましたね。
「この力があれば今からでも世界征服出来そうだな」
「オッティ、本当は300話くらい前にそうしようと思ってたんだよね。だけど、金鍍金とビルマの竪琴で役目は終ったんだ」
そう言ったら、オッティに首を絞められた。
割りと本気で。
「水蒸気爆発で死にかけるわ、活躍の場は無いわで、こっちの世界に来てからいいこと無いぞ!」
「大丈夫、前世でも不良が出るのは生産技術の設備が悪いからと言われ、パラレルワールドでも主役にはなれないから」
「全くもって良いことが無い!」
「美人のダークエルフの秘書が付いたじゃないか」
「そんな描写が全く無い!!」
無かったか……
※作者の独り言
品管も大概だが、生産技術も不良が出ると製造から言い訳の道具にされるよね。
それと、ネットで工程FMEAを検索すると、最上位に出てくるページにRPMって出てくるのですが、正しくはRPNです。
RPMは製造業だと回転数の事ですね、ブルンブルン。
それでは本編いってみましょう。
「アルト、思いっきり打ち込んでみてくれ」
「わかった」
俺はオッティに向かって木刀を一閃する。
刀を模した木がオッティの腕を捉えた。
普通なら腕の骨が骨折している速度だが、オッティは苦痛を表情にあらわさない。
それもそのはずで、苦痛などないのだから。
といっても、オッティが痛みが快楽になるように改造されたネギみたいな名前の忍者だからではない。
「やはり痛みはないか」
オッティは木刀の当たった場所を確認して、傷や腫れがないことが判ったようだ。
「これが工程FMEA(異世界ヴァージョン)のスキルか」
俺は半信半疑で、木刀の当たった個所を指で押す。
オッティがやせ我慢していないとも限らないからだ。
だが、残念な事にやせ我慢などしていなかった。
そう、工程FMEA(異世界ヴァージョン)とは、生産技術のジョブで得られるスキルであり、自分または相手の攻撃に対してRPN評価を任意に設定できるのだ。
今の攻撃は影響度が最低の1なので、当たっても体に影響が出ない。
発生頻度を低くすれば連続攻撃は出来ないし、検出率を低くすれば不意打ちは出来ない。
とんでもなくチートなスキルだ。
「何故いままでこのスキルが活躍出来なかったのか……」
自問自答するオッティ。
そんな彼の肩に俺は手を置いた。
「それは、ビルマの竪琴のシーンを再現したいがためのキャラだからだよ」
オッティは膝を折り、両手を地についた。
orzのポーズをする人をリアルで見たのは初めてだ。
本当は色々とライバルとして戦わせたかったんだけど、それを考えているうちにも、毎日愚痴を吐露しないと辛かったので、わりとあっさり片付けたのが真相だ。
別の世界線ではチートスキルを使って暴れまわってほしい。
「まあ、それは置いといて、工程FMEAは強いな」
「置いとくな!」
オッティの抗議は無視する。
以前にも説明したと思うが、工程FMEAはリスク評価の手法である。
ここではそれが評価ではなく設定出来るのだから、使用者はファミコン版六三四の剣でカセットに衝撃を与えた時みたいなもんですわ。
40代以上じゃないと伝わらない例えだけど。
「故障モードの設定やら原因の設定が大変だけどな」
オッティは前世と同じ愚痴を言う。
故障モードとはJIS規格でも定義されている言葉で、アイテムにおける故障の様子、故障状態の形式による分類となっている。
例えば、今の俺の攻撃は工程が相手からの攻撃、故障モードが怪我、原因が斬擊、打撃等になる。
原因には射撃、関節技なども入ってくるだろうが、それらを設定していないとダメージの無効化は出来ない。
工場での工程FMEAも同じだ。
なので、各部署からそれなりの経験者を募って作成する。
そして、不良が流出した場合には当然見直しだ。
工程FMEAの評価に間違いがあるから、流出してしまうのだから。
提出するのが対策書だけじゃないから大変だぞ。
そして、工程FMEAの改訂に人が集まらなくて、俺一人で再評価してるのは何故なんだ。
やる気あるのか?
ご時世的に会議室に集まるのはやめようとか、尤もらしい言い訳しやがって。
おっと、意識が異世界から現実世界に飛んでしまいましたね。
「この力があれば今からでも世界征服出来そうだな」
「オッティ、本当は300話くらい前にそうしようと思ってたんだよね。だけど、金鍍金とビルマの竪琴で役目は終ったんだ」
そう言ったら、オッティに首を絞められた。
割りと本気で。
「水蒸気爆発で死にかけるわ、活躍の場は無いわで、こっちの世界に来てからいいこと無いぞ!」
「大丈夫、前世でも不良が出るのは生産技術の設備が悪いからと言われ、パラレルワールドでも主役にはなれないから」
「全くもって良いことが無い!」
「美人のダークエルフの秘書が付いたじゃないか」
「そんな描写が全く無い!!」
無かったか……
※作者の独り言
品管も大概だが、生産技術も不良が出ると製造から言い訳の道具にされるよね。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
冒険者ギルド品質管理部 ~異世界の品質管理は遅れている~
犬野純
ファンタジー
レアジョブにも程がある。10歳になって判明した俺の役職はなんと「品質管理」。産業革命すら起こっていない世界で、品質管理として日々冒険者ギルドで、新人の相談にのる人生。現代の品質管理手法で、ゆるーく冒険者のお手伝い。
前回の拙著が愚痴とメタ発言が多すぎたのでリメイクしました。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる