193 / 439
第192話 特性要因図
しおりを挟む
久しぶりに出社してみたら、エルフの里からお手紙が届いておりました。
冒険の準備をして、早速目指そうと思いますが、武器は持ち込み禁止。
防具は盾と鎧と兜ではなく、安全靴・作業服・帽子・保護メガネ・手袋となっております。
ダークエルフが攻めてきたらどうするんだよ!
まあ、ダークエルフが攻めてこなくても、精神攻撃を食らうんですけどね。
向かう途中で、異世界召喚でも起きないかなって思います。
あー、ガリバー旅行記もなんか酷いことになってるー。
ラピュタは本当に在るのか知らないけれど、不具合は本当にあったんだ。
次はどこですか?
巨人の国?
小人の国?
あ、お茶の国ですか。
はい、今から選別道具用意して向かいます。
え、選別に連れていけるのは日本語のわからない作業者しかいない。
そうですか……
という夢を見たんだ。
やばい、夢の話をしていたら、文字数がどんどん増えていく。
対策書の文字数は増えないのに。
…………
それでは本編いってみましょう。
俺は今ティーノの店でオッティ、グレイスと向かい合って座り、ミートソーススパゲティを食べている。
パスタが大当たりして、客が次から次へと引きも切らずに押し寄せているのだが、店の外の行列など気にもせず、優雅にスパゲティにフォークを突き立て、ぐるりんと巻き取り口に運ぶ。
出来立てから少し時間が経ったため、やけどするような熱さではなくなっており、猫舌の俺としては丁度いい温度だ。
こんなにも美味しい料理を食べているのに、オッティとグレイスの表情は晴れない。
いや、むしろ美味しいからこそ晴れないというべきだろうか。
今や領地の発展で忙しいはずの二人が、ステラの街にいること自体驚きなのだが、ここでゆっくりと料理に舌鼓を打つのは更に驚愕であろう。
何故こんな事になったのかというと――
「製麺ラインを作りたいのにレベルが全く上がらない。いや、もっと優先すべき課題が山積みなので、そちらの方を優先して欲しいと賢者の学院からも言われている」
オッティは重い口取りで話す。
グレイスが横で頷く。
「しかし、食文化を豊かにすることも貴族の務め」
グレイスが口を開いた。
そんな貴族の務めは初めて聞いたきがするが、フランス料理はイタリアから貴族が持ち込んだと聞いた気もするので、間違いという訳でもないのかな。
二人が言いたいのは、パスタの生産機械を分けて欲しいという事だった。
やはり前世の食事が恋しいのか、何度も手紙が届いていたのだが、ストラトスも他の先に注文を受けた方を当然優先していたので、その要求には応えられなかったのだ。
結果、二人は直接乗り込んで来たというわけだ。
ストラトスがこの場にいないのは、話し合いで手が止まると更に遅くなるからである。
「二人とも、前世は日本人なんだから、米を求めるならわかるが、なんでパスタにそこまで情熱を注ぐんだよ」
「じゃあ、あなたはラーメンが中華料理だとでもいうの?立派な日本食でしょう。イタリアにナポリタンなんてないわよ」
グレイスは強い口調で反論する。
確かに、ラーメンや餃子は中華料理発祥かもしれないが、今では日本に独自の文化として定着している。
カレーについてもそうか。
イタリアには行ったことがないから、本場のパスタがどんなものか知らんけど。
「日本人なら、うどんでいいじゃないか。オッティは群馬の出身だろ。上州うどんは有名だし、うどんなら手打ち麺が出来るよ」
「「パスタで!」」
俺の代替案は二人がハモって否定する。
二人は会話の合間、合間で目の前のスパゲティを食べているので、俺が食べなくてもどんどん減っていく。
そんなに好きなのか。
グレイス領にまわすパスタの乾麺の量を増やしてあげたいけど、俺の経営する製麺所はフル稼働しているのに、需要に供給が追い付かない状況だ。
ステラの街の雇用対策になっているからいいのだけど、こうなってくると転売するやからが出てくるので、なんとか供給を増やしたい所なのだ。
とてもではないが、知り合いだからと謂って優遇できる状況ではない。
「コーヒー貰える?」
俺はメガーヌにコーヒーを注文した。
せめて目の前のスパゲティは二人に譲ろうと思ったのだ。
暫くすると、熱いコーヒーが運ばれてきたので、カップを手に取りフーフーと息を吹きかけて冷ましてから、温度を確認するように少しだけ口に含む。
十分に飲める温度まで下がった事を確認して、今度はカップを傾け、先ほどよりも多い量を口に流し込んだ。
ホッと一息つき、解決策を考える。
オッティが製麺ラインを作るためのレベルが足りないから、ストラトスからパスタマシンを買うしかない状況をどう解決したらよいのか。
特性要因図を頭の中で思い浮かべる。
特性要因図とは、QC7つ道具のうちの一つで、別名魚の骨とも呼ばれるツールだ。
不具合という結果に対して、どんな要因があるのかを書き出して明確にするものである。
設備を作れないのは材料が無いのもあるな。
ステンレスは俺しか作れない。
パスタマシンの生産に時間が掛かるから、供給が追い付かない。
パスタマシンを作る職人を増やすか?
いや、今からそんな人材を育てるには時間がかかる。
ストラトスが教育する時間もないだろう。
俺が作業標準書スキルでパスタマシン作成を出来るようにするか?
オッティはレベルが足りないからスキルを解放できない。
経験値が不足しているからか。
他にも開放したいスキルもある。
優先順位は?
…………
ポク、ポク、ポク、ポク、チーン
「そうだ!」
俺は解決策を閃いた。
「オッティ、今から迷宮に行くぞ」
「何で!?」
俺の突然の提案にオッティは驚いてスパゲティを食べるのを止めた。
「パワーレベリングで、オッティのレベルを一気に引き上げる。そうすればスキルをいくつも解放できるだろう。それで製麺ラインを作れるようにすればいい」
「あら、それで万事解決ね」
グレイスの顔も一気に明るくなる。
だが、こちらは食べるのを止めない。
そんなわけで、オッティを引きずって冒険者ギルドまで行き、シルビアと合流して迷宮に潜った。
オッティは無事にレベルが3ほど上がり、製麺ラインを作ることが出来たのだ。
ただし、製麺ラインはパスタとラーメンと素麺でスキルが違うので、今回のレベルアップ分は全て製麺ラインで使われてしまった。
このスキル、神様のこだわりが知りたい。
※作者の独り言
冒頭の夢の話はフィクションです。
フィクションです。
大切な事なので二回言いました。
冒険の準備をして、早速目指そうと思いますが、武器は持ち込み禁止。
防具は盾と鎧と兜ではなく、安全靴・作業服・帽子・保護メガネ・手袋となっております。
ダークエルフが攻めてきたらどうするんだよ!
まあ、ダークエルフが攻めてこなくても、精神攻撃を食らうんですけどね。
向かう途中で、異世界召喚でも起きないかなって思います。
あー、ガリバー旅行記もなんか酷いことになってるー。
ラピュタは本当に在るのか知らないけれど、不具合は本当にあったんだ。
次はどこですか?
巨人の国?
小人の国?
あ、お茶の国ですか。
はい、今から選別道具用意して向かいます。
え、選別に連れていけるのは日本語のわからない作業者しかいない。
そうですか……
という夢を見たんだ。
やばい、夢の話をしていたら、文字数がどんどん増えていく。
対策書の文字数は増えないのに。
…………
それでは本編いってみましょう。
俺は今ティーノの店でオッティ、グレイスと向かい合って座り、ミートソーススパゲティを食べている。
パスタが大当たりして、客が次から次へと引きも切らずに押し寄せているのだが、店の外の行列など気にもせず、優雅にスパゲティにフォークを突き立て、ぐるりんと巻き取り口に運ぶ。
出来立てから少し時間が経ったため、やけどするような熱さではなくなっており、猫舌の俺としては丁度いい温度だ。
こんなにも美味しい料理を食べているのに、オッティとグレイスの表情は晴れない。
いや、むしろ美味しいからこそ晴れないというべきだろうか。
今や領地の発展で忙しいはずの二人が、ステラの街にいること自体驚きなのだが、ここでゆっくりと料理に舌鼓を打つのは更に驚愕であろう。
何故こんな事になったのかというと――
「製麺ラインを作りたいのにレベルが全く上がらない。いや、もっと優先すべき課題が山積みなので、そちらの方を優先して欲しいと賢者の学院からも言われている」
オッティは重い口取りで話す。
グレイスが横で頷く。
「しかし、食文化を豊かにすることも貴族の務め」
グレイスが口を開いた。
そんな貴族の務めは初めて聞いたきがするが、フランス料理はイタリアから貴族が持ち込んだと聞いた気もするので、間違いという訳でもないのかな。
二人が言いたいのは、パスタの生産機械を分けて欲しいという事だった。
やはり前世の食事が恋しいのか、何度も手紙が届いていたのだが、ストラトスも他の先に注文を受けた方を当然優先していたので、その要求には応えられなかったのだ。
結果、二人は直接乗り込んで来たというわけだ。
ストラトスがこの場にいないのは、話し合いで手が止まると更に遅くなるからである。
「二人とも、前世は日本人なんだから、米を求めるならわかるが、なんでパスタにそこまで情熱を注ぐんだよ」
「じゃあ、あなたはラーメンが中華料理だとでもいうの?立派な日本食でしょう。イタリアにナポリタンなんてないわよ」
グレイスは強い口調で反論する。
確かに、ラーメンや餃子は中華料理発祥かもしれないが、今では日本に独自の文化として定着している。
カレーについてもそうか。
イタリアには行ったことがないから、本場のパスタがどんなものか知らんけど。
「日本人なら、うどんでいいじゃないか。オッティは群馬の出身だろ。上州うどんは有名だし、うどんなら手打ち麺が出来るよ」
「「パスタで!」」
俺の代替案は二人がハモって否定する。
二人は会話の合間、合間で目の前のスパゲティを食べているので、俺が食べなくてもどんどん減っていく。
そんなに好きなのか。
グレイス領にまわすパスタの乾麺の量を増やしてあげたいけど、俺の経営する製麺所はフル稼働しているのに、需要に供給が追い付かない状況だ。
ステラの街の雇用対策になっているからいいのだけど、こうなってくると転売するやからが出てくるので、なんとか供給を増やしたい所なのだ。
とてもではないが、知り合いだからと謂って優遇できる状況ではない。
「コーヒー貰える?」
俺はメガーヌにコーヒーを注文した。
せめて目の前のスパゲティは二人に譲ろうと思ったのだ。
暫くすると、熱いコーヒーが運ばれてきたので、カップを手に取りフーフーと息を吹きかけて冷ましてから、温度を確認するように少しだけ口に含む。
十分に飲める温度まで下がった事を確認して、今度はカップを傾け、先ほどよりも多い量を口に流し込んだ。
ホッと一息つき、解決策を考える。
オッティが製麺ラインを作るためのレベルが足りないから、ストラトスからパスタマシンを買うしかない状況をどう解決したらよいのか。
特性要因図を頭の中で思い浮かべる。
特性要因図とは、QC7つ道具のうちの一つで、別名魚の骨とも呼ばれるツールだ。
不具合という結果に対して、どんな要因があるのかを書き出して明確にするものである。
設備を作れないのは材料が無いのもあるな。
ステンレスは俺しか作れない。
パスタマシンの生産に時間が掛かるから、供給が追い付かない。
パスタマシンを作る職人を増やすか?
いや、今からそんな人材を育てるには時間がかかる。
ストラトスが教育する時間もないだろう。
俺が作業標準書スキルでパスタマシン作成を出来るようにするか?
オッティはレベルが足りないからスキルを解放できない。
経験値が不足しているからか。
他にも開放したいスキルもある。
優先順位は?
…………
ポク、ポク、ポク、ポク、チーン
「そうだ!」
俺は解決策を閃いた。
「オッティ、今から迷宮に行くぞ」
「何で!?」
俺の突然の提案にオッティは驚いてスパゲティを食べるのを止めた。
「パワーレベリングで、オッティのレベルを一気に引き上げる。そうすればスキルをいくつも解放できるだろう。それで製麺ラインを作れるようにすればいい」
「あら、それで万事解決ね」
グレイスの顔も一気に明るくなる。
だが、こちらは食べるのを止めない。
そんなわけで、オッティを引きずって冒険者ギルドまで行き、シルビアと合流して迷宮に潜った。
オッティは無事にレベルが3ほど上がり、製麺ラインを作ることが出来たのだ。
ただし、製麺ラインはパスタとラーメンと素麺でスキルが違うので、今回のレベルアップ分は全て製麺ラインで使われてしまった。
このスキル、神様のこだわりが知りたい。
※作者の独り言
冒頭の夢の話はフィクションです。
フィクションです。
大切な事なので二回言いました。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜
赤井水
ファンタジー
クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。
神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。
洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。
彼は喜んだ。
この世界で魔法を扱える事に。
同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。
理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。
その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。
ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。
ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。
「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」
今日も魔法を使います。
※作者嬉し泣きの情報
3/21 11:00
ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング)
有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。
3/21
HOT男性向けランキングで2位に入れました。
TOP10入り!!
4/7
お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。
応援ありがとうございます。
皆様のおかげです。
これからも上がる様に頑張ります。
※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz
〜第15回ファンタジー大賞〜
67位でした!!
皆様のおかげですこう言った結果になりました。
5万Ptも貰えたことに感謝します!
改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる