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第167話 落下事故
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今日はエッセに呼ばれて工房に来ていた。
相談内容は
「マンドレルを変えたら形が変わったか」
へら絞りの金型であるマンドレルを交換したら、グラスの形状が変わってしまったようだ。
ありがちだな。
特に、摩耗してきたからマンドレルを交換したのであれば、今までと形状が変わるのなんて当たり前だし、製品の表面も当然変わってくる。
摩耗した金型は刃物の痕がなだらかになっているから、新品のそれとは違う。
プラスチック成形の金型のように磨くのであれば気にならないが、磨く工程が無ければそれは如実に現れる。
前世でも、作業者がマンドレルを破損させてしまい、急ぎで変わりを作成して生産をしたのだが、当然変更申請をするのが間に合わず、客先に内緒での交換となった。
しかし、製品の表面があまりにも違いすぎたためにばれてしまったというのがあった。
金型の交換は非常に重要な変化点だし、大きな変化がある場合が多いので、要注意事項なんだよね。
今回もマンドレルを落下させて、一部が変形したので、作り替えたのだという。
「さて、まずは新旧のマンドレルと、それで作った製品を見せてもらおうか」
俺はエッセに促した。
彼は一度奥にそれらを取りにいく。
変化点の確認では、変更前後の比較が必須である。
変更後の製品が公差に入っているからそれでよいというものではない。
プラス傾向だったものが、マイナス傾向になっていたりとか、その逆だったりすると、現合合わせで作った後工程の治具に入らなくなったり、センサーの位置を変更しなければならなかったりという事例が沢山ある。
枚挙にいとまがないってやつだな。
おっと、エッセがマンドレルと製品をもって帰ってきた。
では早速確認をしてみるか。
俺はまずは製品を受け取った。
「見るからに違うな」
スキルを使うまでもなく、一目で違うのがわかる。
側面と底面を繋ぐRの形状が全然違うのである。
次にマンドレルを受け取り、底部のRを作る箇所を見ると、やはり見た目にも形が違った。
「これ、どうやってマンドレルを注文したんだ?」
目線はマンドレルを見ながらエッセに訊いた。
「現物を見てもらって、同じように加工するようにお願いしました。変形した部分は他と同じRでつなぐように指示をしています」
「そうか。まあ、人の目で見たなんて、どうにでもなるからな。加工したのはデボネアか?」
「いや、全く違うドワーフですね。デボネアから旋盤を購入して、新規で商売を始めたというので、試しにお願いしてみました」
残念ながら人の目は測定器ではない。
それがドワーフだとしてもだ。
俺のように測定スキルが無ければ、同じ寸法でとお願いしたところで無理な話だ。
それに、汎用旋盤でろくな刃物もそろってないので、同じRを加工するなんて不可能である。
ましてや、加工者も前回と違っているとなると、同じものが出来てくる可能性は初号機の起動確率よりも低い。
そんなことはわかっているのだが、エッセにどう納得させたらいいのだろうか。
「なあ、エッセ。マンドレルが変われば製品も変わるんだ。同じものを作ろうとしてもそれは無理だろう。このマンドレルでまた製品を作るしかないんじゃないか」
そう、別に量産部品というわけではないので、同じ寸法の製品を供給し続けなければならないわけではないのだ。
加工者と購入者が納得すれば、それでいいのである。
食器なんかも、お皿が割れたからといって、前と同じものじゃなければ駄目だという意見はあるが、違う製品を売ったからといって、対策書を書かされるわけではない。
そういうのいいよね。
「確かに、バックオーダーを抱えていたわけでもないですからね」
「新作って言って売り出せばいいんですよ」
ホーマーがナイスアイデアを出した。
それだ!
「まあ、今回はこれでいいとしても、次回は図面を渡した方がいいな。R形状については俺がラディアスゲージを渡しておくから、次回からはこれを渡して、同じRに加工するように指示をしたらいい」
ラディアスゲージはRゲージともいうが、R形状をしたゲージである。
加工した製品に、ゲージを当てることで、何Rなのかを簡易測定できるゲージだ。
輪郭測定器などで、測定するとNGになる場合の免罪符として存在する。
と俺は思っている。
検査成績書でも、本来測定器で測定した数値を記入すべき所を、『ゲージOK』と記入して提出したりしている。
だって、数値を書いたらNGなんですもの。
いいんだよ、Rなんて案内なんだから!
っていう話を聞きました。
僕じゃないです、絶対に。
「じゃあ、俺は帰るよ」
「はい。ありがとうございました」
エッセに見送られて、工房を後にした。
既に工房が見えなくなったところで気が付いた。
「今回の対策って、同じものを作るようにするんじゃなくて、マンドレルを落下させないようにすることだよな」
同じマンドレルを制作できるようになったとしても、何度もマンドレルを落下させていてはダメだ。
今回の変化点を作る原因となったのは、不注意による落下だった。
来た道を慌てて戻る。
「あれ、忘れ物ですか?」
俺が工房に駆け込むと、エッセはそこにいた。
俺が戻ってきたのは忘れ物だと思っている。
「エッセ、落下させたときの状況を教えてくれ。今回の対策は落下させるのを防止することだろ」
「あ、それは不注意だったんで気をつけます」
「気を付けて不具合が出ないんなら、そんな楽なことはないぞ。誰だって気を付けているんだから。それでも発生するから、対策が必要になるんだろう」
うん、新入社員みたいな対策をいいやがって。
次から気をつけますなんて、誰だって言えるし、なんの対策にもなってないぞ。
嫁に詰められて正座しているときも同じことを言われるんだぞ。
あれ、俺前世は独身だったよな?
そんな設定だった気が……
「確かに、あの時は加工が終わって、機械からマンドレルを外そうとしていたんですが、マンドレルにも手にも油がついていたんですよ」
俺が設定を思い出しているうちにも、当時の状況を説明してくれるエッセ。
ごめん、ここからは真面目にやるよ。
「つまり、油で滑って落下させたわけだね」
「はい」
あるある。
本来は油を除去してからやるべきところを、面倒だからといって、油がついたまま掴んで滑って落下させるなんて、前世の工場では1年に12回はあったぞ。
じゃあ、毎月じゃん。
そうですね……
「ウエスを使おうか」
ウエスとは古着などを使った雑巾のことだ。
これで油をふき取るのである。
勿論製品には使わない。
何しろ、ケバがコンタミになるから、使えないのだが、量産ラインじゃないところでは結構つかっているのだ。
有機溶剤なんかもあるけど、体に悪いし、色々と厳しくなってきたので、ウエスで油のふき取りを行っているところが多いぞ。
面倒だからってトリクレンをぶっかけちゃダメ絶対。
ISO14001認証取得工場で、そんなことあるわけないじゃないですか。
監査機関には秘密だよ。
あと、役所にも。
「すいません、今日のアルトは脱線が多いんですけど……」
エッセに注意された。
どうも口に出ていたらしい。
反省、反省。
エッセとホーマーにはウエスを使って脱脂してから、金型や治工具を持つように指導した。
これからは落下事故がなくなるといいね。
※作者の独り言
金型落下させた奴は、屋上から落下したらいいのにと思ったけど、労災になるので駄目ですね。
相談内容は
「マンドレルを変えたら形が変わったか」
へら絞りの金型であるマンドレルを交換したら、グラスの形状が変わってしまったようだ。
ありがちだな。
特に、摩耗してきたからマンドレルを交換したのであれば、今までと形状が変わるのなんて当たり前だし、製品の表面も当然変わってくる。
摩耗した金型は刃物の痕がなだらかになっているから、新品のそれとは違う。
プラスチック成形の金型のように磨くのであれば気にならないが、磨く工程が無ければそれは如実に現れる。
前世でも、作業者がマンドレルを破損させてしまい、急ぎで変わりを作成して生産をしたのだが、当然変更申請をするのが間に合わず、客先に内緒での交換となった。
しかし、製品の表面があまりにも違いすぎたためにばれてしまったというのがあった。
金型の交換は非常に重要な変化点だし、大きな変化がある場合が多いので、要注意事項なんだよね。
今回もマンドレルを落下させて、一部が変形したので、作り替えたのだという。
「さて、まずは新旧のマンドレルと、それで作った製品を見せてもらおうか」
俺はエッセに促した。
彼は一度奥にそれらを取りにいく。
変化点の確認では、変更前後の比較が必須である。
変更後の製品が公差に入っているからそれでよいというものではない。
プラス傾向だったものが、マイナス傾向になっていたりとか、その逆だったりすると、現合合わせで作った後工程の治具に入らなくなったり、センサーの位置を変更しなければならなかったりという事例が沢山ある。
枚挙にいとまがないってやつだな。
おっと、エッセがマンドレルと製品をもって帰ってきた。
では早速確認をしてみるか。
俺はまずは製品を受け取った。
「見るからに違うな」
スキルを使うまでもなく、一目で違うのがわかる。
側面と底面を繋ぐRの形状が全然違うのである。
次にマンドレルを受け取り、底部のRを作る箇所を見ると、やはり見た目にも形が違った。
「これ、どうやってマンドレルを注文したんだ?」
目線はマンドレルを見ながらエッセに訊いた。
「現物を見てもらって、同じように加工するようにお願いしました。変形した部分は他と同じRでつなぐように指示をしています」
「そうか。まあ、人の目で見たなんて、どうにでもなるからな。加工したのはデボネアか?」
「いや、全く違うドワーフですね。デボネアから旋盤を購入して、新規で商売を始めたというので、試しにお願いしてみました」
残念ながら人の目は測定器ではない。
それがドワーフだとしてもだ。
俺のように測定スキルが無ければ、同じ寸法でとお願いしたところで無理な話だ。
それに、汎用旋盤でろくな刃物もそろってないので、同じRを加工するなんて不可能である。
ましてや、加工者も前回と違っているとなると、同じものが出来てくる可能性は初号機の起動確率よりも低い。
そんなことはわかっているのだが、エッセにどう納得させたらいいのだろうか。
「なあ、エッセ。マンドレルが変われば製品も変わるんだ。同じものを作ろうとしてもそれは無理だろう。このマンドレルでまた製品を作るしかないんじゃないか」
そう、別に量産部品というわけではないので、同じ寸法の製品を供給し続けなければならないわけではないのだ。
加工者と購入者が納得すれば、それでいいのである。
食器なんかも、お皿が割れたからといって、前と同じものじゃなければ駄目だという意見はあるが、違う製品を売ったからといって、対策書を書かされるわけではない。
そういうのいいよね。
「確かに、バックオーダーを抱えていたわけでもないですからね」
「新作って言って売り出せばいいんですよ」
ホーマーがナイスアイデアを出した。
それだ!
「まあ、今回はこれでいいとしても、次回は図面を渡した方がいいな。R形状については俺がラディアスゲージを渡しておくから、次回からはこれを渡して、同じRに加工するように指示をしたらいい」
ラディアスゲージはRゲージともいうが、R形状をしたゲージである。
加工した製品に、ゲージを当てることで、何Rなのかを簡易測定できるゲージだ。
輪郭測定器などで、測定するとNGになる場合の免罪符として存在する。
と俺は思っている。
検査成績書でも、本来測定器で測定した数値を記入すべき所を、『ゲージOK』と記入して提出したりしている。
だって、数値を書いたらNGなんですもの。
いいんだよ、Rなんて案内なんだから!
っていう話を聞きました。
僕じゃないです、絶対に。
「じゃあ、俺は帰るよ」
「はい。ありがとうございました」
エッセに見送られて、工房を後にした。
既に工房が見えなくなったところで気が付いた。
「今回の対策って、同じものを作るようにするんじゃなくて、マンドレルを落下させないようにすることだよな」
同じマンドレルを制作できるようになったとしても、何度もマンドレルを落下させていてはダメだ。
今回の変化点を作る原因となったのは、不注意による落下だった。
来た道を慌てて戻る。
「あれ、忘れ物ですか?」
俺が工房に駆け込むと、エッセはそこにいた。
俺が戻ってきたのは忘れ物だと思っている。
「エッセ、落下させたときの状況を教えてくれ。今回の対策は落下させるのを防止することだろ」
「あ、それは不注意だったんで気をつけます」
「気を付けて不具合が出ないんなら、そんな楽なことはないぞ。誰だって気を付けているんだから。それでも発生するから、対策が必要になるんだろう」
うん、新入社員みたいな対策をいいやがって。
次から気をつけますなんて、誰だって言えるし、なんの対策にもなってないぞ。
嫁に詰められて正座しているときも同じことを言われるんだぞ。
あれ、俺前世は独身だったよな?
そんな設定だった気が……
「確かに、あの時は加工が終わって、機械からマンドレルを外そうとしていたんですが、マンドレルにも手にも油がついていたんですよ」
俺が設定を思い出しているうちにも、当時の状況を説明してくれるエッセ。
ごめん、ここからは真面目にやるよ。
「つまり、油で滑って落下させたわけだね」
「はい」
あるある。
本来は油を除去してからやるべきところを、面倒だからといって、油がついたまま掴んで滑って落下させるなんて、前世の工場では1年に12回はあったぞ。
じゃあ、毎月じゃん。
そうですね……
「ウエスを使おうか」
ウエスとは古着などを使った雑巾のことだ。
これで油をふき取るのである。
勿論製品には使わない。
何しろ、ケバがコンタミになるから、使えないのだが、量産ラインじゃないところでは結構つかっているのだ。
有機溶剤なんかもあるけど、体に悪いし、色々と厳しくなってきたので、ウエスで油のふき取りを行っているところが多いぞ。
面倒だからってトリクレンをぶっかけちゃダメ絶対。
ISO14001認証取得工場で、そんなことあるわけないじゃないですか。
監査機関には秘密だよ。
あと、役所にも。
「すいません、今日のアルトは脱線が多いんですけど……」
エッセに注意された。
どうも口に出ていたらしい。
反省、反省。
エッセとホーマーにはウエスを使って脱脂してから、金型や治工具を持つように指導した。
これからは落下事故がなくなるといいね。
※作者の独り言
金型落下させた奴は、屋上から落下したらいいのにと思ったけど、労災になるので駄目ですね。
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